東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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呼べばとどろくライダーマシン

仮面ライダーV3』感想・第33話

◆第33話「V3危うし! 帰って来たライダー1号.2号!!」◆ (監督:塚田正煕 脚本:鈴木生朗)
 キバ男爵は、呪文と太鼓の響きにより北極から来た設定の怪人ユキオオカミを召喚し、すっかり妖怪路線でありますが、今の時代、ただの改造人間では顧客にアピールできません。
 おどろおどろしい惹句は恐らく、見世物小屋の文脈なのでしょうが、映像的には若干以上に、ハワイアンショー。
 「デストロンの命を受けるキバの一族、ユキオオカミ」
 は、人工的に光化学スモッグを作り出す事に成功したサムカワ博士の山荘を襲撃すると博士の娘を吸血し、その血を呪われた娘がまるでオオカミのような姿に変貌してしまう、徹底的にスリラー&呪術路線。
 博士娘が純子の親友だった縁で山荘を訪れた志郎一行は睡眠薬を盛られるが、勿論《毒耐性》持ちの志郎には通用せず、娘を人質に取られている事情を知らないまま博士を詰問しているところに雪オオカミが現れると、変身V3。
 ……この時期の特撮だとよくありますが、墓地での戦いは、見るたびにどうも(それは怒られるのでは……? みたいな事をしないか)ドキドキしている内に、雪オオカミはあっさり撤収……と見せかけて猛吹雪を志郎に浴びせ、不意を突かれた志郎はものの見事に氷漬けにされてしまう。
 アジトに囚われた藤兵衛らは殺人光化学スモッグの実験を見せつけられ、個人的には「光化学スモッグ」って幼少期に得体の知れない恐ろしさがあったので、子供の頃に見ていたら割とトラウマ案件だったかもしれません(笑)
 「心配するな。今にきっと志郎が助けに来る」
 「フフフフフフ、フフハハハハハ。気の毒だがそういう筋書きにはなってないようだな」
 忍法オオカミブリザード絶対零度の氷像とされた志郎を見せつけるキバ男爵の台詞回しが、なかなかいい味。
 「間もなくおまえ達にも、死神が訪れる。フフハハハハハ……」
 藤兵衛らは、純子のコネクションを利用して博士娘に必死に助けを求めるが、キバ一族を裏切る行為をすると呪いが発動してしまう娘は踏み切れず、娘の行動を縛る、人でないものに変貌する恐怖の描き方は、シンプルにしてなかなか秀逸。
 キバ男爵の命令に必死に抗う博士と娘だが、じゃあこっちでやるからいいや、と場を盛り上げる太鼓係だった雪オオカミの手によって殺人スモッグの照射スイッチが入ろうとしたその時――! 立花藤兵衛の真ヒロイン力が発動する!!
 そう、スイッチを入れるのを妨害し、ドクロのオブジェの裏から高笑いと共にいきなり現れたのは、仮面ライダー1号・本郷猛!!
 「……貴様、本郷猛!」
 「本郷!」
 「そうだ、本郷猛。貴様を追ってはるばるオーストラリアから帰ってきたんだ」
 キバ男爵と激突し、前作主題歌インストに合わせて戦闘員を蹴散らす本郷が藤兵衛と博士たちを逃亡させると、続けて雪オオカミの前に立ちはだかり志郎を助け出したのは、仮面ライダー2号・一文字隼人!!
 「貴様は一文字隼人か! おのれぇ!」
 「そうだ、一文字隼人。貴様たちの野望を砕く為に、アメリカから帰ってきたんだ」
 第2話で怪人と心中して新たな敵組織デストロンの恐ろしさを見せつけると共に後輩V3に日本の平和を託した後、V3の弱点を記録した録音テープをややこしい手段で隠しておく駄メンター案件を経て、オーストラリアからの小包で生存を仄めかしたダブルライダー先輩が、真ヒロインの危機を察して、とうとう帰還。
 再びオオカミブリザードの餌食になりかけるV3だが、背後から2号が飛び出すと雪オオカミの前後を挟み、卑怯! 卑怯なり仮面ライダー!!
 1号も合流すると3人がかりで怪人を袋だたきにし、今作ではあまりにも見慣れない画面なので、待望のトリプルライダー共闘に盛り上がるより先に、一方的な残虐ファイトの鬼畜感が際立ちます。
 1号が投げ技を叩き込むと、2号とV3が押さえ込んだ雪オオカミに1号がトップロープから膝を叩き込み、2号が放り投げたところに繰り出されるV3の上段蹴り。
 トドメは、1号と2号が上空に放り投げた雪オオカミにV3錐揉みチョップが炸裂し、割とまともに強かった雪オオカミは、トリプルライダーコンビネーションの前に散るのであった。
 「キバ男爵は恐るべき魔法使いだ。その為に俺達は帰ってきた」
 雪オオカミが爆死すると博士娘の呪いも無事に解け、スモッグ作戦は失敗に終わるのだが……
 「キバ男爵、怒れ、怒るのだ。我がデストロンの期待を裏切るではないぞ」
 「おのれ3人のライダーめ……この恨みは必ず晴らさずにはおかんぞ!」
 立て続けに一族を失ったキバ男爵は怒りを燃やし、「デストロンの命を受けるキバの一族」「我がデストロンの期待」といった言い回しを見るに、キバ一族はデストロン内部のチームではなく、外部の取引先なのでしょうか。
 改造人間らしさの薄さからはその方が納得度が高いところですが、次回――スミロドンも気になりますが、ちらっと見えたバイクアクションが凄そう。