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繋げなければヒーローじゃない

 さくさくと。

『ひろがるスカイ! プリキュア』感想・第17話

◆第17話「わたせ最高のバトン! ましろ本気のリレー」◆
(脚本:井上美緒 演出:畑野森生 作画監督:増田誠治)
 体育祭に向けて、選抜リレーのクラス代表を選ぶ事になり、真っ先に手を上げて女子(ソラ)を推薦するそこのソバカスメガネは本当に、思春期の男子の心をどこに捨ててきたの?!
 姉5人に妹2人とかの家庭環境で、物心ついた時には既に捨てていたの?!
 まあソラは、男子とか女子とかを超越した枠という説もありますが、ソラが選ばれると当然のようにましろが巻き添えを食らう定番の展開で……特訓だ!!
 「人はその体を鍛えれば鍛えるほど強くなる。そして人知を越えた力、想像を絶した力を引き出す事が出来るんだ」
 そう姿長官も言っていた。
 かくしてAパートはほぼリレーに向けた特訓に費やされ、いくらランボーグ待ちとはいえ、2話前にスカイランドの王都が吹っ飛びかけ、国王夫妻が意識不明になったタイミングでのんびり学園エピソードを入れてくるのは悪い意味で今作らしいですが、一方で、最近の今作にしては作画が丁寧かつ、奥行きや広がりを意識して映像が平板になるのを避けた画面構成で、“ちゃんと芝居をつけて動かせている”のは、好印象。
 「美しい街だね……でも、美しいものほど、脆く、こわれやすい。……ああ、哀しいな。本当は、壊したくなんてないのに」
 いよいよ体育祭当日、街に現れたバッタは高いビルの角に立って微笑み、君は毎回毎回、長い台詞で一からキャラを立て直すところから始めないといけなくて、大変そうだな!!
 選抜リレーでは、激走ましろさんコケたーーー、から、ソラ・ハレワタール末脚爆発、で勝利を収めるが、笑顔のソラは、ましろの表情が硬い事に気付き……わざわざ学校イベントをやっておきながら、リレーで盛大にコケたましろに、クラスメイトの誰一人として寄ってこずに、結局ソラとましろの二人の世界に突入してしまうのが、つくづく残念。
 演出面での工夫が見える話でしたし、ましろが特訓の成果を出せなかった自分自身の不甲斐なさに悔し涙を流すのは良かっただけに、ここで不自然に「他者」が世界から切り離されてしまうのが大変勿体なかったですが……これもう、クラス公認カップルなの?
 それとも、実はましろんクラスで嫌われてるの??
 これならましろは、引っ込み思案で気弱な女の子にでもした方が良かったように思えますが、話の都合でそれなりのコミュニケーション能力を有している割には、家族とレギュラーメンバー以外との会話があまりにも少なくて不安になってきます……もしかして:プリキュアシステムの副作用。
 嫌な疑惑が浮かび上がる中、ソラシド市に来てからの行動原理が曖昧な為、エピソードに全く関わらずにただランボーグを生み出す装置と化しているバッタが現れると、校庭に線を引くやつことラインマーカーボーグを製造。
 ましろ問題の流れで考えると、複数の敵幹部が居て、戦闘前に多少なりとも性格の違う「会話をかわす」事には一定以上の意味があるのだなと気付かされるわけですが、バッタがまた、“会話が成立しないタイプ”な事も、問題に拍車を掛けます(その点、カバトンさんは多少なりとも会話が成立していたのは大きい)。
 ラインマーカーの超高速移動に苦戦するプリキュアだったが、ウイングがちょっと活躍後、プリズムが光弾をスカイに託し、
 「剣さん、投げて! ドラゴンボールなら、必ず命中させる事が出来る筈よ!」
 そう渚さやかも言っていた。
 誓いのプリキュア魔球ドラゴンスカイボールが炸裂するのかと思ってワクワクしていたら、テンション上がって超高速で走り出したスカイが、ほぼほぼ至近距離からプリズム光弾を叩きつけ…………なんだったのか、プリズムのバトン。
 撃破したランボーグから今回もエキスを回収し、話の都合でなんとでもなるとはいえ、おおよそあと10回ぐらいは集めないと駄目そうですが、この機械的なドロップ狩り(素材回収の為だけのランボーグ退治)があと10回も続くと考えるのは相当辛いので、早いところ被り物とか被り物とか被り物の投入を期待したい。
 「ましろさんが出会ったのは……どんなましろさんですか?
 「思ってたより負けず嫌いで、思ってたより、走るのが好きな自分、かな?」
 「ふふふふふ、ましろさんはエルちゃんと同じ。歩き出したばかりの赤ちゃんね。自分の中にたくさんの可能性があることに気付いて、どんどん成長していく」
 戦い終わって一同でアフタヌーンティーとしゃれ込みながら、ましろの「ひろがる世界」に強引に接続し、これが1クール目なら“新しい友達と出会ってひろがる世界”として飲み込める内容ですが、2クール目入って未だに、“クラスメイト完全無視してソラとましろの二人だけの世界”での気付きを「ひろがる世界」として出してくるのは、率直にかなり厳しいところ(流れ弾であげはさんも、「新作コスメを試す」しか引き出しのない人になっており……)。
 恐らくかなり意図的にやっているにしても、これだけしか描けない(描く気のない)作品だと思いたくはないのですが……次回――ようやく、第4のプリキュア、誕生。