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忍法クールビズ

忍者戦隊カクレンジャー』感想・第17話

◆第17話「魔剣とパンツ!!」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:曽田博久)
 見所は、サスケの太腿!
 ジライヤの上腕二頭筋
 セイカイの脛!
 サイゾウのセミヌード!
 メンバー私服の方向性が特徴的なカクレンジャーですが、今回からの夏服により、男性陣の薄着レベルは、歴代シリーズでも随一感。
 そんな中、一人小洒落たジャケット姿のサイゾウ(この後は、膝丈ズボンに)は貯金で買ったという小型車を一同に見せつけ、君はこれから、一人だけそれで後ろをついていくのか(笑)
 まあ多分、今回どこかで木っ葉微塵になる未来は容易に予想されますが……かわいこちゃんとドライブするぜ、とどう見てもナンパには向かない軽乗用車で雄々しくナンパに向かったサイゾウは、真っ赤なボディコン美女(配役は、2年前に『ジュウレンジャー』でラミィを演じた河合亜美さん)に声をかけるのだが、ウインクを飛ばしてにっこり笑った美女がいきなり日本刀を一閃し、車、登場2分も持たずに、解体。
 「やっと、手に入れたマイカーだったのにぃ……30分も乗ってないのに~~!」
 更に神速の抜刀術により服だけを切り裂かれ、サブタイトル通りにパンツ一丁をさらしたサイゾウの元へ仲間が駆けつける(ネコ丸が、妖怪の気配を察知した?)と女は姿を消すが、サイゾウは、一連の事態を写真に撮っていた少年・徹から、この恥ずかしい写真を怪文書と共に世間に広められたくなければ言い値で買い取れ、と恐喝を受ける事に。
 ド素人が、脅かす相手を間違えたようじゃのう、と少年の口封じを図るサイゾウの前に再びボディコン美女が現れると妖怪アミキリの正体を現し、サブタイトルが酷い一方で妖怪のデザインはここまででも随一の格好良さ。
 とんがり帽子風味の頭部などモチーフは魔女のようですが、魔女×魔剣というと、『世界忍者戦ジライヤ』の魔忍・シルビアを思い出すところでもあります。
 妖怪アミキリは、かつてサイゾウの先祖に敗れて右腕を斬り飛ばされた事でサイゾウ個人に復讐の念を燃やしており、合流したカクレン一同を蹴散らす、ジェットハサミのギミックも格好いい。
 「どうすればあの魔剣に勝つ事ができるんだ?!」
 「……写真だ!」
 打倒魔剣の為、徹少年が撮影していた写真の分析を思いつくサスケたちだが、少年に「高いぞ」と売値をふっかけられると「なんだと?!」と声を張り上げ、少年のやり方にはやり方で(いずれ大火傷しそうな)問題はあるものの、“正義の妖怪退治”はカクレンジャー側の一方的認識でしかないので、少年が感じ悪いという以上に、人の成果物を無償(?)で受け取ろうとするカクレン側の方にこそ、なにやら心得違いに見えてしまう事に。
 その為、詰め寄られた少年がプロカメラマンを目指してカメラを買おうとお金を貯めている事情を明かされても、金にがめつい少年が実は……が(「善良な一般市民」の葛藤と選択として)劇的に機能しない脱線事故
 サイゾウが何故か(そんな……)みたいな表情で口ごもるのも、父の形見のカメラで母の治療費を集めているとかでもなんでもないぞ? といまいちよくわからない反応に。
 写真の存在を危惧した貴公子ジュニアが少年をさらうが(例えばここで、他人の恥ずかしい写真を撮っては笑いものにしている少年がちょっと痛い目を見る、とでも繋がればまた違ったと思うのですが)、回収した写真は全てピンぼけ。アミキリが少年を人質に使うと、呼び出しの場所に向かったサイゾウの頭上から大量の写真がばらまかれるのは、格好いい演出となりました。
 「ふふふふふ、そんな下手な写真で、私の魔剣を分析しようったって無駄よ。魔剣の恐ろしさは、身を以て知るしかないのだ!」
 アミキリに切りつけられたサイゾウ@忍者装束は、煙玉を使って少年を救出すると、魔剣の弱点を暴くべく少年に撮影を求め、
 「徹くん、本当のカメラマンになる為には、命がけで撮らなければならない時があるんだ!」
 忍法・70年代スピリット強制注入!!
 物陰に隠れた徹だが、サイゾウの奮戦に心を動かされると写真を撮影し……フィルムの時代にどうするのかと思ったら、青が死闘を繰り広げている真っ最中に、ネコ丸に駆け込んで、普通に、現像しました(笑)
 まあ、ネコ丸内部が暗室代わりとなって現像用の道具が出てくる時点で既に忍法写るんですが発動しているのかもしれませんが、写真をくまなく調べたサスケ達が弱点を発見して合流するまでの間、青がアミキリと戦いを続けているのは、決死の奮戦というよりも、テンポの悪さと展開の無理となる事に。
 「やいやい妖怪野郎! 子孫の代まで恨みをいだくとは、女々しい野郎だ!」
 「成敗ネ」
 「スーパー変化!」
 5人が揃うとアミキリが戦闘員を呼び出しての集団戦となり、BASHI!
 冒頭ポピュラーソングを流しながらのドライブシーンに始まり、夕陽を背に青とアミキリが退治するのはちょっとした師匠(長石多可男)オマージュの意識もあったのかもですが、サスケから写真の情報を得ていた青は、アミキリの攻撃の際に生まれる脇の弱点を攻撃すると、必殺の四角形斬りがクリティカルヒット
 大ダメージを負って巨大化したアミキリに対しては、速攻で無敵将軍に合体すると妖怪が無防備に無敵将軍へと駆け寄りカウンターがばっさり炸裂するファスト巨大戦により、約40秒で決着。
 ラストは、ネコ丸カフェを徹少年が訪れ、ほのぼの&ドタバタでオチとなるのですが、「(事情があって)金にがめつい少年」が、途中から急に「実は写真が下手で自分に自信が持てない少年」にスライドし、それを勇気と覚悟で乗り越えるんだ! と主題が丸ごと変わってしまうコースアウトを引き起こしていて、良い時の曽田脚本の切れ味も劇的さも出てこず、残念でした。
 路線修正のあおりか初期に比べて出番が大幅に減少している講釈師、最後に出てきてサイゾウのパンツの色をクイズに出すおじさん、だと思うと、ちょっと可哀想にもなってきました……。