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海中・地中・宇宙・そして空中……!

イナズマンF』感想・第5話

◆第5話「DESミサイル 大空中戦!!」◆ (監督:山田稔 脚本:高久進
 荒井の帽子と髭が、戻った……!
 第7話以降を見てみないとなんともいえませんが、第3-4話の方が第1-2話よりも撮影が早く、西部のガンマンロールプレイの方針もまだ決まっていなかったりしたのでしょうか……キャラ的にはこの方が、外見に個性が出て良いな、とは。
 ガンマン魂を再装填した荒井が五郎とパトロール中にミサイルの爆発音を聞きつけ、鋼鉄の軍人サイボーグといったデザインが格好いいマシンガンデスパーが死の商人からDESミサイルを強奪している現場を押さえるイナズマン
 今回も溜めの入った動きで戦闘員を次々と突き殺していき、どうしてこんなに時代劇なのでしょうか(笑)
 マシンガンデスパーを追い詰めるイナズマンだが、背後からイカゲソアームを身につけた腕スパーに襲われ、今日もお仕事ご苦労様です!
 「ウデスパー、イナズマンは俺が……」
 ただし、部下との友好度は概ねあまり高くなかった!
 再度の命令でマシンガンにミサイルを基地へと運ばせた腕スパーは、本日もやたら甲高くなる声で鞭を叩きつけて時間を稼ぐと、イナズマンが間合いを取るや否やバイクで逃走し、同じ攻撃を一定以上繰り返すと、90%以上の確率で返し技を放ってくるイナズマンの特性をしっかり読み切っており、さすがの参謀。
 イナズマンは十徳ナイフもとい黄色いレンズのゼーバー透視チェストでミサイルの行方を追い、前作では特に補助なく使用していた能力の発動にゼーバーを取り出す必要が出た上、特に効果が増幅されているようにも見えないので、強化アイテム、ひいてはイナズマンFとしてのの象徴性がほとんど感じられないのは、ゼーバーの困ったところ。
 ……前作最終回の死地を乗り越える為に払った代償――超能力器官への永続的なダメージにより、補助装置を必要とするようになった、とか――と捉えれば格好良くない事もないですが、そう考えるには、ゼーバー製造シーンのよくわからなさが邪魔します(笑)
 それにしても、イナズマンの個性を示す能力としては、前作のマフラー稲妻走りとかの方がよほど、デザインを活かしつつビジュアル的にも格好良かったですし、それより映えるものを出せなかったのは残念。
 ……まあこれは私が、OP歌詞の「振るえゼーバー」と、ゼーバーそのものの語感から、ビームサーベルみたいな武器だと思い込んでいた為、というのもありますが(笑)
 なお、『スター・ウォーズ』でライトセーバーが登場したのが1977年なので、ゼーバーからビームの刃が伸びたりしていたら、時代の先取りだったかも。
 一応レンズには、“集約”とか“焦点”とかいったニュアンスはありそうなゼーバーであったが、付近で感知された物凄い念力にレンズが曇ってミサイル追跡に失敗し、第2話におけるサファリ作戦の標的を除くと、前作第23話以来となるミュータント少年が登場。……それこそ、その路線はガイゼル総統のミュータント狩り宣言と共に消滅したとばかり思っていたので、少々困惑します。
 問題の超能力少年に接触した五郎と荒井は、いきなりデスパー軍団の危険性について語り始め、どこからどう見ても陰謀論にはまってしまった怪しい2人組で、喫茶店についていったらムー帝国ラストバタリオンと月面着陸は無かった話を延々と聞かされます。
 勿論、(危ないおじさん達だ……)と耳を貸さない少年だったが、渡五郎抹殺の為に少年を利用しようとするデスパー軍団によって、やたら顔立ちの凜々しい少年姉がさらわれてしまう。
 そこに現れたマシンガン中年が、お姉さんをさらったのはビル・ゲイツ、じゃなかった、渡五郎とその一味なんだ、と嘘を吹き込んで少年の怒りを五郎に向けさせ、その後の成り行きは違いますが、アイデアとしては見るからに前作第5話「大空中戦! かみつくライジンゴー!!」(監督:山田稔 脚本:高久進)の焼き直し。
 監督・脚本のみならずサブタイトルの文言まで被っていますが、これにより、〔海中 → 地中 → 宇宙(行かなかった) → 空中〕と並んだのは、立ち上がりに雷神号キャンペーンを求められたスタッフの遊び心だったりしたのでしょうか。
 マシンガン中年は言葉巧みに少年に念力を発動させると、それを感知して姿を見せた五郎を、マシンガン攻撃で不意打ち。更に腕スパーが現れて五郎の体にロープを引っかけるとバイクで引きずり回し、変転不能のまま捕まった五郎と(おまけの)少年は、ガイゼル総統と2回目のご対面。
 「よく来てくれたな渡五郎。これから最大限の、歓迎をしよう。ふふふふふふははははは」
 「渡五郎、おまえをデスパー軍団の一員に仕立て上げてやる」
 改造手術により洗脳回路を埋め込まれそうになる五郎だが、荒井の破壊工作と少年の協力によりエネルギーを確保すると、手術台に拘束されたままノーモーションでの剛力招来に成功。
 マシンガンの銃火を全身に浴びると、いい感じに溜まってきたぞーーーとむくっと起き上がり、超・力・招・来!
 少年を荒井に託したイナズマンが雷神号に乗り込むと、対雷神号用に調達されたDESミサイルが火を噴くが、イナズマンはゼーバー逆転チェストを用いてミサイルを反転させ、雷神号が咥えたミサイルを上空から発射装置めがけて落とす、えげつないミサイル返しを叩き込む。
 ミサイルを失った腹いせに、人質になっていた少年姉を救出する大活躍を見せた荒井を蜂の巣にしようとしたマシンガンデスパーは、地上に戻ったイナズマンにさくっとゼーバー落雷の術で抹殺され、ゼーバー、必殺武器としても、どうにもこうにも盛り上がりに欠けるので、早めになんとかならないものか。
 イナズマン&荒井によるカチコミの気配を察知したデスパー軍団は襲撃前に基地を自爆させ、結構あちこち転々としているみたいです、ガイゼル総統(笑)
 ナレーション「デスパー軍団の手がかりは切れた。彼らは、いずこかに消えた。そしてまた、いずこかに現れるのだ。全世界を、悪の支配下に収めるために」
 そこから、こう締めてみせたナレーションは、お見事。
 『イナズマン』第18話以来の高久脚本回でしたが、同作エピソードの焼き直しめいたプロットや超能力少年の登場、日本壊滅ではなく対イナズマン中心の作戦など、元々『イナズマン』用に書いていたエピソードの転用なのでは……? みたいな雰囲気漂う一編でした。
 荒井の帽子と髭が戻ってきて良かったです!