『牙狼<GARO> -炎の刻印-』簡易感想2
●第5話「堅陣-GAIA-」
「黄金騎士ガロ……貴様にも、その血が流れている」
アルフォンソをホラーから救った臙脂の鎧の魔法騎士、その正体は、かつて黄金騎士の友であった者、ラファエロ。
「私に、ホラーを討つ技を教えていただきたい!」
「その前に、貴様は知らねばならぬ。……自分の、宿命を」
ラファエロの口から明らかにされるのは、17年前に魔女として火あぶりにされたレオンの母アンナと、アルフォンソの母である王妃エスメラルダは、実の姉妹であったという真実。
レオンとアルフォンソは共に先代黄金騎士の孫であり、系図の上では従兄弟同士となるのであった。
黄金騎士の血統を絶やさぬ為の保険として幼い時に貴族の養女とされたエスメラルダは自らの出自を全く知らず……どこにでもちょこまかと入り込む鼠のような血め、というメンドーサさんの怒りは、だいぶ正確なところを突いていました(笑)
黄金騎士の鎧はアンナの血統に引き継がれた為、ちょっと壁を走れるぐらいのアルフォンソだったが、自らの身に降りかかった奸計と、国を覆うホラーの存在を知ったからには、引き下がる意志はない。
「それでも……たとえ私の力では奴らに及ばないとしても、私は守らねばならないのです。私の国を!」
いいぞ王子! その調子でキラキラし続けてくれ王子!
魔戒騎士の振るうホラー狩りの剣は、常人には持つ事もできない描写を挟み、ラファエロに拾われる形となったアルフォンソはその道行きに同道する事に。
「貴様の祖父殿は、戦いにおいてはまさに鬼神の如き人物だったが、世辞には些かうとくてな……」
見た目は山賊の頭目ながら、先代黄金騎士の世話を焼いて、偽造書類の調達とか、旅先での経費管理とか、何かやらかした時の後始末とか全般を請け負っていたらしいラファエロさんの株が、大幅アップ(笑)
「堅陣騎士ガイア――参る」
領主がホラーに魅入られた地で、ラファエロの変じた臙脂の騎士ガイアは緑の焔を操り、火力で押し切る超パワーを見せてホラーを討滅。王都に居てはわからなかった地方の実状、ホラーに侵食され荒廃した国土の有様を見て打倒ホラーの決意をより強めるアルフォンソは、ラファエロへの弟子入りを認められる。
一方、レオンの身にはザルバとの契約に基づく新月の一日の生命吸収タイムが降りかかっており、ちゃんと心配するお父さん。
「若きガロよ、おまえの炎を恐れるな。迷う時は自らの剣に問え。守るべきは、何者かという――全ての答はそこにある」
夢か現か幻か――新月の契約によりザルバの中に存在する、過去-現在-未来が同時にたゆたう空間の中で、先代黄金騎士の思念と邂逅したレオンは、目を覚ますといよいよ因縁の王都へと足を踏み入れるのであった……。
ところで、心の中の黄金騎士ガロさんといえば、足を潰してダウン状態の鋼牙に当たり判定のある置き波動を重ねてダメージを与えてくるガロさんの印象が強かったのですが、お爺さん(多分)は、そこまで鬼畜ではありませんでした。
レオンがぶっ倒れている間に、ザルバの存在も含めて黄金騎士の血にまつわる背景が語られる、いわば設定説明回なのですが、その聞き役をアルフォンソに回す事により、新たな師弟の誕生と、王国の現状を目の当たりにしたアルフォンソにとっての真の旅立ち、というドラマを巧く結合。
ラファエロ/ガイアの立ち回りでアクション面も不足がなく、レオンを気遣うヘルマン、なにやら王様に病んだ愛情を向けるメンドーサ部下(メンドーサは知らない様子)、と状況に応じた反応でキャラに広がりをつける描写も手堅く、秀逸なエピソードでした。
それにしてもGの一族……戦いから遠ざけようと貴族の家にねじ込んだら、まさか王妃にまでなっちゃうとはビックリだね、てへっ、みたいな仕事しているから、きっと組織では真面目で働き者だったメンドーサさんみたいな人にしわ寄せ(ストレス)が行くんですよ!!
●第6話「騎士-BLACK KNIGHT-」
「いい、坊や? これから先、無闇な怒りは大事なものを見えなくさせるわ」
17年前、アンナが火刑に処され、レオンが産み落とされた地にルイス父子は至り、
「さて、どうやって城に入る」
いつにも増して目つきの悪いレオンは、さっそくカチコミかける気満々だった。
まずは情報収集からとレオンをいなしたヘルマンは、自慢の息子の死を受け入れられずにホラーに囚われた鍛冶屋の親方に出会い、一方のレオンは商売女に絡まれていたところを魔戒法師エマに助けられるも、父親を反面教師に培われた潔癖さをからかわれ、なんか知っているなこの感じ……と思ったら、クラスの眼鏡委員長キャラだ、レオン。
現実と願望の狭間で記憶の混濁する親方は息子を求めて兵士を襲い、親方の弟子と知り合うレオンだが、ルイス父子は気のいい親方が既にホラーと化しているのを知る事に。
「……レオン! ……ここは俺に任せてくれ」
“父”という情念を背負う者として、やるせないヘルマンの横顔からの鎧召喚と、そこから流れ出す音楽が大変格好いい。
シリーズ構成:小林靖子繋がりに印象が引っ張られているのが一番ですが、親方ホラーは、正気を失って兵士に襲いかかるくだりといい、少々メカニカルなギミックといい、なんとなく『ウィッチブレイド』のエクスコンを思い出します(笑)
ちーん。
右手に握った鉄塊を、その場で鍛え上げて剛剣となす親方ホラーに対して、鎖を繋げた二刀を振るう白銀の魔戒騎士ゾロは、変幻自在の立ち回りからの真空飛び膝蹴り、そしてトドメの十字斬りでホラーを討ち滅ぼし、貫禄の強さを見せつけるのであった。
工房には、親方の死を乗り越えていこうとする弟子の鎚の音が響き、たまには良いことを言うポイントを稼いでちゃっかりエマと情報交換したヘルマンは、城の騎士団がホラー部隊になりつつある確信を深め、メンドーサの命で黒の騎士団を編成する人斬りホラーが姿を見せて、つづく。
2話続けてのガロの出番無しとなりましたが、レオンの掘り下げはしっかりされている(むしろ今までちょっと足りていなかった)のは、目配りの利いたところ。
レオンの性格付けに関しては、原典『牙狼』にもあったような覚えがある、“鋭いだけの剣は折れやすい”点への意識がありそうなので、(アルフォンソともども)今後の踏み込みを期待したいところです。
……それはそれとして、公式配信の宿命により、現状どんなにシリアスな事をやっても、第8話「全裸」(多分ヘルマンの)のタイトルが表示される事態に陥っており、ガーローーーーー!