『仮面ライダーV3』感想・第30話
◆第30話「ドクトル・ゲー! 悪魔の正体は?」◆ (監督:塚田正煕 脚本:伊上勝)
インターポールが解き明かした暗号に記されていたのは、デストロンの改造人間工場の位置!
デストロンハンターの面々は早速その爆破工作へと向かい、首尾良く爆破に成功すると勢いあまってちょっと山裾の形を変えてしまうが、その帰路に立ちこめる怪しげな霧。
「遅かった……一足遅かったか……」
大自然を破壊するデストロンハンター許さん! と霧の中から出てきたドクトル・ゲーは、唸るマサカリで次々とハンターを血祭りにあげていくが、今回も《生存》スキルを発揮した佐久間の首が飛ぶ寸前、駆けつけるV3。
「ラーイダーV3、今度会う時は貴様の命は無い! 覚えておけ! V3!」
一当たりした後に撤収したドクトル・ゲーは、カナダ・デヴォン島支部で綺麗な小石を集める仕事にトばされる前にと、最後の決戦を首領に願い出る。
「首領、偉大なるデストロンの首領、最後のチャンスをドクトル・ゲーめにお与え下さい。ラーイダーV3と戦うことを」
「与えようドクトル・ゲー。デストロン大幹部の誇りをもって、ライダーV3と戦え。戦って奴を倒せ。その時こそ、お前の名はデストロンの偉大なる戦士として、永久に残される」
要するに、ドクトル・ゲーは死ぬ。死ぬためにドクトル・ゲーは存在する。だがデストロンは永遠である。つまり――ドクトル・ゲーも永遠である!
無視モードを終え、お片付けモードに入った首領の許可を得たゲーは、最後に頼れるのはオカルトだ! と再び悪魔の戦士の精霊の儀式を執り行うと、ヒロインの藤兵衛(とおまけの純子とシゲル)をさらい……店の住所は最初からですが、なんだかもう、秘密の入り口まで当然のようにバレているのではこれ(笑)
3人を人質としたゲーは更に、洗脳した藤兵衛にライダー隊を招集させると黒いペンダントを配り、プレミア○バンダイで絶賛予約受付中!
このくだりは正直、少年ライダー隊の出番が必要だった、以上の意味はなく制作上の事情を感じさせますが、デストロンは睡眠ガスで同志諸君を集団誘拐し、「人質は多ければ多いほどいい」なら、一箇所にまとめない方がいいんじゃないかな……。
「やがて来る……風見志郎、奴の墓場はここだ」
「――そうかな? はははははは、ははははははは! ドクトル・ゲー、ここが貴様の墓場かもしれないぜ?」
案の定、欲をかいて大量に集めた人質を整理する前に志郎の強襲に遭ってライダー隊には逃亡を許し、本命の人質である藤兵衛たちも、こんな時の為に生き延びさせておいた佐久間によって救出されてしまう。
志郎の変身モーションをマサカリ振るって妨害する禁じ手は、vs大幹部ならではの面白みとはなり、大幹部の力量があってこそ、変身のモーションに踏み込んでいけるのです!(失敗すると多分、変身時にダブルタイフーンが放出するエネルギーの直撃を至近距離から受けて、死ぬ)
最近あまり海に落ちていなかった気がする志郎は、ゲーのマサカリにつつかれてたっぷりと塩水のシャワーを浴びるが、マントの濡れたゲーの機動力が凄く下がった!
それもあってか海中落下からの変身を成功させ……話の流れからすると映像は、海落ち → 飛び出してくるV3、としたかったのではという気もしますが、「変身・V3!」無しというわけにもいかなかったのか、度重なる妨害の甲斐もなく、結局普通に変身ポーズを決めてしまう形に。
塩水のお返しをくれてやる! と放たれるV3顔面パンチの連打でもびくともしないゲーだが、特訓の成果により熟練度の上がったV3キックを受けて膝を付くと、怪人カニレーザーへと変身。
首から下はだいたいドクトル・ゲーのまま(装甲は追加)、異形の頭部になっているのがインパクトの強いカニレーザー、カニのハサミを頭頂部に一本立てる事でサソリの尾に見立てて、デストロンのシンボルマークであるサソリのモチーフを盛り込んでいるのですが、結果的にカニというよりほぼサソリに見えます(笑)
改造手術の影響により声帯が沢りつおになったカニレーザーは、「アーバラー」「アーバラー」(と聞こえる)と繰り返しながら、額のパラボラからレーザー光線を発射!
「ドクトル・ゲー、我がデストロンの勇者よ! この命の灯が尽きるまで戦うのだ!」
首領からも声援が送られると壮絶な戦いは続き、再び放たれるレーザー光線! だが恐らくは視覚効果の事情により、画面を暗くしてからでは無いとレーザーを放てないという、準備動作の致命的な大きさが災いとなり、ひらりひらりとレーザーをかわされたカニLの土手っ腹に、V3きりもみ反転キックが突き刺さる。
毎度お馴染み、ただのキック! と見せて反転! から更にきりもみ! を加えたスペシャルキックでカニレーザーは吹き飛び、大幹部怪人の格に配慮の見えるフィニッシュブローとなりましたが、今回ぐらい本郷監督と一文字監督の二つのメッセージを合わせて放つ「V3・26の秘密の一つ、V3マッスルドリルキック!」とかでも良かったのではないかとは思うところで、このまま本編では言及されずに終わるのでしょうか……。
個人的には、あれだけ大騒ぎした、残り3つの弱点、の方も触れられるのかが気になりますが(笑)
「…………V3……潔くこの勝負は俺の負けを認める。しかし、偉大なるデストロンは永久に滅ぶまい。さらばじゃ、仮面ラーイダーV3!」
第14話から今回まで、17話において大幹部として指揮を執ってきたドクトル・ゲーは爆死を遂げ、インパクトのある見た目、一度聞いたら忘れがたい「仮面ラーイダーV3」の言い回しは印象深く、記憶に残る大幹部ではありました。
その一方で、東京ゾンビ水作戦などでは一定の戦果を挙げているにも拘わらず、全体的にポンコツ寄りのイメージがあるのは、初手ガマボイラー・四国占領作戦の散々な失敗・1クール目のV3が毎回ピンチすぎた、といった辺りが原因でしょうか……作品の軌道修正に巻き込まれた不幸はあったものの、1クール目の印象からの初手ガマボイラーは終わってみれば致命傷となり、最初の作戦、大事。
「……ドクトル・ゲーの最期か」
「ライダーV3!」
「デストロンの首領!」
「ドクトル・ゲーの死と共に、デストロンの第一次攻勢は終わった」
「なに? 第一次攻勢?!」
ドクトル・ゲーを見限り気味だったデストロン首領は、我々はまだ本気出していないだけ、と宣言すると、人事を一新し、予算配分を見直した新しい組織編成の元、「第二次攻勢がいよいよ始まる」と予告し、デストロンの戦いはこれからだ!
アジトでは、ドクトル・ゲーのシンボルだったGマークが崩れると不気味な怪人がシルエットを見せ、いつものようにバイクで走っていく風見さん、ちょっとシャツの前開けすぎではーーー?! で、つづく。
次回――アフリカの奥地からやってきた新幹部・キバ男爵!
生贄の肉!
不気味な太鼓の響き!
繰り広げられる大魔術!
恐怖の儀式!
科学(化学)を捨て、改めてオカルトに舞い戻るデストロンの第二次攻勢に、ご期待下さい!
……こう見ると、後のブラックサタン(明らかに科学/化学より呪術が得意)は正統なデストロンの系譜だったのだな、と深く納得(笑)