東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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凄いキラキラの王子

牙狼<GARO> -炎の刻印-』簡易感想5

●第11話「絶影-SHADOW SLASHER-」
 「人が持つ想いの力は、時になにより強くなって、不可能を可能にしてきたわ」

 見所は、暗黒馬ドリル。
 なぜ人を護るのか?
 なぜ人には価値があるのか?
 は、回想のアンナの台詞でさらっと済まされ――恐らく終盤、改めてレオンにとっての命題となるのかと思われます――、友と、その恋人(多分、ベルナルドにとってもかつての思い人)を護る為、人の弱さと醜さへの怒りから、禁忌の刃を振るったベルナルドの前に現れるメンドーサ。
 「愚かな人間どもの尻ぬぐいを続け、いったい何が変わる? 下らぬ掟などに縛られていては、未来永劫この輪から逃れられぬ」
 「なら、どうするというのだ」
 「人を護るのではなく、人を統べる」
 優れた存在の支配により、因果を束ね、定め、意のままにしようとするメンドーサの炎に灼かれたベルナルドは、残された無念と心奥の妄執がホラーとされていた事になり、ヘルマンに討滅される事により、解放。
 一方、城内を進むレオンとアルフォンソが、メンドーサの召喚した巨大ホラーを前にダブル変身したところで、つづく。
 ベルナルドはひたすら定石のキャラクターとなりましたが、「ヘルマンとレオンを分断」「回想シーンでアンナの出番を作る」「魔戒騎士と人間の関係性について、正と負の両面を描く」と、絞り尽くされるような使い切りで、退場。

●第12話「暁月-BLOOD MOON-」
 「業を喰らい、真の姿を顕した黄金の鎧――なんと醜く美しい」

 「あと少しでブラッドムーンの召喚が終わるというのに、無粋な」
 紅い月が浮かぶ時、世界に災厄をもたらすという巨大ホラーが顕現し、それに立ち向かうガイアだが、ガロは仇敵メンドーサへと意識を奪われてしまう。
 メンドーサへの執着からホラーそっちのけで暴走するガロの鎧から炎が漏れ始めた末、17年前の火刑の幻影にレオンは飲み込まれ、修行途中で帰ってきたので、思い切り心の隙間につけ込まれました!!
 ……まあこの点に関しては、王子にも責任が無くも無いのですが(笑)
 ザルバのコントールを吹き飛ばして刻印が暴走すると城下に炎の雨が降り注ぎ、番組タイトルになっているだけあって、思ったより、凄かった。
 全身がパンプアップし、獣のごとき前傾姿勢で両手がオオカミヘッドとなった魔獣ガロは城を飛び出していき、それを追うガイア。
 「魔戒騎士の質も落ちたものだ……とはいえ、次の手は打っておかねばなるまい」
 メンドーサは余裕綽々で両者を見送り、魔獣ガロは城下町に業火を撒き散らし、魔女を火あぶりにした街がその17年後、まるごと火刑の炎に包まれる事になる性格の悪い趣向となって、「全裸」回登場のシーツの女性が気丈な振る舞いで人々を助ける姿が描かれ、なんとかガロの暴走を食い止めようとしたガイアは強烈な攻撃に一蹴される。
 「これが、伝説の光の騎士……なにが最強の黄金騎士だ。なにが国を救うだ! 自分の感情も抑えられず、護るべきものも、魔戒騎士としての使命さえも放棄する……レオン! 私はおまえを認めない! 絶対に!」
 もともと伝説になぞらえて期待感が高かったのもあるでしょうが、見限るの結構早かった!!(笑)
 とはいえ、内なる怒りと哀しみをホラー討伐に向けるしかなかった真っ直ぐすぎる炎の刃であるレオンに対して、純粋培養王子様からラファエロによる超圧縮スパルタ教育を受けたアルフォンソもアルフォンソでまた、「義務」と「使命」に対して純粋すぎる光の刃であり、“理想の存在”としての魔戒騎士に高潔さを求めるアルフォンソにとって“何が認められないのか”の説得力がしっかりしているのは、小林脚本の巧いところ。
 …………後まあ、よくよく考えてみなくてもレオン、アルフォンソの前でいいところを見せた事そのものがほとんど無いので、残念ながら、順当な評価に落ち着いてしまったところはあります(魔戒騎士キャリアはともかく、アルフォンソの方が3つ年長なのも構図としては効いている)。
 ベルナルドとの戦いで深手を負ったヘルマンから、解除ボタン(初代『牙狼』終盤に零のヒロインムーヴでガロの鎧を強制解除したボタン)の場所を聞いたアルフォンソ……と、確認の為に『牙狼』感想を読み返して気付いたのですが、初代『牙狼』でも鎧に飲み込まれた鋼牙がビーストモードを発動するくだりがあったので、今回は1クール目の締めに初代の本歌取りを入れる、という狙いがあった模様。
 暴走ガロvsガイアは炎の渦の中で激しくぶつかり、なんだかんだ城下に残ってくれていたエマによるフリーズガンの援護射撃で生まれた隙に、ガイアがその剛剣を宇宙キターーーーーッキックで解除ボタンへと叩き込み、とにかく、王子ガイアが超強い。
 「許せ……17年間、俺はおまえの炎を消してやれなかった」
 気を失い、天高くから落下したレオンはそのまま星に……はならずにエマとヘルマンによってなんとか回収されるが、城下にはいよいよブラッドムーンが降臨し、ここで民を護る為、強引に黄金騎士になるアルフォンソが、(ガイアの鎧の気持ちはともかく)主役そっちのけでちょっと格好良すぎるのですが……!
 「いったい何人目かな、私が見る黄金騎士は」
 「これで最後になる」
 ブラッドムーンを餌に、ガロの鎧を魔界に封じてしまおうとするメンドーサの罠さえ打ち破った王子ガロは、いよいよメンドーサと直接対決、と思われた瞬間、メンドーサはブラッドムーンにぱっくり飲み込まれ、王子ガロがまとめて真っ二つ。
 …………黄金騎士になった瞬間は、急転直下で退場の危機? と思ったのですが、まさかの完全勝利を収めてしまいました。
 「おまえはもう魔戒騎士でもなんでもねぇんだよレオン! そいつを受け止めろ! ……受け止めて考えろ。なんでこうなったか。これからどうすべきか。わからなきゃおまえは、このまま何者でもなく生きていくだけだ」
 己の弱さに直面したレオンは、アイデンティティそのものであった鎧にすがりつくも、ヘルマンに殴り飛ばされ、とうとう、主役剥奪。
 「立てよ……レオン」
 憔悴しきった息子が立ち直ってくれる事を祈るしかできないヘルマンは、負傷から気を失ったところをシーツの女に拾われ、鎧も生きる目的も失ったレオンは、澱みきった瞳で彷徨い歩き……城へと帰還したアルフォンソは、人質として利用されるよりはと母が自決した事を知る。
 並のキャラクターなら、メンドーサの一党のみならず、肝心なところで役に立たなかった親戚に憎悪の八つ当たりを向けても良さそうなものですが、むしろ、自分も母親を喪っていたとすればメンドーサを前に平静を保てていただろうか……と考える方向に行くアルフォンソ、もはや、このキラキラはどうすれば消す事ができるの!?
 一時は集った魔戒騎士たちの血の宿命はバラバラにほどけ、果たして其れが再び集まる日は来るのか、己が血の証明を失ったレオンが崖から転落する姿で、つづく。
 1クール目の締めに大きなターニングポイントを作って、第1部→第2部のような構成にするのならば、

