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進まなければヒーローじゃない

『ひろがるスカイ! プリキュア』感想・第15話

◆第15話「超巨大ランボーグ大爆発!? 守れスカイランド!」◆
(脚本:金月龍之介 絵コンテ:頂点真司 演出:ひろしまひでき 作画監督:赤田信人/片山敬介/沼田広)
 冒頭から、キュアスカイとシャララ隊長の共闘、更に蒼の護衛隊の活躍もあって次々と撃破されるランボーグの姿が描かれ、
 「蒼の護衛隊が、またランボーグをやっつけてくれたぞー!」
 ……の前に、最近ちょっと、王都でテロが起こりすぎでは??
 「これで10体目。バッタモンダーと、アンダーグ帝国も、そろそろ懲りた頃であろう」
 だが王様は、連続テロに関して割と鷹揚に構えており、危機感に欠けているのか、或いは、闘争に慣れすぎているのか。
 内心では、(子供のお使いじゃねーんだから、全面戦争する気ならとっととかかってこいやアンダーグぅ……! こちとらいつでも、最後までやる準備はできてんだよぉ……!!)と血をたぎらせているのかもしれません。
 護衛隊の一員として活躍するソラの辺境巡回任務や、隊長との思い出などが差し挟まれたある日、王都で就職したきりロールプレイに入りすぎるあまり実家に顔を出していなかったツバサの元を、両親が訪れる。
 「僕はナイトだから、プリンセスの側に居ないと」
 「ツバサちゃんは、ずーっと、イヤイヤ期なのね~」
 多分今ちょっと、別の特殊な病気にかかりかけています!
 「赤ちゃん扱い?!」
 両親に挟まれて動揺するツバサの元にましろが姿を見せるとソラシド市への帰還を告げ、長いゴールデンウィークでありました。
 憧れの人との再会と一つの節目としてソラを中心に描く事はわかるとしても、この前後編、スカイランドに来たましろがただ付き添いでダラダラしていただけなのは、大変残念。
 ソラの再会の一方で、ましろにはましろの“広がる世界”を印象的に描いてこそ、だったと思うのですが、エピソードにおける主と従が極端になりすぎて(ツバサに至っては、食玩についてくるラムネ扱い)、これなら、ましろはソラシド市待機でも良かったのではないかぐらい。
 勿論、行って帰ってこれるものならスカイランドに行ってみたい心情は納得できますが、それならその心情にふさわしいだけの物語が欲しいわけで。
 前回、ソラvsベリー先輩とましろスカイランド来訪と、両方一緒にやろうとして両方ともユニークさに欠ける共倒れに終わったのは、つくづく痛かったなと。
 「住むところが変わるだけ。トンネルを通れば、いつだって会える。何も変わらないし、何もなくならない。だって私たちは、友達だから。でしょ?」
 帰還に際してハードボイルドな痩せ我慢スタイルがましろらしさとして描かれるが、バッタが再び街に現れると、これまで護衛隊に倒されたランボーグのエネルギーを結集する事により、王都の上空に巨大な黒い大怪球ボーグが出現。
 ……そう、
 「――全世界に告げる。全世界に告げる。スカイジュエルに頼って生きる全ての者に告げる。今、10年前の全ての借りを返す時が来た。これは、アンダーグ帝国の名の下に行う復讐である。スカイジュエルへの復讐である。そしてその鉄槌を下すのが――この黒い大怪球! その名は、フランケン・フォン・フォーグラーーー!!」
 「フォーグラー博士が、生きている?!」
 「じゃが、あの惨劇の中心にいて、生きているという事などがあるまい?!」
 「だがあれはまさしく、ヴァシュタールを起こしたスカイジュエルの実験用炉心……」
 フォーグラー博士とは多分、トゥルーヒーロー・ヨヨの親友で、共にソラシドトピアを訪れた後、ソラシド人と結婚したヨヨを残してスカイトピアに帰還。ソラシド科学を利用する事でスカイジュエルから巨大なエネルギーを引き出す技術革新を達成したが、10年前にヴァシュタールの惨劇を引き起こしたマッドサイエンティストの事である!
