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わけを聞かねばヒーローじゃない

『ひろがるスカイ! プリキュア』感想・第13話

◆第13話「届けて! はじめてのおくりもの」◆
(脚本:金月龍之介山岡潤平 演出:櫛谷健太 作画監督:太田宣貴/細田沙織/岩崎成希/小川玖理周/上家礼衣/小村柚葉/板倉和弘/三橋桜子)
 作監が多い……! はまあともかく、愚民たちを従えるべく、大地に自ら歩みを踏み出したプリンセスの為、ヨヨの勧めで高貴なる御御足を包むのにふさわしいシューズを買い求めに向かった一同だが、ソラやましろの選んだ靴は、いずれも自我の芽生え始めたエルのお気には召さず。
 これだから庶民のセンスはなっちゃいない、(自称)ナイトとして僕が国民のアイドルにふさわしい靴選びを見せてやりますよ、とツバサが恭しく差しだした靴も、失格。
 結局、店中の靴を全て試すも首を縦に振らないエルだったが、関西弁の中年女性が手にしていた靴を目にしてお気に召し、それに気付いた女性から、靴を譲って貰う事に。
 一度は靴を受け取るも、訳あり風の関西弁婦人の事情が気にかかるソラだが、そのタイミングで遂に、スカイランドに繋がる異次元トンネルが開通し、最後の決め手は、カバトンさんから取れた出汁でした。
 「これでエルちゃんを、スカイランドに、おうちに返してあげられます!」
 トンネル開通の連絡を受けてエル父母が久々に登場し、興奮のあまり王宮の壁を這い回る父は、本格的に、ダメな人なのかもしれません。
 喜ばしい筈のトンネル開通だが、それはエルのみならずソラの帰国も意味し、孫たちの心情を慮ったヨヨは、トンネルの最終調整の為にと、別れの前に約一日の時間を作る。
 「ランボーグがエルちゃんを襲ってきたら、私、トンネルを使ってすぐスカイランドに助けに行くよ」
 とドンブラザーズみたいな事を言い出すましろの言葉が否定されないので、一度開いたトンネルは維持されかつ割と気軽に行き来できる模様ではあり、なんやかやあってソラシドトピアの生活が継続するのだろうとは思われるものの、しばらく何か一ひねりを入れてくる可能性はあるのかも、と転がし方の興味は引く、箸休めかと油断していたらガラッと新展開。
 今生の別れでないとはいえ、物理的な距離の隔たりは大きい世代であり、あげは引っ越し回想をリフレインする形でましろの精神性を示すも、ソラとましろがどこかぎこちなく言葉を交わす中、一夜は明け――ツバサにエルを任せたソラとましろは、靴を譲ってくれた婦人を捜し回った末に、遂に発見。
 孫の為にファーストシューズを購入したものの、海外転勤となった息子夫婦の見送りにそれを持っていったら泣いてしまう、と心が乱れ、湿っぽい見送りになるぐらいだったらむしろ見送りそのものを止める、とわかるようなわからないような、多分それ、後で息子の嫁との間でこじれるやつじゃないかな……という結論に至った女性の事情を聞いて、自分たちの別れと重ね合わせたソラとましろは、本当の気持ちを告げて涙を流しても、その後はきっと心から笑ってお別れできる、と説得。
 二人の真摯な言葉に胸を打たれた女性だが、既に見送りには間に合わない時間と席を立った後、ソラとましろは空港の場所を調べると、ランボーグの存在抜きでひろがるチェンジする変化球。
 「だ、誰?!」
 「通りすがりのヒーローガールです!」
 「時間がありません、行きましょう!」
 腰を抜かした女性を背負い、空港目指して、ダッシュ・レシーブ・ジャンプ!
 軽い神秘体験を経て見送りに間に合った女性は、息子夫婦と孫にシューズを渡し、その光景を見ながら自然と涙を流すソラとましろは、前夜は離れたままだった互いの手を重ねるのであった……。
 プリキュアアブダクションの発動モーションにも取りこまれていますが、プリズム誕生回に続いて、“空っぽの手を握り合う”シチュエーションが重要視され、先々まで上手く繋がってほしいところ。
 空港からの帰り道、なんとかエルお気に入りの靴も見つかって、いよいよ安定状態で開かれる時空トンネル。
 ソラ、ツバサ、エル、そしてちょっと観光してくるましろの4人がトンネルをくぐったところで、つづく。
 比較的スローペースの今作、トンネル開通前夜に1話を割いたのですが、
 ・トンネルは維持可能
 ・ついでにましろが観光予定
 と来ると、別れを劇的にする難易度は高く、物理的な距離と心理的な距離は関係するものではありますが、せめてましろが、観光に行く気満々ぐらいは、事故で処理できなかったものなのか。
 これはこれで、ましろにとっての「広がる世界」としての必要性はあるのでしょうが、前回に続いて、要素は揃っているけど集約としての成立が弱い形に。
 また二人の関係性に焦点を当てるとツバサの存在が消えてしまうのはネックで、割とギリギリまで、「あ、僕は航空力学の研究があるので残ります」と言い出すのではないかぐらいに思っていたのですが、ひとまずキュアウイングとしての使命を優先する事にしたようであり、愚かなプニバード族をソラシド人類の科学で絨毯爆撃するのは、またのお楽しみとなりました。
 次回――ゴールディンウィークはスカイランドへと舞台を移し、早くも思い出のヒーローと再会!? から、面倒くさそうな子に突っかかられ、新たな敵が影を見せ、予告のオチに使われる王様……。
 一時帰還は無事に果たされた上で、今後もソラシド市を主要な舞台とするならば、王道はスカイランドが壊滅するのか、プリンセスがソラシドトピアで何かを集める必要が出るか……といったところでありますが、スカイランドをあまり深刻な状態に置くとソラが日常生活を楽しめなくなりそうなので、そこのバランスが難しそうではあり。
 こうなると、本編ではまだ、プリキュアのプの字にも触れていないのに、OPにはずっと居るキュアあげは(仮)はどうにか隠しておいた方が良かったのではないか、という気もしますが、100%ミスディレクションで、新たなスカイランド人が第4のプリキュアだったらどうしよう(笑)
 ……とはいっても、いずれ登場の頃には公式含めてガンガン情報を出していくタイプの作品群ですし、必ずしもサプライズの方が効果的であるとも限らず、どうせだったら最初から見せて引きの要素にした方がいい、という判断があったのかもですが。
 だいぶ引っ張ったカバトン脱落を契機に大きく話を動かしてきた事で、二つの世界にまたがって次の一手をどう打ってくるかの面白みは出てきましたが、今後の個人的なお薦めは、再会したソラ憧れの人はテロリストと繋がっていた! ……だとソラの絶望が早すぎるので、明らかにあの人に見えるけど仮面を被っていて誰だかわからない謎のテロリストにより王城崩壊!でしょうか。
 復讐という名の燃料をガロン単位で注ぎ込まれたソラが、3クール目の終わりぐらいに仮面テロリストの正体を知るぐらいが基準で一つ。
 5月5日、スカイランドを滅ぼしたのは貴様か?!