 1・レオンがなんやかや暴走して、それを止めたヘルマンが殉職
 2・レオンがなんやかや暴走して、それを止めようとしたアルフォンソが瀕死
 3・レオンがなんやかや暴走して、その結果、アルフォンソがメンドーサに取りこまれる

 辺りを想定していたのですが、アルフォンソが全て倒した上に黄金騎士交代はさすがに予想外でした(笑)
 メンドーサに関しては、あっさり退場パターンと見せてやっぱり復活パターンだとは思いますが……というかそうでないと、因果にふさわしいラスボス候補がアルフォンソしか居なくなってしまうので、メンドーサには色々な意味で復活していただきたいです。
 こうなってくると、一同再結集から、真の黄金騎士ガロ覚醒が、一番燃えそうかなと。
 それにしても、魔獣ガロを停止させ、核・電気・重力・磁力の4つのパワーを全て入手し、伝説級ホラーを一刀の元に成敗するアルフォンソが規格外に過ぎるのですが、母方は黄金騎士の血統として、全盛期の国王陛下はやはり、たまたま道で出会ったホラーを素手で撲殺するレベルの伝説級蛮族だったりしたのかもしれません。
 メンドーサは思いました(駄目だこいつ……薬を盛るしかない)。
 ここ3話ほど、完全に喧嘩っ早いヤンキー以外の何者でもなかったレオンは、ある意味では主役らしい扱いになってきたといえますが、果たして、諸々立ち直る事ができるのか……流れとしては、ベルナルドさんの鎧を拾うと、熱い。後は、なんだかんだと妙にレオンを気に懸けているエマのピースがどこにはまっていくのかは、楽しみなところです。
 次回――は、配信のサムネイルと違うので、予告映像は放映当時のスタッフ(声優?)座談会とかでしょうか……?