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GHOST OF KAKUREN

忍者戦隊カクレンジャー』感想・第15-16話

◆第15話「げぇッ!! 凄い奴」◆ (監督:坂本太郎 脚本:杉村升
 カクレンジャー撃破の為、妖怪監獄から重犯罪妖怪の酒呑童子兄弟を出獄させたジュニアは、見覚えのある階段でリサタイルを行うと、
 アヤメ・サクラ・スイレン・ユリ・ラン
 5人のミニスカくノ一軍団を招集し、カクレンジャーを迷いの森へと誘導するよう命令を下して、上官的立場の妖怪である事をアピール。
 まんまとその幻術にはまったカクレンジャー一行は、またたびに酔ったネコ丸に置き去りにされた上、酒呑童子兄弟が待ち受ける森の中で、サスケ&ジライヤ/鶴姫&サイゾウ&セイカイの二組に分断されてしまう。
 竹槍に襲われ、地雷に吹き飛ばされ、孤立したセイカイ、リタイア。
 続けてセイカイを助けようとした鶴姫も罠にはまってリタイア。
 それを助けようとしたサイゾウは襲撃者を相手にスーパー変化するが、赤(兄)と青(弟)の酒呑童子兄弟のブラザーコンビネーションアタックを受け、絶体絶命。
 狼忍・水竜巻の術! と属性攻撃っぽい要素が強調されて形勢逆転するも、鶴姫を人質に取られて武器を捨て…………本当に強いのか? 酒呑童子兄弟(笑)
 弱点属性にクリティカルヒットなどしたのかもしれませんが、鳴り物入りで現れた強敵の筈が2対1で反撃を食らうと逆に追い詰められ、支援部隊の人質作戦で優位を取り戻す醜態をいきなり見せてくれた酒呑童子兄弟は、アルコール火炎放射の術で青に大ダメージを与え……この間、吊られているわけでも転がっているわけでもなく、真っ先にやられたまま画面のどこにも居ないセイカイの扱いが、ある意味、酷い。
 ドロンチェンジャーからの連絡を頼りに森を駆け回っていたサスケとサイゾウは、見せしめのように残された鶴姫らの衣服の一部と、鶴姫が落とした印籠を発見。
 「……とにかく、ここから一刻も早く脱出するしかねぇ」
 「What?!」
 闇雲に仲間を助けようとするのではなく、勝利の為には一時撤収するしかない、と苦渋の決断を口にするサスケ、ジライヤでなくても、そのキャラどこから出てきたの?! と驚きです。
 1クール目における、『カクレンジャー』/カクレンジャーの、作風/芸風、って、状況に対して少々ピントをずらした反応や演出を行う事で、受け手と物語の間の間合いを狂わせ、そこに独特の雰囲気を生み出すというものだったのですが、コミカルなBGMが流れ出すわけでも、歯を磨けと言われるわけでも、乳母車を飾り立てるでもなしに、至極真剣な表情のサスケがいっけん冷徹だが仲間を想うが故の最善策を打ち出し、度重なる妖怪狩りにより内なるニンジャソウルがレベルアップし、殺意という名の社会不適合力に覚醒したのでありましょうか。
 勿論、大きなピンチではあるのですが、カクレンジャーって敢えてそこで真剣さを押し出しすぎない、決して根っから不真面目では無いが、真面目を表に出す事を避けて万事に気を抜いた感じで対応するのが格好いい、みたいな価値観を“若者”的表現として軸に置いていた節が見受けられていた中、サスケの芝居の雰囲気も含めて、軸足をハッキリ動かしてきた印象があります。
 ……逆説的にやっとピンと来ましたが、『カクレンジャー』の放映時期がそういった時代感覚に直撃していたのかはわかりませんが、1クール目の今作が狙っていたのは、鶴姫を除くメンバーのマイルドチンピラぶりも合わせて、“あくせく真面目さを見せない”ところに生じる“格好良さ”だったのかもな、と。
 そう捉えると、サスケ達のキャラ設定や、敢えてずらす見せ方、ポスト80年代戦隊の試行錯誤の中における“ヒーロー像”への今作のスタンスなど、個人的にはあれこれ腑に落ちるものがあります。
 勝機を見出す為、サスケとジライヤが各個撃破を避けながら森からの脱出を最優先とする一方、飲酒休憩を取っていた兄弟が再び出撃。
 先行してサスケとジライヤを襲ったくノ一軍団は色とりどりのレオタード忍者へと変身し、なんだか急に、80年代前半テイスト(笑)
 くノ一軍団にお膳立てをしてもらい、二対一の優位を作ってからではないと出てこない酒呑童子兄弟の戦闘力にまたも疑問符が点滅する中、蝦蟇忍者・岩地獄の術を伊上メソッドで岩地獄返しされた黒が、ブラザーコンビネーションの直撃を受け、いいところなく敗北。
 「逃げろ、サスケ……一人では無理だ……逃げるんだー!」
 ジライヤの叫びを背にやむなく離脱を図る赤だったが、ユニット名:花のくノ一組に退路を断たれると攻撃を受け、大爆発と共に吊り橋から転落。
 吊り橋とくれば爆破と転落は落語のオチのようなものですが、落下中の人形を更に爆破するのは、なかなか強烈な映像でした(笑)
 厳密には、降下させる人形に合わせて、別に吊った爆薬を起爆しているのかと思われますが(さすがに主役の人形が空中で木っ葉微塵はまずそうですしね……)、こういう映像の形ではあまり記憶に無い爆破演出。
 かつてない強敵登場! からあくまで講釈師で締めるのは毎度の『カクレンジャー』で、妙に時間あるな……と思ったら締めの口上の後におまけのクイズが入って「こたえは、CMの後で!」のこたえがED中に表示され、突然なぞなぞが侵食してくるのは『ゴレンジャー』の時代からありましたが、パターン化するのでしょうか、これ。

