『仮面ライダーV3』感想・第9話
◆第9話「デストロン地獄部隊とは何か!?」◆ (監督:田口勝彦 脚本:内藤まこと/佐伯俊道)
行川で開催された日本モトクロスチャンピオンレースに、ディフェンディングチャンピオンとして出走する風見志郎だが、同時に藤兵衛と共にデストロンの動きを警戒しており、実際のレース映像とバイクスタントを組み合わせた、なかなか迫力のあるモトクロスシーン。
順調に進んでいたレースだが志郎らの危惧は当たり、レース中に一部のバイクが勝手に走り出すと数名のドライバーがコースを外れてデストロンに捕らえられ、改造液の注射によって、デストロンレーサー地獄部隊へとインスタントに改造されてしまう。
……悲痛な呻きをもらしながら無理矢理改造されてしまったレーサー達が、両手を頭上に縛り上げられた体勢のまま、一斉に目を光らせて悪人化粧で同じに方向へ顔を向けるのが、ちょっと面白映像に(笑)
「レーサー地獄部隊の誕生、おめでとう」
一方、純子とシゲルは何故か孔雀に襲われ、逃げたところに現れるレンズアリが、メカ遮光器土偶みたいなデザインで、なかなか格好いい。
レンズアリの攻撃による派手な爆発に見舞われた2人は気を失ってさらわれ、消えたレーサーの行方を捜す志郎は、怪しげな洞窟の奥で、またも孔雀と遭遇し……なぜ、孔雀推し。
……この当時の行川アイランドで、目玉だったりしたのでしょうか。
首領の指示により、新設されたデストロンレーサー地獄部隊が出撃すると志郎に襲いかかり、変身V3!
バイク部隊に囲まれたV3は、巧妙に崖を背にする事で敵の突進力を殺し……あ、コケた。
大事なバイクから転げ落ちた地獄部隊のヘルメットを剥ぎ取ると、見知った顔のレーサーが目を光らせてデストロン戦闘員に早変わりし、アイキャッチを挟んで、バイクスタントが1分も続かなかったのですが。
もはやただの5名の戦闘員にV3は割とざっくりパンチやキックを叩き込んでいくが、一応手加減しているのか、或いは改造液の効果なのか、けっこうタフな戦闘員たち……あ、一人海に落ちた。
……あ、戻ってきた。
……あ、また落ちた。
……あ、まとめて落とされた。
前座が退場してレンズアリが登場すると、
「デストロンの怪人、貴様の名前は!」
「教えてやろうか。全世界にその名を轟かせた、レンズアリとは俺様の事よ」
「なに? レンズアリ?!」
と、なんだか不可解なやり取りの後に、レンズアリによる自然石割りのパフォーマンスが行われ、何か当時の流行り物の影響などがあったのでしょうか。
怪力によってV3の腕を締め上げたレンズアリは、更にレンズ大爆発(目にあたるレンズ部分が回転する構造になっているっぽい)でV3を追い詰めるが、攻撃力特化の仕様だったのか、V3キックを一発浴びると泡を食って逃走。
V3はアリをシグナルで追跡しながらハリケーンで疾走し、波を蹴立てながら砂浜を爆走するハリケーンはシンプルな格好良さ(塩水を浴びまくって車体には悪そうですが……)。
アジトに戻ったアリは首領からお叱りを受け、追跡を続けるV3は、お馴染み行川アイランドに到着すると、ハリケーンで施設の壁をぶち破った!!
もはやデストロンの資金源の一つと化している行川アイランドのバックヤードにV3が突入していくと、レンズアリは戦闘員と共にこれを迎え撃ち、ここで戦っている戦闘員は果たして地獄部隊なのかどうか……戦闘員との格闘戦でかなり尺を稼いでいる回なのですが、一応顔を確認したV3が、70年代らしくさらっとジャッジメントしてしまうのかについて、ちょっとしたスリルが付きまとって妙な緊張感があります(笑)
戦闘員を蹴散らし、レンズアリの背後からの襲撃をなんとか切り抜けるV3だが、首領命令により送り込まれたカミソリヒトデが海中より出現し、緑色の半魚人が赤いヒトデアーマーを背負っているようなデザインが、率直に、気持ち悪い。
「どんなデストロンの怪人が現れようと、私は倒す! それが地球の平和を、守る者の務めだ! 来い!」
V3はやたら大仰な啖呵を切り、カミソリヒトデが右手に埋め込まれたドス……ならぬカミソリの切れ味をデモンストレーションすると、人質に取った純子とシゲルを突きつけながら迫るダブル怪人。
先程から繰り返される、漁港でそれいいんだ……レベルの爆発に飲み込まれたV3の運命や如何に?! で、今回もピンチで引っ張り、つづく。
やたら前口上にこだわる怪人、微妙にこれまでと傾向のズレたV3の啖呵、実質的なサブタイトル詐欺と、引っかかるところは幾つかありましたが、レース映像の使い方の巧さや、レンズアリのデザインの秀逸さもあって、なかなか楽しめたエピソードでした。
次回――デストロン地獄部隊に出番はあるのか?!