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ヒーローに起伏が足りない

『ひろがるスカイ! プリキュア』感想・第16話

◆第16話「えるたろう一座の鬼退治」◆
(脚本:伊東睦美 絵コンテ:小村敏明 演出:岩井隆央 作画監督:竹森由加/ジョーイ・カランギアン/レジー・マナバット)
 親子の再会こそかなったものの、スカイランドから実質とんぼ返りとなったソラ達はあげはに事態の経緯を説明し、お祖母様はテロ組織の情報を洗っていたが、その実態を掴むには至らず。
 「スカイランドとアンダーグ帝国は、いわば光と影……」
 大昔に戦争して以来、完全な断交状態にあった帝国が、今なぜエルを狙って動き出したのか……その理由は不明だが、国王夫妻にかけられた呪いについては、ランボーグ撃破時にドロップする素材をミラーで集めれば薬が作れる事が判明し、改めての新展開で、毎回の敵の撃破と、国王夫妻の治癒という小目標を紐付け。
 「今は、俯いている場合じゃありません! まずは、エルちゃんの笑顔を取り戻しましょう!」
 あげはのアイデアもあり、一同は『ももたろう』をアレンジした、くもから生まれたえるたろうの人形劇を演じ、“ヒーローを描いた劇中劇”という題材は使い出がありそうなのに、多少の心情の反映こそあれ、これといった派手なトラブルもアクシデントもないまま淡々と人形劇が展開するに留まって、キャラの性格ままといえばキャラの性格ままなのですが、悪い意味であまりにも生真面目。
 後、周囲に天然系ボケが増えていくにつれて、勢いもなけれ毒もない、ましろのハの字眉系ツッコミのパワー不足が目立っており、物語進行上のアクセントとして機能していないのは、苦しい部分になっています。
 一番、事態を引っかき回せるエネルギーを有しているのはあげはなのですが、プリキュアでない事もあって一歩引いた立ち位置のお姉さんに留まっていますし、なんだかんだ保護者目線なので今後もそこまでの破壊力は期待できそうになく、なんといいますか、物語に活力を与える為の悪ガキ的成分がパーティに足りていないな、と(で多分、それを成長に合わせてエルに任せたい気配は見えるのですが……スローペースに過ぎるかなと)。
 今作、“子育て”要素のウェイトがだいぶ大きいようで、人形劇からのドタバタによる飛躍よりも、エルを元気づけるつもりが逆に元気づけられるソラ達の姿を描く事になり、初めてのあんよに続き、はじめての名前呼びイベントもよそで済まされた国王夫妻に関しては、涙を禁じ得ません。
 バッタもバッタで驚くほど淡泊にソラシド市を訪れると公園でオブジェの上に仁王立ちし、どうやら宿敵と見定めたらしいプリキュアが姿を見せると鬼ボーグを作り出し、バッタの作るランボーグが強いのは二番目に出てきた幹部キャラだから、以外の理由が見えないのも、残念なところ。
 作画的には捨て回だったところもあるようですが、バッタの執着の背景とか、敵としての新味とか、鬼ボーグの強さの理由とか、そういったちょっとした“意味”をあちこちに配置しておけば、作画は冴えなくても、もう少し戦闘に起伏がつくのですが、とにかく何もかもが平板。
 予告から箸休め回かと思ったら思わぬ切れ味……! みたいなのも今作ここまでこれといってなく、箸休め回は本当に箸休め回な作りになっているのも、制作状況があまりよろしくないのだろうかレベルで穿って見てしまいます。
 苦戦しながらも奮起したプリキュアに鬼ボーグが倒されると、ドロップ素材をミラーに回収する新バンクが加わり、カバトンさんみたいな顔になったバッタは撤収。
 子育て要素に興味が薄いとただただ平板なエピソードでありましたが、次回、久々に学校登場で、このノリのまま日常回モードに入ってしまうのは、非常に不安。