『仮面ライダーV3』感想・第32話
◆第32話「鬼火沼の怪 ライダー隊全滅!?」◆ (監督:折田至 脚本:伊上勝)
声に出して読みたい共感できる日本語。
「あのインターポール野郎め!」
デストロンは、少年ライダー隊が再び地獄の訓練キャンプを行う情報をキャッチすると、キャンプ会場となっている鬼火沼にほど近い山荘に怪人オニビセイウチを送り込む。
藤兵衛の旧友でもある山荘の管理人が鬼火セイウチに姿を写し取られ、手の皮膚だけ青黒いのが、偽物の不気味さの表現として秀逸。
そんな罠が待ち受けているとも知らず現地に到着した少年ライダー隊は、純子が目にした怪しい影を追って周囲を探し回り、今回は、なんか……建物回?(特徴的な形状なので、有名なロケスポットでありましょうか)
本部に残っていた志郎と佐久間は、二人を見張る戦闘員の存在に気付くと箱乗りカースタントに突入し、デストロンがライダー隊キャンプを狙っている情報を入手した志郎は、急ぎバイクを走らせる……佐久間を置き去りにして(笑)
前作における滝ポジションとしてレギュラー化の気配を見せるデストロンハンター・佐久間、志郎からは「ケン」と呼ばれ、志郎の事を「先輩」と呼び、すっかり少年ライダー隊に馴染んでいる様子は見せるのですが、演技の問題は置いておくとしても、藤兵衛・純子・シゲルだけでも割と手一杯なので、率直に、増員の意味が感じにくいのが大変困ったところ。
プロの工作員(の筈)である佐久間を追加する事で、何かとやりすぎな少年ライダー隊のウェイトを減らしたい思惑……もあるのかもですが、前回今回に関しては、引き続き少年ライダー隊が存在感を発揮していますし、何より佐久間、プロらしさ感が皆無すぎて。
「少年ライダー隊のキャンプを襲って、皆殺しにするつもりだったが……」
キバ男爵は見張り失敗の報告を受けると作戦の変更を指示し、頭に巨大な白骨かぶりながら、黒いタキシード着ているだけでもう、面白すぎてズルい。
どういう狙いだったのかはわかりませんが、フォルムとしては若干、長浜ロボットアニメの美形ライバルポジションの雰囲気が出ており、凄く、市川治の声で喋りそう(笑)
デストロンの二代目大幹部としては、この衣装は良いインパクトになりました。
佐久間に負けてはいられないとヒロイン力を発揮してみせた純子が、管理人とOセイウチのすり替わりに気付いてさらわれそうになったところにV3が登場し、鬼火セイウチは皮膚の質感が格好いい。
その名の通りに鬼火を操るとキバ戦闘員が出現し、V3を足止めしたOセイウチはライダー隊のキャンプを襲撃。不気味な太鼓の響きと共にキャンプファイヤーから生じた鬼火が次々とライダー隊を襲い、少年が一人、結構な斜面転がりを披露します。
Oセイウチと戦闘員に囲まれるライダー隊だが、そこにハリケーンが飛んでくると一同を助け、OセイウチとV3は諸共に沼に飛び込んで大爆発。セイウチ管理人は正体を知る純子を狙って山荘に向かい、高笑いで格好良く現れる為なら、純子さんが首を絞められるまで窓の外でじっと待機している男・風見志郎。
再びの激突となると、引きずり込まれた沼地から抜け出したV3はV3フル回転キックを叩き込み、瀕死の鬼火セイウチが逃げ込んだ地下室を発見。
そこでは、息絶えたOセイウチをキバ男爵が腕に抱いており、前回今回と繰り広げられたヒロインレース三番勝負……最終勝者は、オニビセイウチ。
キバ男爵が姿を消すと、V3は本物の管理人と共に、デストロン十八番のアジト自爆で抹殺されそうになるも、なんとか脱出。
怪人が爆死しない代わりに、大幹部との顔合わせ&ゲストの救出を消化した上で山を吹き飛ばして終わる変化球で、伊上先生としてもセオリーにアレンジを加えたい意識があったのかもしれません。……盛り上がりでいうとやはり、怪人は爆発してほしいところではありますが(笑)
今作初参加の折田監督の嗜好があったのかはわかりませんが、前回今回は、やや季節外れの怪談路線が強調され、怪人のプラスモチーフも、ドクロに鬼火。新軍団・キバ一族の特徴として、太鼓とキバにこだわったオカルトへの回帰が打ち出され、ゲー時代から一定の差別化が為されたのは良かったところ。
若干以上に、「改造人間とは?」感は出ていますが、キバ男爵の奮戦に期待したいところです。
次回――サブタイトルでは15話ぶり3回目の、「危うし」!