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牙狼<GARO> -炎の刻印-』簡易感想3

●第7話「人狼-SORROW BEAST-」
 「ただ、幸せな夢を見せてやりたかったのだ……おまえさんにもな」

 よりにもよって王子と間違えて密告されたレオンは黒の騎士団に追われる身となり、ホラー騎士団を率いるポニテの剣士は、なんと鎧を召喚。
 劇中初の魔戒騎士同士の激突となり、ガロは巨大な盾を操る漆黒の騎士に完敗するが、危ういところをエマの糸に助けられ……格好つけて貸しをアピールしていたら、飛び道具で糸を切られました(笑)
 勢いを付けて吹っ飛んでいったレオンは、自らが人狼と化す悪夢にうなされると、目が覚めた時には頭を打った拍子に記憶を失っており、助けられた地域には人狼伝承が。
 さすがに飛距離に限度があるので、多分、王都の貧民街かとは思うのですが、話の都合で「土着の伝承」を持ち込んだ為に――王都でのエピソードとは切り離したかったにしても――切断が強引な事に。
 心の壊れた少女、怪しげな笛吹き男、奴隷商人と繋がった救貧院、土地の古い伝承、両親を不条理に殺され復讐鬼となって戻ってきた少年……と素材は入れ替えてあるものの、基本的には第4話と同じ料理で、なにやら大変やっつけ風味。
 第4話では少年の姿に攻撃を躊躇っていたレオンが、今回はあっさりとホラーに刃を向け復讐の情念を切り捨てるのも、魔戒騎士としての成長とするには急に飛躍が過ぎて、割と大事な要素を雑にやってしまった感があり首をひねります。
 最後に、ホラーを倒した黄金騎士が、助けた筈の子供たちから「人狼」と勘違いされて逃げ出される(そもそも、人狼伝承とは……? と視聴者に思わせる)オチで一ひねりつけるものの、そこでクスリとさせるような内容でも無かったのであまり効果を発揮せず、総じて残念な出来。
 街へと戻ったレオンは、全く太刀打ちできなかった敵の出現に、しばらく自分を見つめ直す道を選び、それを受け止める父ヘルマンは、今、全裸だった。
 「見ての通り俺は今、わけあって服を着ていない。金も無い。凄く困っている」
 次回――なぜヘルマンは、全てをかなぐり捨てる事になったのか。
 基本設定の紹介を行いながら、第6話までかなりテンポ良く進んできた今作、ここで一旦ペースを緩めて、今回はレオン、次回はヘルマン、と個別のスポット回にするようですが、とにかくほぼ第4話の焼き直しなのが、いただけないエピソードでした。
 なお、復讐者ペペの声がやたら二枚目で誰かと思ったら柿原徹也で、前回の、弟子:山口勝平につづき、ゲストがけっこう豪華路線。

●第8話「全裸-FULL MONTY-」
 「てめぇなに素っ裸になってんだゴラぁ?!」

 「俺は、今みたいに生まれたままが一番嬉しいねぇ」
 時は少々遡り、密告されたレオンが宿屋を追われていた頃、ヘルマンはのっけからピロートーク全開で、最低な感じだった(笑)
 翌朝、息子の身に起こっている事など露知らず、身に染みついた香水の匂いを気にして街をぶらついていたヘルマンは、3人組の男に追われている女性・イレーネを行きがかりで助けるが、4人一組の美人局にまんまと引っかかって身ぐるみ剥がされ、全裸で始まる大逃走。
 「よくわからんが、どんどんやばい状況になってるぞ……」
 いつの間にやら詐欺グループは姿を消すも、街を騒がす変質者として兵士隊に追われる身となったヘルマンは、通りすがりのエマに助けられ、レオンと暗黒騎士の邂逅を知る……。
 「これであいつも、今のままじゃ駄目だってことは、わかっただろう。問題はこっからだ。自分に抜け落ちてるものに気付けるかどうか」
 「魔戒騎士は戦う者ではなく護りし者。このまま相手を倒す力だけを求めるようなら……」
 「レオンに黄金騎士の資格は無い」
 つまり、逃げる犯人を追い詰めて「しまった……。秘密を守る為に自爆してしまったんだ」とか宣うヒーローは魔戒騎士失格であり、エマから得た情報を手に、今作2回目の登場となる番犬所へと乗り込んでいくヘルマン。
 暗黒騎士ベルナルドは、かつてヘルマン(ロベルト)と共に研鑽を結んだ魔戒騎士であり……生真面目枠、生真面目枠だ!
 「相変わらず真面目だなぁ、おまえは」
 「ん? ……そうでも、ない。――時々、魔戒騎士の掟を、破ってみたくなる。どうしようもなくな」
 全体的にさりげない表情の付け方(顔の角度とか)が巧い回でしたが、ここの台詞回しと間が大変良くて、人斬りポニテ剣士のベルナルドさん、個人的に一気にいい感じのキャラになりました。
 魔女狩りの兵団からヘルマンとアンナ(妊娠を仄めかす描写あり)を逃がす為、《ここは俺に任せて先に行け》を発動したベルナルドは、絶体絶命の状況で(恐らく)魔戒騎士の禁を破り……それから十余年。
 「来い、ロベルト……」
 「……ベルナルドか……こりゃ、こっちも覚悟しねぇとな」
 番犬所では服のレンタルは受け付けてくれず、全裸のまますごすごと街で戻ってきたヘルマンは、ホラーと化した詐欺グループの一味を倒す事で一応のバトルシーンを確保すると、物語は前回ラストに接続されて、つづく。
 お笑い回かと思ったら意外といい話だった……はままありますが、お笑い回かと思ったらシリアスな回想がメインのちょっとした変化球で、青年から中年、スケベな2.5枚目から真摯な父親であり魔戒騎士という、時も超えた複数の顔を1エピソードで違和感なく演じ話の緩急を一人でコントロールしてみせる、堀内賢雄アワーでありました。
 ついでに鎧も省コスト。
 ちょっと気になるのは、逃走中のヘルマンが出会ったシーツを洗っている女性が妙に場慣れしていた点ですが……果たして布石なのかなんなのか。