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忍者戦隊24時

忍者戦隊カクレンジャー』感想・第39-40話

◆第39話「特別編だよっ!!」◆ (監督:東條昭平 脚本:杉村升
 妖怪のっぺらぼう率いる下忍軍団が市民を襲撃し、カクレンジャーとバトルスタート。
 「みんな元気? おじさんも元気!」
 そこに第1部と第2部の断層に飲み込まれた筈の講釈師がいきなりゴミ箱から飛び出して、おどれ生きとったんか?!
 第24話を最後に姿を消していた講釈師が再登場すると、物凄いテンションの赴くまま、ゴミ箱の蓋やビールの空き瓶で下忍を次々と殴り飛ばし、見ていて既に胃がもたれ気味。
 講釈師いわく「カクレンジャーと妖怪の裏ぜーんぶ見せます24時間密着取材」と銘打たれると、カメラは戦闘に戻り……シャ、シャークドライバー……?! おどれも生きとったんか?!
 相模湾の底から甦ったシャークドライバーが開始2分でのっぺらぼうを轢き殺し、講釈師のテンションはやたらめったら高いのですが、一体こちらはどういうテンションで見ればいいのか……。
 以後、カメラクルーを引き連れた講釈師が寝顔ドッキリなどを行うメタ風味で進み、本当にいったいどういうテンションで見ればいいのか……。
 鶴姫のテントに入り込んで「ちょっとチューさせて」はもはやただの犯罪ですが、往年のバラエティ番組のノリが、もう、ただひたすら、辛い。
 各自が修行を取り入れた(というか、ビックリ人間博覧会になっていますが……)クレープキッチンカーでの日常風景を挟み、ここは今作に欠けていた要素を補っていてほどほど面白く、2クール目ぐらいにやっていても良かったような描写。
 下忍を追って妖怪パレスに潜入した講釈師は大魔王様に見つかって崖から落とされ、カクレンジャーは自称不死身の強化のっぺらぼう&花のくノ一組と再戦。
 罠にはまってマシンガンの餌食にされそうになるカクレンジャーだが、忍法猫丸ロケットで反撃すると挿入歌バトルとなり、おもむろに取り出す雷鳴剣ヒカリ丸、見た目にこれといって忍者感がなく、入手経路も雑の極みだった為、使ったところで引き出されるのは凄まじいばかりの虚無感ですが、さすがにもう少し、どうにかならなかったのでしょうか……。
 巨大のっぺらぼうが再生能力を見せるとニンジャマンが飛んできて、青二才から怒り爆発サムライマン。激怒ボンバー&急降下パンチを浴びせても再生するのっぺらぼうだが、サムライマンがパーツの一部を踏みつけていた事で再生に失敗し、敢えなく爆死するのであった。
 敵怪人としては完全におまけ扱いの、のっぺらぼうでしたが、強化ギミック(銃武装強化)がユガミ博士のパターンだったり、デザイン先行をここで拾ったようなパターンでしょうか。
 メタ存在とはいえ、前半戦のレギュラーキャラがなんの挨拶もなく自然消滅的に退場はあんまりだと思っていたので、遊びの入ったアプローチで講釈師を再登場させたアイデアそのものは嫌いではないのですが、ただでさえ、作品やキャラに好感が薄い時のメタ系変化球は辛いのに加えて、どういうわけか講釈師の下世話だったり下品な部分を押し出してきて、見ている間の気分の悪さ、という点ではここまでワースト。
 元レギュラーキャラをゲスト出演で再登場させておきながら追い打ちで好感度を惜しげもなく落とした上で、(巡り巡って痴漢行為の因果応報とはいえますが)包帯巻いて傷だらけの姿でオチにされて、ビックリです。
 次回――大物妖怪登場に鶴姫ナレーションの予告は終始シリアスながら、サブタイトルはパロディ。

◆第40話「平成キツネ合戦」◆ (監督:東條昭平 脚本:高久進
 狐の嫁入り行列を見せる事を餌に、次々と子供たちをさらっていく妖怪・九尾の狐(通常の立ち姿でも、巨大な尻尾を動かす凝った操演)。
 鶴姫は、弟を狐に誘拐された少女・桜子と知り合って薙刀の稽古をつけており、この後、鶴姫(&桜子)パートと男衆パートを分けて進んでいくのですが、誘拐事件について、鶴姫が「ゲストヒロインとの交友で得た情報」と、サスケが「なんか噂で知った情報」が、似たような内容かつ同程度の扱いで進む為、必然、ゲストとの関係性構築の意味が薄れてしまう事に。
 また、やたら格好つけてリーダームーヴをキメるサスケに対して、どうしても違和感がぬぐえません(笑)
 鶴姫は桜子に化けた九尾の狐の罠にはまって捕まってしまい、見所は、鶴姫惨殺のイメトレに高笑いする大魔王様。
 ……本気で、暴魔大帝ラゴーン×帝王バンバみたいになってきました。
 事前に鶴姫が桜子にプレゼントした髪飾りには発信器が取り付けられており(目の前でそのネタばらしをされた少女の心境は、割と複雑では……)、別働隊の男衆が子供たちを救出すると、最初からさらわれた子供たちの居場所を突き止める為に罠にはまっていたふりをしていた鶴姫は、忍法縄抜けから印籠無用のスーパー変化。
 妖怪王国の不動産クイーンとなる夢破れた九尾の狐の幻術に苦しむカクレンジャーだが、突然の合体技で妖術を打ち破り、まあこれは、シリーズで割とあるパターンといえます。
 弱ったところに白キッカーのカクレンジャーボールを打ち込んで南無三するとニンジャマンが飛来。ロボと人間の中間的存在で、個性の戯画化の強いニンジャマン(それこそ《不思議コメディ》の源流を意識したキャラクター性と言えそうですが)、出したはいいが絡めにくいのか(残り話数の問題もあるでしょうが)、巨大戦になると飛んできて、青二才からサムライマン、と完全に出番がパターン化しており、存在自体がバンク、みたいな扱いなのは勿体ないところ。
 今のところニンジャマン、牛鬼回で一応掘り下げがあっただけ良かった、みたいな扱いになっておりますが、折角の特性――カクレンジャーと交流可能な人間性――を発揮する機会が与えられていないのは残念です。