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久々『スマイルプリキュア!』

 急に波長が合ったので、リハビリ的に軽く一本。

スマイルプリキュア!』感想7・走れ、プリキュア、走れ!

●第18話「なおの想い! バトンがつなぐみんなの絆!!」
 クラス随一の俊足として体育祭の女子リレー走者に推薦されたなおは、みゆき達も一緒ならと条件を出し、5人揃って出場する事になるが前途多難。
 「れいかは、頭より、体を動かして」
 ……地味に、酷い事を言っているような(笑)
 元々スポーツ脳のあかね、ウルトラハッピー前向きハイテンションのみゆきはともかく、基本、運動が不得意で足も遅いやよいは選手になる事を躊躇い、一歩間違えると、体育祭が公開処刑場になる人だって居るんですよ?!になおが理解のないまま進んでしまうところでしたが、
 「ごめんね、あたしの我が儘に巻き込んじゃって。あたし、みんなと走りたいんだ。この5人で、一緒に」
 と、ちゃんと謝罪して、自分の気持ちを伝えるのを、“後”ではなく“先”に行ったのは、スッキリ見やすくなって良かったところ。
 なおの言葉に、やよいも少し前向きになり、5人で練習を重ねるが、いよいよ体育祭前日、やよいはクラスメイトの心ない陰口を耳にして再び落ち込んでしまい、ティーンエージャーの率直な感情の発露とはいえますが、基本、まとまりのビミョーなクラス(笑)
 そして迎えた体育祭当日、自分が選手としてクラスメイトから歓迎されていない事に後ろ向きな気持ちを引きずるやよいだが、レース直前に赤鬼さんが出現すると体育祭を黒く塗りつぶし、久々に見ると、早い、早いなバッドエンド……!
 赤鬼は青っ鼻を用いて玉入れの籠アカンベェを作り出し、スマイルチャージしたプリキュアは、一当たりして後は流れで綱引き対決に突入。
 「もう諦めるオニ! いくら頑張ったって、どうせおまえ達の負けオニ!」
 「……「どうせ」?」
 「力を合わせたって、弱い奴は弱いオニ。だから俺様は一人オニ。足手まといはいらないオニ!」
 「違う! 仲間と一緒じゃないと、出来ない事がある! 私は、何もしないで諦めたりしない! 「どうせ」なんて、絶対言わない! 私は、リレーもプリキュアも、みんなと一緒に、やり遂げたい。みんなで力を合わせれば、出来ない事なんて、何もない!」
 「……みんなで、力を……」
 マーチの叫びがピースの心を揺り動かし、プリキュアとしての戦いが、やよいの心境に変化をもたらすクライマックスとして機能する堅実な作りで、心を一つにした5人は力を合わせて籠アカンベェを引きずり倒すと、レインボーヒーリングで浄化に成功。
 赤鬼さんが撤収すると、その後にもう一つのクライマックスとして女子リレーが時間を取って描かれる変則展開で、
 「ただいまトップを走っているのは紫。続いて赤」
 ……差しはさまれる実況の放送部員(?)のやる気の無さが、一周回って面白い事に。
 あかねのスタートダッシュ、キャンディと特訓を重ねたみゆきのバトン交換、頭だけではなく体も動かしたれいかにより2位をキープする赤組だが、第4走者のやよいが次々と後続に追い抜かれてしまう。
 だが、決して諦めずに精一杯走り続けるその奮闘に、感じ悪い扱いになっていたクラスから(みゆきよりも早く)自然発生的に声援があがるのは良かったところで、ここで主題歌インストも流れ出す盛り上げっぷりから、いよいよバトンは最終走者のなおへ。
 獲物を狙う豹のような姿勢でかっ飛ばすなおだが、トップに躍り出た直後に転倒し、結局は最下位でゴールイン……も物語のバランスとして出来すぎにせずに美しかったところ(ここで「勝つ」と、主題がぼやけてしまいますし)。
 滂沱と悔し涙を流すなおに、号泣した、みゆき・やよい・あかねが次々と抱きついて絶叫し……みんな、凄い、ランナーズ・ハイになっていた(笑)
 感情表現の勢いが良すぎて、ちょっと面白いシーンに足を踏み込んでいましたが、現在、全員脳内麻薬が出まくって多幸感で一杯です。
 その中で、れいかはなおに抱きつくまではせずに、目尻に涙を浮かべながら、最後に輪の外から皆の肩を抱くのが、全く横並びにしないキャラの距離感の表現として、秀逸でした(多人数チーム物は、内部の人間関係のちょっとした濃淡をどう描くのかが、腕だと思うので)。
 ウルトラハッピーな抱擁に、クラスメイトたちも笑顔で駆け寄って、人生は負けたら全部ご破産ではない事を気持ちよく示して、つづく。