 与太はともかく、スカイランド前後編においてスカイジュエルの存在感が上昇したのは今後の展開に関わってくるのではと思っているのですが(そういえばダーク幹部は額に黒いジュエルを埋め込んでいる)……巨大な爆弾である大怪球ボーグが全てのスカイジュエルを停止させ、スカイランドを美しい夜に閉ざすまでタイムリミットは1時間――。
 起爆解除の条件としてプリンセスの身柄を要求してきたテロリストに対し、大怪球の偵察に向かったキュアスカイは迎撃システムの攻撃を受けてあっという間にリタイアし、流す涙もありません。
 「プリキュアの力で、あの爆弾を浄化する事は出来ないか? キュアスカイとキュアプリズム、二人が手を繋いで放つ最強の技。確か名は……」
 「――アップドラフトシャイニング」
 そんな格好いい台詞回しで紹介されるような技でしたっけ(笑)
 隊長の要請を受けたスカイとプリズムがプリキュアUFOを召喚するが、アブダクションされかけた大怪球は、なんとボディから手を生やして吸い込みに抵抗し、モニターに凄い顔が大写しになる二人。
 「――この戦い、君たちだけに背負わせはしない」
 それを目にした隊長は、中継システムの改善を心に誓いつつ、大鷲の背に乗って出撃すると腰のレーザーブレードを宙でひらりと引き抜き、大怪球ボーグへと挑みかかる。
 「相手がどんなに強くても、正しい事を最後までやりぬく。それがヒーロー!」
 ヒーローの先達として、前に立ち背中を見せる者として、大怪球ボーグに立ち向かった隊長は迎撃システムをかいくぐってシャララダイナミックを浴びせるが、剣は砕け、落下したその体はダークエナジーの奔流に飲み込まれ……
 「ソラ……ヒーローの出番だ」
 闇に沈みながら告げる言葉は綺麗にはまり……これ、もしかして、蒼の護衛隊のキャッチコピー……?
 隊長、TVCMでバンバン言わされてる……?
 とにかくにも最後の力を振り絞ったスカイとプリズムは強引に大怪球をUFOに押し込んで浄化に成功するが限界に達して気を失い、事態の推移に激怒しながらも、バッタは謁見の間へと侵入する。
 「強い俺に逆らうなんて、ありえねぇぇぇぇぇ!!」
 声を荒げて地団駄を踏むバッタはツバサを一撃で昏倒させると落ち着きを取り戻し、国王夫妻をダークエナジーで眠らせた直後、エルに向けて満面の笑みを浮かべるのは良かったです
 「プリンセス、僕と、お出かけの時間だよ」
 「……動くな!!」
 だが、エルの叫びに目を覚ましたスカイが謁見の間へと飛び込んでくると、バッタを制止。
 1ミリでも動いたら消す、と拳を固めながらにじりよってくるスカイに気迫で負けたバッタは撤収し、もはやカバトン以上に位負けしているのですが、幹部寿命は後どれぐらい残っているのか、バッタ。
 かくして王都での大規模テロは辛くも防がれたが、その代償として国王夫妻は呪いに倒れ、シャララ隊長は作戦行動中行方不明となり、前半にソラと思い出のペンダントについて語っていた隊長、ダークエナジーに飲み込まれてきっちり失踪し、仮面をつけての再登場が待たれます。
 自室に戻ったソラは、出撃前の隊長が残した「立ち止まるなヒーローガール。また会おう」のメッセージを胸に、ソラシド市へ戻る事を提案。
 国王夫妻の治療法をヨヨに相談すると共に、エルを狙う敵に対抗する為にプリキュア戦力の分散を避ける戦略から、3人のプリキュアはエルを連れて再び転位ゲートをくぐるのであった……で、つづく。
 ここ数話の今作では最もテンポが良く、演出で情感を表現しつつ、それを受けて要所の台詞に重みを乗せる事が出来ていましたが、多少の高望みは承知の上で、このぐらいの出来を標準で欲しいな、と(笑)
 ただ、隊長のパスを受けてランボーグを撃退し、エルの危機にど根性を見せて気迫で押し返し、最後は内心の不安をおくびにも出さず守るべき者に向けて笑顔で、
 「心配いりません。プリキュアは無敵です」
 と言ってみせるヒーロームーヴ三連発は、いい形でソラ・ハレワタールここにありを見せてくれて気持ちよかったです。
 ウイングとかウイングとかプリズムがちょっと踏み台になりましたが、
 「学校で習わなかったか? バーニングレンジャーは無敵だ!」
 そうショウ・アマバネ先輩も言っていた。
 ああ後、私は第1話のタクシー鳥が好きだったので、この辺りで再登場欲しかったなーとは。
 次回――え、えんができたな?!