『ウルトラマンブレーザー』感想・第6話
◆第6話「侵略のオーロラ」◆ (監督:辻本貴則 脚本:継田淳)
スカード工房の妖精さんことバンドウ・ヤスノブは、頼まれると断れない上に、自分から仕事を背負いがちな男。
「みんな、気付かぬ内にヤスノブにハードワークを強いていた、と……」
そのヤスノブが過労で倒れ、難しい顔で口にしながら、画面手前を左右に歩くのが副隊長、というのが面白い(笑)
つまり、ゲント隊長にも心当たりが…………ありました。
「彼は仕事熱心ですが無理しすぎるきらいがあります。そういうとこ、隊長が先回りしてフォローしてあげないと」
このままでは、メンタルケアとフェイタルブレードの区別が付かない某不滅のチーフと同じフォルダに入れざるを得ないと、説教モードに入った副隊長から、早退したヤスノブに差し入れのトマトを届けるようお願いという名の命令を受けた隊長は……コインランドリーの乾燥機に名前をつけて話しかける、哀しい独身男の姿を目撃してしまう。
いたたまれなくなった隊長がトマトを持ったまま回れ右して逃走すると、入れ違いにコインランドリーの中に入ってきたのは、縞々シャツの……宇宙人。
「僕は、カナン星から来たハービーっていうんだ。どうぞよろしく、バンドウ・ヤスノブくん」
「なんで、僕の名前を……」
「君の事ならなんでも知ってる」
謎の光線を浴びたヤスノブは、まとわりつく光を払おうと服を脱ぎ捨て……驚愕のシックスバック。
そう、メカニックの基本は、体力……!
突如として投入された、宇宙人の一人や二人ぐらい素手でくびり殺せそうなリアル筋肉にやや困惑していると、カナン星人ハービーは、全ての機械は他者に使役される事に対して、強烈な負の感情を宿しており、オーロラ光線銃でそれを引き出し操る事で地球を侵略すると宣言。
「もうすぐオーロラ光線が地上を覆い、世界中の機械が叛乱を起こす。その時、是非一役買ってほしいんだ。君と、そしてアースガロンに!」
地球侵略に先駆け防衛隊やスカードを調査し、ヤスノブの筋肉に惚れ込んだ、じゃなかった、アースガロンを気に入ったカナン星人は、侵略の尖兵としてその機体性能を最大限に引き出す為にヤスノブを タンクトップ同盟(『ウルトラマンG』) 縞々シャツ同盟にスカウトしようとするが、拒絶を受けると撤収。
繰り返し映される半裸ヤスノブのファイティングポーズが強烈すぎてカナン星人の話はほとんど頭に入ってきませんが、明らかにわざとです。
異星人の侵略計画を知ったヤスノブは、一方的な片思いというわけでもないらしかった乾燥機の作り出したワープゲートでカナン星人を追い、メンタルケアとバイタルエリアの区別が付く男になる為にトマトを手に戻ってきた隊長は、それを目撃。
ヤスノブからの伝言と乾燥機の助けにより、カナン星人のアジトを把握する隊長だが、既にオーロラ光線の照射されていたアースガロンが暴走を開始し、特撮的には今回の見せ場としてやりたかったと思われる、アースガロンに追いかけられるスカードバンの図は、車の精度がいまいちで、あまり面白くは感じられず。
スカードバンがポイ捨てされると、いちはやく車両を抜け出した隊長は、アースガロンを挑発して車から引き離し、アースガロンを狩るべき怪獣として認めたブレーザーさん降臨。
ここで奉納の舞いを始めたらブレーザーさん本気でしたが、事情は把握していたのか野生の咆哮合戦も控え目で、ブレーザーvsアースガロンの激突ノルマは、早い内に穏当な形で消化。
個人的にはもう少し、本気のブレーザー・ファイトを見たかったです(笑)
「やめてくれアースガロン! 君の敵はウルトラマンやない! 君の役目はそんな事ちゃうやろー!!」
ブレーザーが意外と鋼鉄のボディに苦労していると、不祥事まっしぐらのアースガロンさんの流れ弾でヤスノブが転落死しかけるが、それを救ったのは――アースガロンの鋼鉄の手。
果たしてそれは、アースガロンの“心”か、はたまた機械の誤動作か……物語としては、作られたものが宿しているのは必ずしも負の感情だけではない筈、と婉曲に示されて、アースガロンはシャットダウン。
「どうした?! 戦え! 戦うんだアースガロン!」
困惑するカナン星人の視点から、メインテーマと共にアジトにぐいっと視線を向けるブレーザーの顔のアップが映るのは、ヒーロー逆転のターン開始として格好いい演出で、風力発電施設(?)に偽装していた宇宙船により逃亡を図るカナン星人だが、ウルトラ超回転魔球により、容赦なく斬殺されるのであった。
敗因は……面白兵器にこだわってしまったマニア的なロマン。
カナン星人の侵略作戦は阻止され、ゲントとヤスノブは感謝の意を込めてコインランドリーの乾燥機を磨き、メンタルケアとモータルコンバットの違いがわかる男であるゲント隊長が、部下に対する配慮で某不滅のチーフとの違いをアピールして、つづく。
およそ2年ぶりの《ウルトラ》シリーズな事もあってか、ここまで今一つチューニングが合わずにいたのですが、前回ぐらいからようやく、今作との個人的な波長が合ってきたというか、OPも頭に入るようになって、上向きの感触で見られるようになってきました。
特に今回は前半のコミカルな描写と、ある程度キャリアを持った役者さんの引き出しを活用する作風が上手く噛み合って面白かったです。
次回――副隊長回……はスキップされて、ゲント、恩師と再会す。