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兄弟仁義だハリケーンクロス

イナズマンF』感想・第9話

◆第9話「少年サーカスとマルチ大作戦」◆ (監督:田口勝彦 脚本:上原正三
 注目は、夏服荒井の、観光地ではっちゃけてる中年男性感。
 西部のガンマンロールプレイだった筈が、ツアー旅行でテンションの上がった観光客みたいになってしまった荒井はともかく、デスパー軍団は東京郊外のレーダー基地を狙って動き出し、基地を見据えながら腕を×の字にクロスさせる腕スパー兄弟が妙に格好いい。
 合わせてあげている奇声は、
 「「けってーーー!」」
 に聞こえてなりませんが(笑)
 ナレーション「その頃、渡五郎は山中でひとり特訓していた」
 丸目のフェードアウトにより生身だとヒロイン力の上がってしまう五郎は道着姿で山ごもりを行っており、そこで出会ったスペイン少年サーカス団の団員・アキラ少年が、デスパーの作戦行動を目撃してしまった事からハサミデスパーに狙われ、追いつ追われつ五郎と交流を深めたり病院に運び込まれたり目撃情報を話したりするのですが、この少年の扱いがだいぶ千鳥足。
 この時代の作品を見ていると、時間や場所がポンポン飛んだり、理解しにくいシーンの接続をしたりはままありますが、それにしても、デスパー戦闘員を翻弄する軽業アクションはやりすぎな上に(そして意味不明な路上でんぐり返り逃走……飛び道具には、有効なのか??)、目撃・逃走・目撃を小刻みに繰り返す場面移動の忙しさがあまりにも落ち着かず、巻き込まれる形でハサミデスパーの行動も常にも増して不可解な事に。
 最終的には、少年が情報をもたらした時には既にデスパーによる基地襲撃が行われているので目撃情報の価値も薄くなり、極端にいえば、既に出来上がっていたシナリオ(映像)に、後から無理矢理サーカス少年のエピソードをくっつけたような内容。
 実在サーカス団の日本公演連動企画回とおぼしいのですが、少年の登場シーンだけ追加で撮影し、出来上がっているフィルムのあちこちにねじ込んでから強引に話の辻褄を合わせたと言われても納得してしまいます(実際にそうやったとは思いませんが、それぐらいのレベルで、少年の登場シーンが集中的に不自然)。
 自衛隊?のレーダー基地を利用し、腕スパー兄弟の放つクロスハリケーン電流を強化する事で都市をまるごと消し飛ばすマルチハリケーン作戦を阻止しようとするイナズマンはハサミデスパーと激突し、注目2は、地面に落ちていたコンクリート片を拾い、思い切りハサミデスパーの顔面に叩きつけるイナズマン……これが、特訓の成果だ!
 ハサミの握りの部分を頭部に配置して両目に見立てているのがなかなか面白いデザイン――結果的に覆面強盗みたいになっている――ハサミデスパーは両手のハサミを飛ばすと、追い立てられるイナズマンは凄くナチュラルに空を飛び、これも、特訓の成……果なの?
 イナズマン、明らかに空が飛べるのですが、雷神号の手前あまり大ぴっらに飛べないけれど、でも時と場合によってはやはり飛んでしまうのが、前作から通して苦慮の見えるところです(笑)
 まあ、エネルギー消耗が激しいので長時間は飛べないとかなのかとは思われますが。
 ジェットハサミを誘導したイナズマンは、激しい空中縦回転によるパワーキックでジェットハサミを木っ葉微塵にすると、両手のハサミを破壊され、アイデンティティを失ったナニカノデスパーに、超力目つぶしチェストー!
 からの、首おいてけチェストーー!!
 の衝撃映像で、頭部をもがれてパニックに陥ったモウナニガナニヤラデスパーにイナズマンキックを叩き込み、弱ったところにトドメのゼーバー落雷の術を炸裂させて、デスパー怪人チェストでごわす。
 早々にエピソード怪人を撃破後、マルチハリケーン作戦阻止の為に雷神号を召喚する変則展開で、イナズマンは占拠されたレーダー基地へと突入。
 「ふふふふふふふ……これで東京は、全滅か」
 チェックメイトをかける総統だが、放たれたクロスハリケーン電流が増幅される寸前に、イナズマンが特殊装置の取り外しに成功し、マルチハリケーンは不発に終わる。
 「おまえ達はまさに悪魔だ、許せん!」
 太陽を背負って現れたイナズマンはベータの前で装置を放り捨ててバトルに突入し、ベータが先にやられると絶望しか残らないので、頑張れベータ……!
 山ごもりの成果を見せるイナズマンはムチアームをもぎ取り、ベータを追い詰めるが……そこに近づくエンジン音。
 「イナズマン、おまえは幸運な奴だ。我らがもしエネルギーを使う前であったら、おまえは今頃死んでいた」
 回収班のジープに乗り込むベータは、貴様の勝利だと思っているようだが私は既に消耗していたので実質的におまえの負けだ! と知的な捨て台詞を残して逃走し、もやっとした気分を抱える羽目になったイナズマン――渡五郎が、サーカスを見物して、つづく。
 ベータが先にリタイアしなくて本当に良かったですが、次回――第三の参謀、現る?!