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シャケを食わねばヒーローじゃない

『ひろがるスカイ! プリキュア』感想・第10話

◆第10話「むむむ! 思い出の料理ってどんな味!?」◆
(脚本:加藤還一 絵コンテ:小村敏明 演出:鳥羽聡 作画監督:岩崎成希/小川玖理周/板倉和弘/石川恵里/久行宏和/太田宣貴)
 「ツバサくんもソラちゃんも、凄いなぁ。……でも……私は……」
 キュアウイングが誕生し、目標に向かって驀進する暴走機関車系の二人とは、人生に対するスタンスに差が大きいましろの心情に早速触れてくるのが、手堅い作り。
 OPには、実は最初から(鳥モードで)参加していたツバサが人間体であちこちに加わり、ハマーの車内において逆光表現で本当に隠されていたのはツバサ少年でした、と成る程納得。
 ……ところで、ツバサ少年の頭に乗った渦巻きが気になって気になって仕方がないのですが、よくよく見るとメイン3人とも、頭の上から何か飛び出しているので、そこにプリキュアに必要なエネルギーが詰まっているのかもしれません。
 父母への近況報告を綴りながら思い悩み、私は戦士としてこれでいいのか……もっと泣いたり笑ったり出来なくなるまで自分を追い詰め、車椅子から転がり落ちて地面を這ったりしないといけないのではないか……そう、特訓だ! ……の方向には舵を切らなかったましろはツバサの歓迎パーティを企画し、鳥モードのツバサは、リビングに設置された鳥小屋の中に収まっていた。
 手伝いたいと申し出たツバサの希望も聞きつつ準備を始め、ツバサ少年はインテリアデザイナーみたいな達者なイラストを披露(そういえば、ましろとソラの書き文字にそれぞれ性格が出ているのは細かくいいところ)。
 「後は、料理ですね」
 「ツバサくん、何か、食べたいものある?」
 「やっぱり、パーティといえば、焼き肉屋にアターック!」
 そう、牧野先生も言っていた。
 …………東映ヒーローが絆を高める為には焼肉と相場が決まっているのですが、倫理的に微妙な気持ちになる画が出てきそうなので、やり直したいと思います。
 「やっぱり、パーティといえば、ヤーキターイですかね」
 それはプニバード族のお祝い料理であり、ツバサにとっては家族との思い出とも繋がっており、「レシピなら、あるよ」とお祖母様が魔法の鏡で検索したところ、その見た目はほぼソラシドトピアにおける「鯛焼き」であった。
 「作ってみようよ、ヤーキターイ!」
 ツバサ両親には魔法の鏡を介して安否の確認がされている点が補われ、ソラシドトピアの材料でヤーキターイの再現に挑戦してみよう、としばらくクッキングタイム。
 究極の鯛焼きを目指す試行錯誤は続き、これが○○焼きだったら戦争が起きるところでしたが、スタッフの英断により、悲劇的な争いは回避されました。
 様々な餡を試してみるも懐かしの味の再現には至らず、3人は追加で食材の買い出しに向かい、ここでソラが「シャケです!」とか言い出すのはつまり、
 「ノーモア・チキンー! チキンの代わりに、シャケを、食べろーー!」
 という事だったのでしょうか。
 そう、農林水産省も言っていた。
 道中でソラが雲パンの一件を思い出し、すっかり忘れていましたがクッキングスキルの持ち主だったましろ、初めての料理は、仕事で忙しい両親の為におにぎりを作ろうとした時……と過去を語ってスキルと思い出が掘り下げられ、その言葉に、何かに気付くツバサ。
 「僕……気づきました。僕は、ヤーキターイを食べたかったんじゃなくて、本当は……」
 だがその時、季節外れの石焼き芋屋台に扮装したカバトンが邪魔に入って戦闘となり、3人並んでひろがるチェンジ。
 レディ・ゴー! にウイングも加わって、ウィングだけ滞空時間が長いのが、細かく良い感じ。
