『仮面ライダーV3』感想・第13話
◆第13話「恐怖の大幹部 ドクトル・ゲー?!」◆ (監督:山田稔 脚本:伊上勝)
次回予告の時点から気になっていたのですが、サブタイトルの「?!」が疑問を呈しているのは、「恐怖」なのか「大幹部」なのか「ドクトル・ゲー」なのか。
「おい、どうしたんだ?」
「変な電波が入っている」
「――俺の名はドクトル・ゲー。デストロン日本支部の大幹部として、日本に向かいつつある」
「ドクトル・ゲー!」「デストロン大幹部!」「ドクトル・ゲーが!」「日本に来る!」
無線の周波数を把握していない新上司からの赴任通告に、日本支部に震撼走る……!
一方、風見志郎の後輩であり人類学を学んでいる男が、「イノシシ男」伝承の真実を求めて恋人と共に牙ヶ岳を訪れるが、そこに待ち受けていたのはイノシシ男はイノシシ男でもデストロンの怪人・ジシャクイノシシであり、山に入った後輩は消息不明に。
牙ヶ岳に向かった風見志郎の前には磁石イノシシが姿を現し、乗用車さえ自在に持ち上げるスーパー磁力ハンドを振るうと、試し切りで崖から落とされた自動車のドライバーが何故か生きていたりやけに台詞も多いのは、風貌や芝居の雰囲気からするとゲストに招いたコメディアンとかだったりしたのでしょうか。
「物騒な磁石を付けて、都会の交通を混乱させる目的か! そうはさせん!」
V3は雄々しくイノシシに立ち向かい、相手の能力を見て、何か言う前から勝手に作戦内容を決めつけるのが、新しいヒーロームーヴ(笑)
デンジバリアによりV3キックを跳ね返されたV3は、イノシシ体当たりから、電子頭脳に対する磁力攻撃を受け、データ消失の大ピンチ。
「このままでは……狂い死にしそうだ!」
「もがけ! 苦しめ! そして狂い死にしろV3!」
日常生活でも「時計の針が狂う」ぐらいは普通に使うので、「電子頭脳が狂う」まではそれほどおかしくないのですが、映像として人型の存在が頭を抱えて苦しむ事で、それが「(人格的に)狂う」にスライドされる、日本語のマジック(笑)
頭脳崩壊の危機に抵抗不能のまま崖を滑り落ちたV3は派手な粉塵の中に姿を消すが、それは偽装工作であり、自爆偽装技・逆タイフーンの術が、26の秘密にカウントされたのは、個人的なツボでした。
辛くも窮地を脱するV3だが、逆タイフーンの術には、一度使うと3時間の間は変身不能に陥る弱点が!
本日もボロボロになった風見志郎は藤兵衛に非常連絡を行い、イノシシにすり替わられた志郎後輩を尾行してもらうが、怪人に感づかれて尾行は失敗。かと思ったら、新幹線を狙う後輩の前に志郎が現れて藤兵衛の行動にはさしたる意味が無かった事になり、今回は全体的に無理のある設定と、削っても良さそうなシーンが目立って、テンポ悪し。
志郎が後輩イノシシに詰め寄ると後輩恋人が割って入って一悶着となるが、イノシシはすんなり正体を現し、後輩恋人を逃した志郎は……
「変身――V・3!」
……不発。
ナレーション「まだ3時間は経っていない。志郎がV3に変身できるのは、あと1分後なのだ」
あれ? と志郎がベルトを確認するところに即座に入ったナレーションがまるでメタツッコミの如くとなり、意図せざる偶然の産物だと思うのですが、まるでパロディ的な漫画のような演出になりました(笑)
生身のままイノシシの殴打を受けた志郎は気を失うとビルから投げ落とされるが、その際の風圧で目を覚ますと変身の制限も解除され、空中で、変身・V3!
連続ジャンプで磁石イノシシの背後を取ると、壮絶な蹴り合いの末に、V3なんとかチョップで大事な磁石を部位破壊。しかし、イノシシには、新幹線爆破作戦とは別に、もう一つの隠された使命があった。
それは、V3の目を引きつける事で、配下の怪人軍団を引き連れたドクトル・ゲーを日本に無事上陸させる事……って、デストロンの中ではV3は、上陸の情報を得るや、輸送機だったり船団だったりをまとめて撃墜/撃沈するような扱いなのでしょうか(笑)
「ゲー作戦は成功したのだ!」
新幹部赴任の為に我が身を犠牲にする覚悟を持っていたデストロンの勇士・磁石イノシシは、V3を道連れにしようと捨て身の体当たりを放つが、足を滑らせ気味のV3に回避されると崖を転がり落ちて爆死し、冴えない最期を遂げるのであった……。
「ドクトル・ゲー……いったい何者だ」
その頃、デストロン日本支部には火花と共に巨大なGのマークが浮かび上がると、デストロン印の黄金の兜を被り、巨大な盾とマサカリを手にした髭の男が着任していた。
「ドクトル・ゲーは日本に来た以上は、仮面ラーイダーV3など一撃の下にこの地上から、抹殺してごらんにいれます」
デストロンにいよいよ大幹部登場の新展開で、つづく。
導入に用いた「イノシシ男」の設定はあまりに無理がありましたし、志郎の後輩カップルは持ち込んだ要素がこじれそうになるとすぐに解決してしまう半端な使い方に終始しましたし、デストロンのやり方からすれば既に殺害されているだろう後輩男は何故か志郎が生存を仄めかすも最終的なフォローは全く無し、とあれもこれも巧く繋がらず、新展開初回としては、残念な出来。
ただ、
敵の作戦内容を率先して決めつけるV3!
偽装自爆技を使うV3!
まだ3時間経ってなかったV3!
は三本立てでそれぞれ強いインパクトがありました(笑)
ドクトル・ゲーは、デザインと、有名な「仮面ラーイダーV3」の言い回しは知っていましたが、具体的なキャラクター性については知らないので、ここから作品がどうなっていくのか、楽しみにしたいです。