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気!気!『スマイルプリキュア!』

スマイルプリキュア!』感想12・裏切り者を櫓に吊せ

●第26話「夏祭り! 夜空に咲く大きな大きな花!」
 皆で浴衣姿を褒め合う女子仕草から、デコルでキャンディにも浴衣を着せるのは、今作におけるアイテム使用の丁寧なところ……まあデコル、基本キャンディの養分にしかなっていないので、そもそも何の為のアイテムだったっけ……? みたいな気もしてきますが、最近の話の流れを考えると、デコルを与え続け、肥え太らせたキャンディがミラクルジュエルそのものとなり、全ては、メルヘンクイーン様が全ての世界の神になる為の計画なのでしょうか。
 …………与太はさておき、最終盤、キャンディを取るかミラクルジュエルを取るか? みたいな問題は出てきそうかも、とは思ってみたり。
 そんなこんなで夏祭り回……物凄いマッチョが太鼓叩いていると思ったら、なお父でした(笑)
 明らかにちょっとオーラーパワーが漏れているのですが、表の顔は大工で、裏の顔は始末人なのか。
 鍛えれば鍛えるほど人の体は真理に近づくが、筋肉には感心薄めのプリキュア一同が、キャンディに人間の夏祭りを楽しませる為に連れ歩く事で、出店イベントを“新鮮なもの”として見せる趣向で進み、キャンディ、明らかに人前で動いたり喋ったりしているのですが、目撃者は密かに、なお父によって記憶を消されます。
 偵察に来ていた魔女とのニアミスなどありつつ、みゆき達が食べ物に心を奪われている間に、迷子になったキャンディが輪投げの景品にされてしまい、救出作戦で5人がかき集めた手持ちの小銭は……きっかり300円。
 「みなさん、5回投げられますよ」
 「てことは、チャンスは一人一回だね!」
 なぜ、分配して確率を下げる(笑)
 …………いやまあ、万が一の時の責任も五等分にはなりますが。
 そして、やよいが裏切った。
 キャンディとの友情メーターが若干下がりつつも、最後は景品側の不正行為により何とかキャンディを回収するみゆき達だが、魔女が現れてバッドエンドを引き起こすと、スーパー縁日アカンベェが誕生。
 スーパーアカンベェがしっかり強敵として描かれるのは良いのですが、〔Sアカンベェに苦戦 → 倒れたプリキュアが敵の物言いに反論して立ち上がる → ペガサス発動で瞬殺〕は、早くも雑なパターン化してしまっており、変身バンクに加えてペガサスバンクが割と長い事情もあるのでしょうが、戦闘の起伏としては物足りないところ。
 最後は皆で打ち上げ花火を見つめ、キャンディはじめての縁日の思い出が景品のトラウマから無事に拭い去られたところで、つづく。

●第27話「夏のふしぎ!? おばあちゃんのたからもの」
 ゾウデコルは割とリアル寄り。
 友人一同を伴い、山深い田舎暮らしの祖母の元を訪れるみゆき……みゆき祖母が開口一番、「川に近づくと河童が出る」なのは、幼い頃の孫娘が、ウルトラハッピーーー! と叫びながら川へ向けて爆走していく生き物だったからでしょうかと思っていたら、祖母は山野の神秘と共存していた……? と『遠野物語』をイメージソースにしたと思われる、少々ファンタジックでノスタルジックな、夏休みらしいエピソード。
 間をたっぷりと使い、風景描写をふんだんに盛り込みながら情緒的に映像を見せていく、普段とやや違うトーンの演出は、やよい父回に続いて境宗久(前作の監督との事)でしたが、今回に関しては情緒が押しつけがましいというか、“美しい日本の原風景”ファンタジーを受け入れられるかどうかで、だいぶ印象の変わりそうなエピソードかな、と。
 やよい回の時は、情景と心情の掘り下げを繋げていましたが、今回は個人回ではないので、そういった部分が弱かったのもありますし、「高齢の親との同居問題」というリアリティを挟み込んできた割には、その周辺問題としての“田舎”は「美しい幻想」としての空間でしかないのもどうもバランスが悪く、個人的に苦手な要素が幾つか目立って、すんなり入れないエピソードでした。
 みゆき達が台詞を“言わされている”感もだいぶ強く、やりたい情緒を優先しすぎた感――に種類の違う“幻想”を混合しているのも、あまりまとまりが良くなかったところかなと。