『仮面ライダーV3』感想・第14話
◆第14話「ダブルライダー秘密のかたみ」◆ (監督:山田稔 脚本:伊上勝)
見所は、山中の高低差を活かした、カット割り無しのV3キック!
……これ、水中にきちっとマットが敷いてあったのか大変心配になり、うおおっ! というより、えええっ?! となる70年代アクション。
「古代戦士の精霊よ、彷徨える悪魔の魂よ、集まりきたりて我に力を」
デストロンでは、大幹部として日本支部に赴任したドクトル・ゲーの歓迎会が開かれると、黄金のマサカリを振るうゲーが戦闘員を次々と屠っていき、肩書きはドクトルですが、やっている事はだいぶ蛮族。
物凄く大雑把にいうと、中世ヨーロッパの兵士風、なシルエットのゲー(親戚筋にフクロウ男爵)ですが、赤青カラーでマントを羽織り、胸に大きくデストロン印があしらわれている為、遠目には若干、スーパーマン風味もあります。
「デストロン……世界征服はなるかならぬか、仮面ラーイダーV3を消すことにある」
オカルト大好き組織デストロンの大幹部だけあって、精霊の力を得た時は無限の力が溢れてくると称するゲーの元に怪人ガマボイラーが姿を現すと、「V3を倒す為なら、俺は死んでも本望だ」と、“一生に一度しか使えないあの装置”を使う覚悟を表明し、前回今回と、忠誠度の高い怪人が続きます。
やっぱり、付けてて良かった忠誠回路!
その頃、国際警察を名乗る人物から少年ライダー隊本部に向け、V3の重大な秘密を伝えると不審な連絡が入り、先回りしたデストロンは、「少年ライダー隊青年部」なる怪しすぎる所属を騙ると、平均年齢は40代でも青年会です、と国際警察を名乗る男に接触。
自称国際警察の男の正体を見定めるべく、志郎はこの成り行きを物陰から黙って見過ごし、殺伐としたデストロンとの騙し合いの真っ最中、情報提供者といえど頭から信用してはいけません。
不審な男がデストロンの拷問を受けるところまで確認したV3は、今来ました! と男を救出。男からダブルライダー暗号が記された地図を受け取り、秩父山中のある場所に、V3の致命的欠点に関する情報が隠されている事を知る。
……まあそもそもV3、説明書も用意できないまま緊急手術で完成しており、耐久試験や出力の最終調整などもせずに現場に出ているかなりヤバいモデルな為、事前に致命的欠点が記されているのもだいぶ不自然なのですが……裏を返すと、その場のアドリブだけでV3が完成したとは思いにくい為、秩父山中に隠されているのは、本郷と一文字が酒に酔った勢いで「ちょっと俺らの後輩とか考えてみないか?」と好き放題を記した、「ぼくたちのかんがえたさいきょうの改造人間」メモとかであり、世に出すには恥ずかしい夢のスペックが延々と書き連ねてある嘘仕様書とかなのでは。
風見志郎の脳裏に、ダブルライダーの録音メッセージが響く!
「「志郎、間違って世に出る前に、そのメモを燃やしておいてくれ!!」」
果たして一体、V3の致命的欠陥とは何か……どう転がるにせよ放置してはおけないと志郎は藤兵衛&(勝手についてきた)シゲルと共に秩父へと向かい、その後を追うデストロン。
藤兵衛とシゲルを先行させた志郎は、背後を追ってくる戦闘員を一網打尽にしようと待ち伏せからの奇襲を仕掛け、抜き身のナイフを手に高笑いしながら、投げナイフの一刀で戦闘員を仕留めるのが、かなり殺意高い。
だが藤兵衛とシゲルにはガマボイラーが襲いかかり、高圧スチームで焼き殺されそうになった藤兵衛が人質に。
「俺と戦ってV3は勝つ。だが、その瞬間から、ライダーV3には死が訪れる。わからんだろうな」
「おまえに勝つと……V3が死ぬ?」
執拗に戦いを求めるガマボイラーの挑発に応じて変身したV3はこれを撃破するが、瀕死の状態でV3に組み付いたガマは、V3の顔面に謎の泡を浴びせてから大爆死。
そこに戦闘員を引き連れたドクトル・ゲーが現れて両雄の初顔合わせとなり、片方、顔面にクリームパイを投げつけられた後みたいな事になっていますが、デストロンの陰謀です。
「ラーイダーV3、いよいよおまえの最期が来たようだな」
よく見ると髭が星型のゲーはV3の攻撃を軽々と盾ではじき返し、ガマの泡を浴びたV3は、エネルギーが自然消滅していくと判明。出力不足のままドクトル・ゲーの猛攻を受けたV3は滝壺へと真っ逆さまに転落し、恐るべし新幹部現る! ……というには、1クール目に割とあったパターンでV3通常運行なのが(笑)
基本、負け癖のついているV3、新たなる強敵登場、の危機を描くには立花藤兵衛惨殺とか少年ライダー隊本部壊滅ぐらいしないとインパクトが出せそうにないですが、前者は本当に危なくなったらダブルライダーが甦ってきそうなぐらい不死身であり、後者は完全にデストロンの情報源として泳がされているのが、難しいところ。
そう考えると、旧本部を地の底に沈め、ダブルライダーを道連れにしたハサミジャガー&カメバズーカは大健闘で、新ヒーローへの世代交代を劇的に描く仕掛けとして、このパイロット版が巧くやりすぎた点はあるでしょうか。
旧ヒーローを立てつつ、思いつく事を綺麗にみんなやってしまって、後にお釣りが残らなかったという。
次回――今のところ、戦闘員と弱ったV3を殴り飛ばしただけのドクトル・ゲー(外見のインパクトは凄い)の、もう少しいいところが見たい。