東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
旧ダイアリー保管用→ 〔ものかきの倉庫〕
特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)
HP→〔ものかきの荒野〕   Twitter→〔Twitter/gms02〕

誰にも出来ないアイツ

ウルトラマンブレーザー』感想・第5話&特別総集編

◆第5話「山が吠える」◆ (監督:辻本貴則 脚本:継田淳
 防衛軍の開発した新型レールガン・メガショットの実証試験に参加する為、秋田県にある演習地を訪れるスカード一行。
 そこはアンリが子供時代を過ごした生まれ故郷であったが、アースガロンを仮想敵に据えてのテスト中、土地の古文書に語り伝えられていた怪獣ドルゴがテストの影響で活動を再開し、山の怪獣が頭に新兵器を乗せたまま目覚めてしまうのは、いいアイデア
 起き抜けの怪獣から角ビームを放たれたアースガロンは一撃で活動停止に追い込まれ、アースガロン、見た目は獰猛だし、やたらに威嚇してくるしで、シマを荒らしに来た鉄砲玉だと思われて問答無用の先制攻撃を受けても弁解のしようがありません。
 そのままアースガロンを仕留めに来るかと思われた怪獣はしかし、横を素通りすると水場で水分補給を始め……今年の夏は、暑かった。
 「に、二度寝?!」
 山怪獣ドルゴが環境に適応する為に浅い休眠に入る中、怪獣の存在を訴えていたアンリの旧友が、怪獣を鎮めていた祠に祀られていたご神体を持ち出すと、
 (いいのかなー、オカルト頼りでいいのかなー……でも俺も、なんか巨大化してるしなー)
 という顔になる隊長だが、今回は留守番のエミから追加の資料が送られてくると、旧友を信じようと進み出たアンリと共に怪獣山登りを決断。
 同時にアースガロンの復旧整備は進めておく事と、実際の霊験は詳細不明として、絵図を見る限り、睡眠を司る脳幹部分に突き刺しているので効果あるかも……と副隊長の分析が入るのは、今作のエッセンスとして良かったです
 隊長とアンリは祠の跡に辿り着くも、ご神体を突き刺す前にドルゴが活動を再開してしまい、ご神体をアンリに託した隊長は、斜面を転がり落ちながら空中変身。
 怪獣の動きを止めようとするブレーザーだが、至近距離から顔面にメガショットが直撃し、これはちょっと痛かった。
 続けて放たれた角ビーーームはひらりとかわすも、横に回り込んではロックオンされ、飛び上がっては撃墜され、メガショットの迎撃システムが伝説怪獣の死角を無くしてベストマッチするのは、定番ですがこうでなくては、という戦闘。
 「待たせたな……」
 「来いメガショット!」
 そこに再起動したアースガロンが降り立つと、横っ飛びからの香港映画アクション……は少々やりすぎでは感はありましたが、二丁指ランチャーでメガショットを小破させる活躍。
 その間に立ち上がったブレーザーが、ウルトラの槍をべきぃっとへし折って追ってウルトラのバチとすると、山の巨大妖怪に向けて、それが君のHIBIKI……ではなく、ウルトラ海老反りダブルスロー魔球を叩き込んで、メガショットを破壊。
 前回に続き、ブレーザーとアースガロンの共闘は綺麗に決まりましたが、アースガロンのパイロットからすると、(この巨人、いつか突然、「ふもっふー! ふもっふふもっふ!」って殴りかかってくるんじゃ……)とビクビクしている気はしてなりません。
 ドルゴの極太ゲートビームをブレーザーがシールドで防ぎ(エネルギーを受け止めて放り捨てる、みたいな使い方が格好良かった)、山上のアンリが空手の構えからご神体を祠の穴に突き刺すと青白い閃光がドルゴの体を駆け巡り、穏やかな眠り……というより、白目を剥いて強制気絶。
 ところで地形は……と思ったら、そういえば今回はやる暇が無かったウルトラ豊穣祈願の舞いが奉納され、ようやくピンと来たのですが、ブレーザーさん、宇宙の怪獣ハンターとして、狩猟の前後には神に舞いを捧げる習慣があるのかな、と。
 ブレーザーは眠りについたドルゴを元の場所まで押し戻して後始末を付け……あれ、今、その上にはまだ、アンリ隊員が居るのでは?
 幸い、アンリ隊員は空手のパワーで踏ん張っていたらしく、事態は無事解決。アンリは旧友と共に、ドルゴの声を聴いて幼い日の幻を目にし、故郷への思いを新たにしつつ、東京への帰路につくのだった。
 上官と一緒に秋田から東京まで車を走らせるのと、アースガロンで飛んで帰るのと、どちらが辛いのか、それが問題だ。
 前作は完全に未見なのでどうだったのかわかりませんが、シリーズ近作のトレンドだった、序盤から追加アイテムを投入して複数フォームを見せる作りではなく、第5話終了時点で、ブレーザーさんになんの追加要素も無いまま、チームメンバーのキャラ回から進めてくれているのは、かなり見やすい作り。
 『Z』の成功を受け、商品展開としてはアースガロンでそこを補う意図かと思われますが、アースガロンも今のところ、そこまで無理な押し出しはなく、メインとなったキャラがおまけ扱いにならずに進んでいるのは、好印象。
 脚本の継田淳さんは今作が初見でしたが、
 前回「自家製バイオ怪獣×金より賞賛の歪んだ自己愛」
 今回「土地の古伝を蔑ろにした山林破壊で目覚める怪獣×科学的アプローチも加えつつの一件落着」
 と、スタンダードなアイデアに今風な要素を加えたアレンジが、アースガロン活躍の要件を満たしつつ上手くまとまっており、そこからラストにちょっぴり、キャラクターの内面の情に触れる部分を入れてくるのが、持ち味でありましょうか(ラストの部分がどこベースかはわかりませんが)。
 また前回にせよ今回にせよ、防衛軍の軽挙に事件の一因はあるものの、防衛軍は防衛軍として必要な仕事をしているのであり、スカードを「賢者」にする為に、防衛軍を露骨な「愚者」とする作劇を避けているのは、好感が持てます。

◆特別総集編「巨大生物の正体を追え」◆ (演出:村上裕介 構成:足木淳一郎)
 『ブレーザー』世界のTV局員が、特番を作る為にこれまで劇中に出現した怪獣の映像を振り返るという体裁の総集編でしたが……本編映像に重ねて3人のキャラが割とどうでもいい雑感をコメントし続けるのが大変辛く、途中で早送りしてしまいました。
 我慢して見ていれば、世界観の掘り下げや面白い切り口もあったのかもですが……耐えられず。
 そんなわけで次回――侵略宇宙人、現る。