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無職-NO HOME-

牙狼<GARO> -炎の刻印-』簡易感想6

●第13話「彷徨-BURNING ASHES-」
 「レオンだ。俺の名前」

 今回から後半戦、という事でOPが変更になり、前期OPはいかにも“燃える”系でしたが、後期はジャズっぽいメロディで、やや変化球。映像はモノトーンを基調に金色のサシが部分部分に入り、後半戦開幕エピソードのサブタイトルからも、“灰からの再誕”、といったイメージでありましょうか。
 王都では、意識を取り戻したものの病身の王に代わってアルフォンソが国を引っ張っていく事になり、葬儀が執り行われた王妃様は、とにかく終始、美しく描かれました。
 プロローグで死亡する“アンナの妹”という立ち位置もあったでしょうが、王妃様に関しては、幽閉中の姿を痛々しく描いても気分悪くなるだけだったと思うので、それをしなかったのは英断であったと思います。
 一方、ヒーローの資質:それは崖から落ちても川を流れて助かることを発揮したレオンは、眼球に蠅が止まりそうな顔のまま、とある貧農に拾われて、引き続き体育座りモード。
 (なんで……まだ生きているんだ、俺は)
 己の存在価値を見失い、死に引き寄せられようとするレオンだが、活力溢れる農家の娘・ララに引っ張り回され、貧しいながらも大地に根ざして生きる人々の生活に触れる内に、“生命”を肌で感じ、虚ろだった魂へと注がれていき、定番中のド定番ですが、レオンに欠けていたものを時間をかけて丁寧に描写。
 この後、今回限りでは特に何か異変が起こるでもなく、レオンのターンは人生再出発の本当に端緒だけで終わる思い切った構成でしたが、今日蒔いた種が来年の実りになるというモチーフや、その締めを「名を名乗る」事により、「改めて自分として生きる」表明としたのは良かったです。
 アルフォンソによる王都のホラー狩りと、それを助けるヘルマンの姿でアクション要素は確保され、ダブル主人公をここでも巧く活用。
 「今、どこにいるのですか? レオンは」
 「知らん」
 「え?」
 「あいつ自身が決める事だ。このまま潰れていくのか、立ち直るのか。手を貸すことは出来ん。俺にも誰にもな。……変な罪悪感なんか持つなよ。ガロはおまえを選んだんだ。胸張ってなすべき事をなせ」
 レオンを気遣うアルフォンソと、レオンを心配はしつつも黄金騎士アルフォンソを認めるヘルマン、をしっかり描写しておくのも、手堅い作りです。
 エマのヘルマンに対する「魔戒騎士ってさいてー」には、「男親ってめんどくさーい」も入っているとは思われますが、ヘルマンとしては、レオンを「一人前の男」として認めている(認めたい)が故に突き放している所があって、でもレオンとしては内心でまだ甘えているところがある感じで、そのズレが、どう収まっていくのかは楽しみなところ。
 鎧を失ったレオンが生命の力を取り戻しつつある中、王都のアルフォンソはただひたすらにキラキラしていたが、王の身近にはまだオクタビアが仕えている事が示されて、つづく。
 ……これは、ハイパー蛮族である王様の体を用いて、メンドーサ復活の流れ……?
 主人公が徹底的に打ちのめされた後の第2部開幕としては順当な滑り出しとなり、満を持して登場したレオン専用ヒロインは、作画も力を入れられて好感の持てる少女として描かれ(元気活発系ながら、引くところはわきまえているのがポイント高い)、その子をみすみす不幸にしたら、父と従兄と魔戒法師のお姉さんから袋だたきの上で首から「俺はチキン以下の鶏ガラ野郎です」と看板をぶら下げてシベリア送りにされても文句は言えないぞ、という体制が早くも構築されたのは巧い(笑)
 ……いやまあ、不幸をきっかけに覚醒パターンもありますが、シリーズとしてはヒロインとの関係性重視の作風を、信じたいところです。