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伝説の忍者たちよ

忍者戦隊カクレンジャー』感想・第47-48話

◆第47話「人間花火百連発」◆ (監督:小笠原猛 脚本:高久進
 「俺、花火が大好きなんだ!」
 第47話にして判明する、サスケは、花火師の個人名を把握しているレベルの、花火マニア。
 童話『マッチ売りの少女』そっくりの扮装をした少女が興味を持って近づいてきた子供たちの前でマッチをこすると、炎の中から妖怪火車が現れて子供を次々とさらい、祖父を人質とした火車に脅されている少女から事情を聞き出すカクレンジャー
 「……わかった! わかったぞ妖怪カシャの狙いが! ――人間花火」
 参謀属性をアンロックして脳細胞をトップギアしたサスケは情報を繋ぎ集めて火車の狙いに気付き……レッド補正に“格好いい”担当を加えた結果、サスケがすっかりその場その場の話の都合に合わせて有利な属性を身につけるキャラになっているのは、『カクレンジャー』の到達点として残念なところ。
 特にりんどう湖で昆虫魂を注入されて以降は精神的にも公の正義の化身に近づくと、サイゾウ・セイカイ・ジライヤとは距離を取るようになっていくサスケの、立ち上がりとのキャラクター的なギャップを、それが劇的な成長として構築されていると思えず、最終盤まですんなりと飲み込む事が出来ませんでした。
 ……恐らくこの人格的メタモルフォーゼは、かつての三賢人が三神将となるに至った道のりの途中経過ではないかと思われますが、こんなところにも『ジュウレンジャー』要素が顔を出している感(笑)
 そう考えると、個人的に『ジュウレン』『カクレン』ルートの先と認識している『ガオ』は、場合によってガオズロックと共に天高く飛翔していくパワーアニマル教団の聖人認定ルートがあったのかもしれない、と気付いてみたり(笑)
 「カシャ! 人間花火を打ち上げて、鬱々としたこの気持ちをすかっとさせろ!」
 元々は、大魔王様の復活から怒濤の妖怪帝国建設の祝賀にと火車が準備していた花火は、遅々として侵攻の進まない大魔王様の憂さ晴らしに打ち上げられる事になり、火車の変じた黒マントの男にあっさりのされた……と見せかけて、サスケは花火工場に潜入。
 「俺は放火の罰として、北極の氷の下に閉じ込められていた時に、オーロラを見た。……美しい。俺はこの世であんなに美しいものを見た事がなかった」
 捕らえたサスケを前に火車冬の花火へのこだわりを蕩々と語り…………つまり、三神将の仕業か。
 火車の妖術によって小型化されたサスケと子供たちは、火車に脅されている花火職人の手によって大玉の中に詰め込まていき、孫と祖父を互いに人質として利用・職人の失意の原因である工場爆発(と息子夫婦の死亡)は火車の放火が原因、と今作登場妖怪の中でもかなりえげつないのですが、どうも今作、「一件コミカルだが実態は残酷」を狙っている節はあるものの、全体的に「作品のトーンと無関係に急に人が死ぬ」になってしまっている印象です。
 「空よ! 暗くなれー!」
 火車がさらっと大がかりな妖術を使うと、いよいよ人間花火百連発が打ち上げられてしまい、憧れの職人の作った花火と一体化して夜空で弾け飛ぶなんてファン冥利に尽きるぜーーー!! とサスケは華々しい最期を遂げ……ずに、実はサスケから連絡を受けた鶴姫らによって花火は全て入れ替え済みだった事が明らかになると、どうやって小型化から元に戻ったのかについては触れられないまま、カクレンジャー火車を撃破し、子供たちは無事に元の生活に戻るのであった。

◆第48話「大雪女の雪合戦」◆ (監督:小笠原猛 脚本:曽田博久)
 妖怪・雪女が、市民を次々に雪だるまに変えていく怪事件が発生。
 「命に替えても人々を守り、この町を守るのが、本官の使命だ」
 と、仕事熱心な中年警官・村田は休日返上で囮捜査を敢行するが、その為に子供の誕生日を蔑ろにした事で、家庭に深い亀裂が発生してしまう。
 そこを通りすがったジライヤが残された家族に話しかけ、元刑事の息子として何か思うところがあるのかと思いきや、怪事件の情報にしか興味を見せないのが、凄く『カクレンジャー』クオリティ。
 まあなんとなく村田に肩入れしている雰囲気はあるので言わずとも察してほしい部分なのかもですが……そこはジライヤというキャラクターの芯に関わる要素として、繋げて強調しても良かったような。
 雪女に狙われた女性をかばって村田が雪だるまにされてしまうと、かばわれた女性がわざわざ派出所まで行って家族に事情を説明し、お父さんはちゃんとした警官だったんだ! と見直されて家族の問題はジライヤの居ないところであっさり解決し……特に繋げる意識は無かった可能性が高まりました(笑)
 家族からは軽んじられているけど、地元では実は名物警官、みたいなニュアンスを入れたかったのかもですが、どうにもこうにも強引かつインスタントな展開。
 雪女の目的は、6つの人間雪だるまを用いた儀式妖術により世界を寒冷地獄に変える事であり、5人揃ったカクレンジャーが、ドロドロ相手に立ち回りを行いながら瞬間変身を個別で見せていくのは、アクションの良いアクセントに。
 戦闘中、坂を転げた雪だるまが行方不明になって双方が探し回る展開からジライヤ冬の生身アクション祭となり、基本、これが狙いだったのではと思われるのですが、ジライヤはどうにも巧くキャラが構築できなかった印象。……当初の格好つけキャラを考えるに、今でいうところの「残念クール」みたいにしたかったのかもですが……。
 爆走トラッカー忍術の末、くノ一組に強奪されてしまう村田雪だるまだが、視聴者の見えないところで既にすり替えられている前回と全く同じパターンにより、雪女の儀式妖術は失敗。
 「聞いて驚くな。これがぜーんぶ俺のアイデアなんだぜ。俺って頭がいいんだよなーこれが」
 「ホント、見直したわ」
 雪だるまに変化していたニンジャマンが胸を張ると鶴姫が笑顔を浮かべ、第46-47-48話と、隙があれば鶴姫の可愛げをプラスする方向では、凄くスタッフに意志の統一が見られます(笑)
 挿入歌をバックに雪女と切り結んだ黒は、カクレ流・流れ星で雪女を撃破すると、巨大化時の台詞で最初から青二才ノルマが消化され、サムライマン見参。
 雪原フィールドを作り出し、雪だるまくんを繰り出す巨大雪女に苦戦の末、氷の息吹により凍結してしまう二大ロボだが、まあ来ると思っていた無敵将軍が横から顔面パンチを浴びせると炎の力で凍結を解除。ゴッドフィニッシュを叩き込まれた雪女が弾け飛ぶと、雪だるまの術も解けるのであった。
 「まだまだ春は遠い。……だけど必ず春は来るんだ。力を合わせて、戦い抜こうぜ」
 この最終盤に来て、キャラの行方不明感が加速していくサスケが詩的にまとめ、村田一家の関係も修復されて、良かった良かったで大団円。
 次回――貧乏戦隊ゴミレンジャー?!