◆第16話「赤猿の鬼退治」◆ (監督:坂本太郎 脚本:杉村升
 くノ一大爆破の術を受けて真っ逆さまに転落したサスケは、深手を負いながらも辛うじて逃走。土遁の術で追撃を逃れると、逆にくノ一組の後を追って、酒呑童子らのアジトを突き止める事に成功する。
 (みんな……もう少し我慢してくれ)
 ステルスアクションで通気口から内部に潜入したサスケ、酒呑童子兄弟の頭上を取ってアサシンアターック! ……のスキルは無かったので、傷ついた4人の姿に怒りを燃やしながら対策を考えていると、そこに仕事の催促にやってきた貴公子ジュニアの姿を確認。
 なおジュニアの背後には、第14話のラストでは、見限られて駿河湾に埋められそうな勢いだったユガミ博士が平然と副官顔して立っており、退場を回避。
 どやしつけるだけどやしつけてジュニアと博士が帰った後も、サスケの地道なステルスアクションは続いて排気ダクトに小さな穴を開け……つまり、兄弟の酒杯に毒を入れるんですね!
 だが、冥人の道を歩むには誉れが不足していたサスケは毒物スキルも所持していなかったので、穴を利用して鶴姫らを起こすと、映像からはいまいちよくわからなかったのですが、多分縄をほどく為の細い鋸刃を投下。
 傷だらけの5人を繰り返し強調したり、サスケのスニークミッションに尺を採ったりと、今作これまでとはタッチの違う演出が続きます。
 サスケが外でくノ一組みらを攪乱している間に鶴姫らは縛めを断ち切り、酒の肴に伝統の珍味・ニンジャ缶詰の危機から復帰した5人が勢揃いすると、スーパー変化の揃い踏み。
 「ニンジャレッド! サスケ!」
 「ニンジャホワイト! 鶴姫!」
 「ニンジャイエロー! セイカイ!」
 「ニンジャブルー! サイゾウ!」
 「ニンジャブラック! ジライヤ!」
 「「「「「世に隠れて悪を斬る! 忍者戦隊! カクレンジャー見参!!」」」」」
 「――成敗」
 正攻法でヒーローのターンに切り替わると、新挿入歌をバックに集団戦に突入。猿忍・火炎旋の術を火炎返しされ、再び放たれるブラザーコンビネーション一体剣に切り裂かれたかと思われた赤だが、先ほど救出ミッションの成功でひとり獲得した莫大なスキルポイント酒呑童子対策の分け身の術に注ぎ込み、数には数だ! と8人に分身。
 兄弟を取り囲んで怒濤の連続攻撃から満月斬りでクリティカルダメージを与え……赤一人で勝ってしまいました。
 そ、そこは、皆の力を合わせるところじゃなかったの?!
 ……シャークドライバーとはなんだったのか。
 ……もしかして、現場の勢いで生まれた技なのか。
 首をひねっている内に酒呑童子兄弟が巨大化し、カクレンジャーはファイターと一体化。ユガミ博士によって転送された巨大プロテクターを身につけたメカ酒呑ブラザーズのチェーンソーが唸り、ドリルが火を噴き、背後から弟に羽交い締めにされた猿ファイターに兄のドリルが突き刺さる寸前、筋肉で、ふりほどいた。
 ……いや、寸前で回避して弟が犠牲に、はパターンですが、なんの忍術も使わなかったのですが(笑)
 「よし、今だ!」
 レベルを上げて筋力で解決するスタイルを身につけたサスケの音頭により、カクレンジャーは一旦ファイターから離脱すると改めて巨大獣将となるややこしいプロセスで無敵将軍に合体し、とにかくこの数話、獣将ファイターを売り込まなくてはいけないのは伝わってくるのですが、やればやるほど、活用法が混迷の度合いを増していきます。
 3話ぶりに出現した無敵将軍に、本日も無防備に引き寄せられてしまう酒呑童子兄弟はズバッと一刀両断され、セイカイと鶴姫をリタイアさせた罠を設置したのは多分くノ一組・青一人に追い詰められる・サポート部隊に助けられる・飲酒・サポート部隊の支援必須・飲酒・ジュニアに小突かれる・飲酒・赤に完敗・無敵将軍には手も足も出ない、と前後編使った強敵妖怪と呼ぶにはあまりにも、蟲毒房三冥獣でありました。
 とにもかくにも死地を脱した一同、レベルが足りてない! と鶴姫は毎日特訓を宣言し、凶悪妖怪を従える貴公子ジュニアの存在を認識したサスケは、1クール目に大量の変態を見過ぎた為に、ジュニアの風貌に関しては一切ツッコまないのであった。
 「まだまだ強い妖怪は幾らでも居るんだから。お疲れ様。少し休んでちょうだい」
 ピアノを弾くジュニアを囲むくノ一組の正体は5匹の猫と判明し、アーミードクロの着ぐるみに黙って抱かれている、猫、凄い。
 今回も講釈師クイズが入って、つづく。