東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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口数の増える魔導輪

牙狼<GARO> -炎の刻印-』簡易感想9

●第19話「黒翼-TEMPEST-」
 「あいつはルシアーノ・グスマン。腕利きの魔戒法師で……私の夫だった男」

 何してくれとんだコラぁ! とメンドーサの一件で番犬所に乗り込んだレオンとアルフォンソが平常運行の雑な対応であしらわれる一方、エマはいよいよ、序盤から言及していた“捜し物”に辿り着いていた。
 それは、「人を救いたい」想いが強すぎるあまりに、ホラーに飲み込まれた元魔戒法師であり……今作のホラー、初代『牙狼』よりも人の“執着”との接続が強い印象なのですが、強すぎる執着が怪物を生みだすモチーフとして、特撮シリーズの時よりも、メガノイド(『無敵鋼鉄人ダイターン3』)とか、はぐれ外道(『侍戦隊シンケンジャー』)を想起するところがあります……実はプロジェクトG回は、これ途中で誰か、ホラーに引っ張られるのでは? と、ドキドキしていました(笑)
 「俺はホラーを討伐しにきたわけじゃない。あんたとこの街を、護りにきたんだ」
 番犬所からエマの情報を伝えられたレオンは、手の平の上で踊らされているのを承知でエマと合流し、今日はたくさん喋るザルバ。
 ……炎の刻印を押さえ込む消費カロリーが減って余裕が出来たという事なのか、レオンの成長にともなって、騎士と魔導輪の関係を初代『牙狼』の雰囲気に近づける狙いなのか、黄金騎士ガロらしくはなって参りました。
 レオンの迂闊で一度は取り逃がす鴉ホラーだが、ザルバが発信器を取り付けていたファインプレーで、再試合。
 もはや戦闘機と化したホラーと、魔導グライダーを駆使したエマの空中戦は工夫があって面白く、鎧を持たない魔戒法師ならではの、魔道具を使った戦いという切り口に互いの因縁もしっかりと乗って、今作ここまででも、かなり好きな一戦となりました。
 「ちんたら飛んでんじゃないわよ!」
 テンション最高潮のエマは糸とグライダーで空を飛び回り、雲の隙間を抜けたり、誘導ミサイルが飛び交ったり、もう完全に戦闘機同士のドッグファイトの末、ホラーはホラーでエマを喰らおうとした執着により生まれた一瞬の隙を突いて、切り札の隠し武器・髪ソードがホラーを貫いて、エマは遂に、かつて愛した男をホラーから解放する事に成功するのであった。
 ……なお最初、髪ドリル?! と思った事を白状します。
 全部、ベルナルド、というか、元を正せば多分、ラファエロさんが悪い。
 レオンとエマは一夜を共にし、今作における男女の関係性は、傷の舐め合いでも一時の慰めでもなく、割と明確に「前に進む」事の象徴として置かれているのですが、ヘルマンを前振りとして、エマとセットにする事でクッションにしつつ、エマとレオンもまた、「前に進む」事に。
 現在のレオンのあり方は気高さも美しさもある一方で、ララがエターナルヒロイン化しすぎると(エターナルではあるのですが)、そこから動けなくなってしまう危惧はあったので、今作の中心的なテーマが「繋ぐ」である以上、主題と主人公の間に矛盾を引き起こさずに、劇中でそこから「前に進む」事を明確に描いたのは、物語として誠実であったなと思います(過去に囚われすぎる事を、基本的に否定する作風ですし)。

●第20話「侍女-DOUBLE DEALER-」
 「私はおまえを見捨てない」

 すっかり見た目の年老いたメンドーサが再登場し、城の地下神殿に潜んでいる事が判明。
 レオンとエマを城に招いたアルフォンソは、メンドーサの行方を探りながら侍女オクタビアに不審の目を向け……見所は、未だ病床の身ながら、怪物を見るや枕元に立てかけていた剣を抜く国王陛下。
 ……武士?
 エマのトラップに引っかかって追い詰められたオクタビアは、メンドーサから預かっていた魔獣召喚アイテムを使用。亡き妹の面影を重ねていた節のある侍女をばっくり喰わせ、更に糸の巻き付いた自らの足も喰わせる事で凄絶な偽装工作を行い、理解できる人情があると受け手に思わせておいて、目的の為にはそれを踏みにじったり、実はもっと理解不能の倫理観でした、というのは悪役の見せ方としてセオリーですが、侍女の頭ばっくりシーンも含めて、最終盤へ向けてオクタビアの良いインパクトになりました。
 また、かつて祈りを捧げてきた神に家族を見捨てられたオクタビアの背景を掘り下げつつ、秘密を持つ者と探る者、どちらの格も悪戯に下げる事なく、騙し合いから強烈な隠蔽工作までを綺麗にまとめたのは、秀逸。
 オクタビアには逃げ切られるも、地下神殿に対する疑念を深める一同だが、そこに姿を見せたのは、謎めいた行動を取る銀色の騎士。
 「邪魔するなら――斬るぞ、くそオヤジ」
 「ほぅ。いい面構えになったじゃねぇか、レオン」
 父子対決待ったなし?! で、つづく。
 そして地下のメンドーサは、(むぅ……どうした事だ……パンが……来ない)と空きっ腹を抱えていた。