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黒いアタッシュケース

イナズマンF』感想・第3話

◆第3話「水爆500発!! 地底大戦争!」◆ (監督:田口勝彦 脚本:上原正三
 見所?は、サブタイトルの盛りっぷり。
 児童誌の見開きページの煽りとかでありそう。
 デスパー軍団では、今回もメカニカルで灰色主体なデザインのバーナーデスパーが、日本国民を恐怖のどん底に陥れる富士運河作戦を進めており、組織に予算があるって素晴らしい……!
 一方、デスパー軍団の足跡を雷神号で探し回る五郎と荒井は、飛び出してきたバイクをよけようと急ブレーキをかけたところ後続車に追突され、おうおうどう落とし前つけてくれんのじゃ、とすごんだじゃなかった、悪いのはバイクなのでここは示談で……と持ちかけようとしたところ、何故かそのまま走り去ろうとした車の運転手が、たまたま居合わせて止めようとした警官を銃で撃つ急展開。
 ……率直なところ、後部にあんな変な車輪を付けている車の運転手とは、関わり合いになりたくない!
 (追突事故ぐらいで警官を射殺するとは……なにか警察に知られたらまずい事があるんだ)
 追跡する五郎にも銃を向けた怪しい2人組は、逃走するかと思いきや一転、五郎もろともの自爆を図るが失敗し、男たちが消し飛んだ後に残されたアタッシュケースが、サナギマンばりに頑丈。
 警察署に持ち込まれたアタッシュケースの中には秘密文書とマイクロフィルムが隠されており、アタッシュケースをこじあけ、真っ白な紙を秘密文書と見破る荒井が、「情報収集能力」や「公権力との繋ぎ」といった渡五郎に不足している部分を補い、笑いを捨てた相棒レギュラーが、やたらと有能。
 五郎と荒井が入手したのは、富士運河作戦に関わる重要な資料であり、どうしてそんな極秘文書を、自爆しても隠滅不可能なアタッシュケースに入れてしまったのか、どうしてそんな極秘文書を運んでいる最中に、雷神号の後ろにつけてしまったのか。
 アタッシュケース回収の為に警察署を襲撃するも空振りに終わったバーナーデスパーは、一足遅れで駆けつけた五郎の後をオープンルーフのジープで追い、普通に、バックミラーで、バレました。
 そうかそれ、バレてもいいんだ……と軽いカルチャーショックを受けていると、第3話にしていきなりイナズマン待ち伏せを受け、戦闘開始。
 「おまえ達はいったい何を計画しているんだ?!」
 「天地がひっくり返るぐらい、どデカい事よ」
 不意打ちで帝王バンバを思い出させるの、やめて下さい(笑)
 戦闘員を蹴散らすも火炎放射であぶられるイナズマンだったが、ゼーバー逆転チェストで火炎を逆流させてピンチを乗り越え、今のところゼーバー、超能力増幅装置というより、ドラえもんひみつ道具みたいな扱い。
 念入りに煙幕を張ってバーナーが逃走後、暗号の解読に成功した五郎と荒井は、デスパー軍団が300メガトンの水爆500発を、日本列島を縦断する形で地下に配置し、一斉に爆発させようとする恐るべき計画を知る。
 新規巻き直しての作品立ち上がり、派手なハッタリで視聴者を引きつけようとする意図はあったのかと思いますが、正直、水爆500発用意できるなら、何も地下でまとめて起爆しなくてもいいのでは感は、どうしても漂います(笑)
 敢えて列島を真っ二つにしようとするところに悪のロマンがあるのでしょうが、それが打ち出されるのは終盤になってからですし、架空悪の組織の作戦としては、前回の方がトンデモテクノロジー感は強くて良かったな、と。
 で、どうせ水爆500発を地下に並べるのなら、冒頭から力強く、「これで日本列島は真っ二つだ!」と余計なエネルギーを注いで欲しかったかなと(笑)
 機密文書の中に名前のあった商社・ジパングカンパニーにカチコミをかける五郎と荒井だったが、本日も細かいフォローに走り回る腕スパー参謀(と組織内の立場が判明)が先回りして社員を皆殺しにしており、全体としては定型的な〔悪の組織の作戦vsそれに立ち向かうヒーロー&協力者〕の構図に戻りつつ、殺戮シーン2回でモブに厳しい。
 瀕死の社員から作戦の心臓部は地底500mに存在する事を聞き出す五郎だが、左腕にイカゲソを装着した腕スパーの攻撃を受けて剛力招来し、腕スパーのアタッチメント路線は、個性&強敵感が出て良いところ。
 ゲソ腕で散々しばかれ、鎖で縛られ、トドメとばかりに電ノコで切り裂かれようとするサナギマンだが……普通にノコギリの歯が立たず、至近距離からのガトリング攻撃を受けて超力招来。
 既に腕スパーの手持ち武器が通用しなくなっているサナギマンからイナズマンを経て腕スパーを退け、恐らく自転車タイアップの都合により、唐突感の強いシーン挿入で平和な街の情景を見つめるイナズマンは、デスパー軍団の計画を必ず阻止してみせると、拳を握る。
 「……よし、みんなでコンドールマンの歌を唄おう! それしか美しい日本を救う道はない!」
 ……じゃなかった、
 「……よし、雷神号で地底へ挑戦しよう! それしか美しい日本を救う道はない!」
 急に「美しい日本」と言われると、脳内でコンドールマンが両手をぐっと握る病気です。
 イナズマンは雷神号を召喚すると、開口部からドリルが飛び出す地中フォームで富士火山帯の地底500メートルへと突撃していき、バーナーデスパーの秘密基地へと突入成功。
 起爆装置を作動させたバーナーは地底戦車に乗り込んで逃走し、あと6分で水爆が爆発する……と、完全に前作最終回の焼き直しなのですが、なぜイナズマンは、水爆を止めずにバーナーの方を追っているのか(笑)
 空まで飛ぶドリル戦車・デスパータンクと空中戦になると、デスパータンクの水爆仕込み自爆装置の説明をしたバーナーはだっしゅつー!
 「このまま死ぬわけにはいかん! 雷神号ジェット噴射!」
 で危機を脱するイナズマンだが、日本のどこかの上空で、水爆が、爆発しました(笑)
 「自由の戦士! イナズマン!」
 地上に着地したイナズマンとデスパー軍団の、前作から数えても珍しい主題歌バトルとなり、奪った手槍でデスパー兵士を唐竹割りするイナズマンの図がなかなかカッコいい。
 「チェース!」
 またも火炎にあぶられるイナズマンだが、ジャンプで逃れると、パンチ、踏みつけ、ハイキックの猛攻を浴びせ、魔法カード:ゼーバーによりバーナーデスパー大爆発。
 イナズマンは水爆の起爆を食い止め、さあ、みんなで自転車に乗って、美しい日本を守ろう! と、守り抜いた平穏を見つめて、雷神号で走り去るのであった。
 格闘アクション重視・割と有能な相棒・悪の組織の大がかりな作戦、と今作の方向性を強く打ち出して作品イメージを明確にしつつ、超能力アクションを削った分は雷神号が飛び回り、次回は、敵がドリルだ!