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であるく魔王様!

忍者戦隊カクレンジャー』感想・第30話

◆第30話「再会 裏切りの父」◆ (監督:小笠原猛 脚本:杉村升
 極意の巻物を揃え、再び集ったカクレンジャーは、大魔王復活の道を閉ざす為に封印の扉を物理的に破壊せよと指示を受け、三太夫
 「行け! カクレンジャー!」
 と号令をかけるのが物凄い違和感ですが、多分この三太夫は、本来一つだった講釈師の魂と融合して誕生した、真・三太夫
 サスケの言行にせよ三太夫の立ち位置にせよ、立ち上がり、多投した変化球が大きく外れた後に、これといった工夫のないままに80年代的なセオリーを引っ張り出してきてそこに当てはめているだけになってしまったのは、今作の残念なところ。
 ある意味では、(フォーマットの中でどう見せるかの工夫が繰り返されていた)実際の80年代戦隊よりも、(表面上の型だけ持ってきた為に)80年代的になっているといえます。
 スーパー変化した5人の前にはギターをかき鳴らして貴公子ジュニアが立ちはだかり、大魔王様は魔界の底から、歩いてきていた。
 「大魔王様の足音よ! あと少し、あと少しでこの地上へと辿り着く!」
 ドラムロールのような演出のわけですが、約一ヶ月、ずっと歩いてきていた大魔王様は、庶民派で健脚。
 攻撃こそ最大の防御だ! とすかさず超忍獣を繰り出したカクレンジャーは巨大化したアーミードクロを袋だたきにするが、突如として現れたごつい白銀の鎧の男が大魔王から受けた力を放つと、一撃の下にまとめて吹き飛ばされてしまう。
 謎の鎧武者の名は、妖怪王国軍師・白面郎。……何かを記憶を刺激するな……と思いずっと考えていてようやくわかったのですが、今見ると、鎧武極アームズにちょっぴり似ています。
 カクレンジャーの前に立ちはだかると、サスケの手裏剣を受けてさっくり仮面が割れるが、その下の素顔はなんと、死んだとされていた鶴姫の父(演じるのは、二代目バルイーグルだった五代高之)。
 もはや仮面をつけていた意味が無いレベルでしたが、ネーミングセンスも前作の鉄面臂張遼そっくりで、もう不安しか湧いてきません。
 「久しぶりだな、鶴姫」
 「お父様……」
 白面郎はショッキングな再会を演出すると悠然と去って行き、恐るべき敵現る! なのですが、今作2クール目を引っ張った存在といってよく、大魔王復活のお膳立てを整えて作品貢献度の高いジュニアが手も足も出なかったゴッドシリーズを、大魔王ブースト×不意打ち効果付きとはいえポッと出の白面郎が一撃で叩き伏せるのは、いくら白面郎のインパクトを出す為にしても、持ち上げ過剰でノリにくい展開。
 これが本当に、凶悪無比な新幹部登場! ならまた少し違いますが、どう考えても出し抜き前提の訳ありキャラの気配ですし……そう思わせて本当に外道に堕ちていました! なら、それはそれでまた評価が変わりますが(笑)
 「今から10年前、妖怪の研究をしていた殿は、暗黒世界で眠る、大魔王の存在を知った……」
 鶴姫らの疑問に対して、三太夫は白面郎すなわち鶴姫父の真実について語り、大魔王復活を阻止するべく、鶴姫と兄妹同然に育った側近の太郎・次郎(演:双子といえば土屋ブラザーズ)を連れて旅に出た鶴父が、妖怪の軍門に降っていた事を明かす。
 太郎と次郎は行方不明となり、実の父は妖怪陣営に鞍替えし、幼い鶴姫の心情を慮って三太夫は事実を隠蔽し……そこで聞いているサスケとサイゾウ、妖怪側にカクレン情報を持つ人間が居たとなると、君たちが封印を解くように“仕向けられた”の、かなりの確率で、鶴父が原因だからな!!
 その意図するところは鶴父の真のスタンスによりますが、現場に三太夫が居合わせた事を考えると、打倒大魔王の遠大な計画の一部としてして“仕組まれていた”可能性もあり、どちらに転んでも、サスケとサイゾウ、それから所在をチェックされていたセイカイ、鶴父&三太夫&関東忍者会によって、青春をいいように弄ばれていた可能性が激しく高まります。
 大魔王復活まで後1日――ジュニアから疑いの目を向けられ、信義の証としてカクレンジャー抹殺を命じられた白面郎は三太夫とコソコソ密会。三太夫は弟子と呼ぶ忍犬使いの少年にこれまたコソコソと指示を出し、この忍犬の名が太郎・次郎と呼ばれていたような、気のせいのような……。
 一方、10年に及ぶ身内のだんまりと父の真実に打ちひしがれていた鶴姫だが、石にされた人々の叫びを耳にし、「私」の苦悩と葛藤から、「公」の動機を再確認。
 「たとえお父様が妖怪の仲間でも、私たちカクレンジャーには、苦しんでいる人を救う使命があるのよ」
 そうです、メンバーの1人は既に、師匠殺しを成し遂げています。
 しかし、封印の扉を破壊しようとする5人の前には、再び白面郎が立ちふさがる。
 「ジュニア様の命でな。おまえ達の命を貰いに来た。覚悟しろ!」」
 男4人はスーパー変化するが、手も足も出ないまま完敗し、派手に川落ち。
 「許せない! たとえお父様でも、許せない!」
 残った鶴姫がスーパー変化して父娘の一騎打ちとなり、つづく。
 次回――いよいよ新ロボ登場で、意表を突くフォルム。