『仮面ライダーＶ３』感想・第３１話
◆第３１話「呪いの大幹部 キバ男爵出現！！」◆ （監督：折田至 脚本：伊上勝）
「おまえ達に、デストロンの、新しい大幹部を紹介しよう」
ドクトル・ゲーが殉職したデストロンでは、首領自らの司会進行により新上司のお披露目会が行われ、激しい太鼓のリズム（担当の戦闘員が居るのが、妙な面白さ）に合わせて姿を見せたのは、アフリカから来た大魔術師・キバ男爵！
囚われの女が生贄に捧げられ、棺の中から立ち上がったキバ一族の怪人ドクロイノシシに血を啜られると瞬く間の内に白骨死体と化す直球のホラー描写で、説明を聞く限りこれはもはや、改造人間ですらないの？！
それとも、改造人間にアフリカの奥地で数百年に渡って栄えてきた一族の呪力で～といった設定を与えているプレイなの？！
同期のミュータンロボ（『イナズマン』）に近い、顔の崩れた奇形的なデザインの一方、体にうり坊めいた縞模様が残っているのがちょっとKAWAIIドクロイノシシは山梨県の山村を襲撃し、陰影を強調した演出が続くが、少年ライダー隊はどこにでも居る、
ゲスト少女の連絡から村へ向かった志郎はドクロイノシシと一当たりし、穂先に巨大なキバを取り付けた槍状の武器を操るキバ戦闘員に囲まれると、変身・Ｖ３！
槍を奪ったＶ３の立ち回りがスピーディーで格好良く、新たな大幹部登場に合わせて戦闘員の武器を切り替えるとともに、これまでのナイフでは出来なかったアクションを見せてくれたのは、掴みで好印象。
ドクロイノシシはキバ一族の秘技として、両脇に巨大な猛毒牙を抱えてＶ３へと突撃し、取り回しは物凄く悪そうながら（これ自体が猪のイメージの取り込みではありましょうが）、とにかく「キバ」にこだわる姿勢は、評価したい（笑）
「貴様も白骨になれーっ！」
だが、必殺の猛毒牙は取り出して約３０秒でＶ３に蹴り飛ばされ、両者揃って斜面を転がり落ちての泥仕合に突入すると、取っ組み合いの末にＤイノシシの蹴りがクリティカルを出し、崖下に落ちたＶ３は、崖崩れ攻撃により土砂の下に埋められてしまう。
「Ｖ３め、どんな無様な格好で死んでるか、見物だな」
これ『イナズマン』なら、サナギマンから超力招来！ で飛び出してくるパターンだな……と思ったら、大・爆・発。
Ｖ力招来で土中から脱出したＶ３が戦闘員を拷問してイノシシの場所を聞き出す一方、志郎の後を追って村を訪れた佐久間はゲスト少女と出会い、少女役の斉藤浩子さん、豪華な和風の屋敷に住んでいるので村の名家の娘といった設定なのでしょうが、山村の風景と全く似合わないやたらめかし込んだ衣装なのが、実に斉藤浩子さんです。
Ｖサインで組織の者である事を示した少女は、人質とされた母親を救う為に佐久間を罠にはめ、気の抜けたサイダーみたいな喋りの佐久間、喋れば喋るほど緊迫感が削られてホント辛いのですが、チケット代は少年ライダー隊で持つから、フランスに帰ってくれて一向に構わないのだぞ、佐久間。
いつの間にやら屋敷の屋根裏に潜んでいた風見先輩は話を全て聞くと、屋根裏に槍を突き込まれる時代劇アクションから屋敷を脱出。戦闘員の死体を無惨に地面に並べて人質を一挙に解放し、何があったのかこのくだりが完全にスキップされるのですが、少女の母どころか佐久間（手足は長い）まで自由の身になっているのは、作劇の圧縮にしても、ちょっと困惑。
後はおまえを痛めつけてキバ男爵の居場所を吐かせるだけだ！ と反撃に出ようとする志郎だが、ドクロイノシシに操られた村人に囲まれて一同再び捕まると火あぶりの危機に陥り、恒例の海水に代わってガソリンをかけられる羽目に。
「太鼓だ！ 太鼓を鳴らして勝利を祝え！」
アイデンティティとして太鼓にもこだわるキバ一族だがその時、遠隔操縦で走ってきたハリケーンが戦闘員を蹴散らすと志郎を救出し、炎の向こうからＶ３復活（ここの映像は秀逸）。
「太鼓を鳴らしてくれ！ 悪魔の響きの太鼓を！ キバ男爵様ぁ！」
「ドクロイノシシ、キバ男爵から送られてくる魔力の太鼓は二度とおまえの前には来ない！」
Ｖ３が森で見つけたＤイノシシの棺にキックを叩き込むと大爆発が起こり、魔力を失ったＤイノシシは、Ｖ３フライングキックを受けて死亡。全滅し、ドクロ化して操られていた村人達は、Ｄイノシシが魔力を失った事により甦り……そ、それで良いの……？！
ハッキリ聞き取りにくいのですが、キバ男爵について「ドゥーブー教の大魔術師」と紹介しているようなので、「ブードゥー教（のイメージ）」を下敷きにしている、という事でありましょうか。
次回――キバ男爵の普段着はタキシード！！