 「よーし、あっつあつの焼き芋弾で、3人まとめてイモっちまえ!」
 アルミホイルを身にまとった焼き芋ボーグから繰り出される攻撃だが、この子たちにとって、ミサイルはもはや脅威でもなんでもなかった(笑)
 紙風船ぐらいの勢いでミサイルをはたき落とされて追い詰められたカバトンは、緊急手段と焼き芋を口に放り込むと地獄のおなら攻撃で煙幕を張り、その隙に焼き芋ボーグがプリズムにパンチを叩き込む射撃キャラ狙いを見せるが、プリズムはなんとかガード。
 「みんな、ここからだよ! 力を合わせれば、きっと勝てる!」
 「けっ! 空も飛べねぇ、身軽でもねぇ。なーんにもできねぇ、よえぇ雑魚が、なーにいってやがる!」
 プリキュアが増えたならそれを利用するまで、と相対的な能力差を引き合いに出してプリズムの精神に揺さぶりをかけ、自らの優位を確保しようとするいじめっ子ムーヴを粘り強く繰り出すカバトンだが、左右に並んたウイングとスカイが即座にそれを否定。
 「それは違う!」「それは違います!」
 「おまえは何もわかってない! プリズムには、 僕らにはない知性と戦術がある 誰にも負けない優しさがあるんだ!」
 「そうです! プリズム が居なかったら、私は正面突破しか出来ません! は、その優しさで、いつも私を照らしてくれます!」
 ……二人とも、プリズムの筋力不足については特にフォローは入れないのですが、古流プリキュア空手の使いであるスカイはもとより、本来プニバード族が使用しない飛行の為の筋肉を鍛え続けていたウイングの方もミサイルとか使い捨ての湿気たマッチ棒ぐらいの扱いなので、仕方がありません。
 「プリズムは! ましろさんは!」
 「周りのみんなを、照らしてくれる!」
 「「輝きを持ってるんです(だ)!!」」
 OPにおいて「雨上がりに虹のプリズム」が当てはめられているプリズムは、あげは発言も踏まえて改めて、暖かな陽光のポジションに位置づけられ、やはり『サンバルカン』と縁が深い(……の?)。
 「黙れ黙れぇ! なにをわけのわかんねぇこと言ってやがる! TUEEEってのは、こういう事なのねん!」
 そう、デカブレイク先輩も言っていた。
 「気持ちで勝てるなら、スペシャルポリスなんていらないですよね」
 ……真面目な話としては、即物的な暴力以外の“強さ”を理解できないカバトンの“弱さ”が示されており、強さとはすなわち火力!! とスペシャルポリス魂で放たれるスーパー焼き芋ミサイルだったが、自分だから出来ること、を認められて奮起したプリズムのプリズムショットで消滅。
 カバトンが狼狽している隙に、焼き芋ボーグにウイングが広がるアタックを叩き込むとプリキュアアブダクションでトドメを刺して、ひとまず、合体技は二人で継続使用。
 焼き芋がキャトルミューティレーションされている間にカバトンは逃げ出し、テロ組織本体からの支援はいつ来るのか。
 さすがにプリキュア4人ともカバトンさんが誕生させるとやり過ぎに思うのですが、このペースだと、第12話ぐらいで、テロ組織の新戦力登場にともなう行動隊長交代劇に合わせて4人目誕生ぐらいになりそうでしょうか……?
 「僕、気付いたんです。本当は、ただ、ヤーキターイを食べたかったんじゃなくて、父さんや母さんと一緒に食べた、あの楽しい時間を、過ごしたかったんだって。そのことに気付けたのは、ましろさんのお陰です」
 歓迎会の準備やヤーキターイ作りを通して得た、本当に大切なものは「一緒の時間」であり、歓迎会の招待状を自分から押しつける事ではなかったのだ、とましろのコンプレックスを引っ張り出しつつ、ましろとの距離感を図りかねている様子もあったツバサ(1年間、一方的に認識していたと思うと、率直にちょっと気まずい)が、精神的にも明確にチーム:プリキュアへの仲間入りを果たすのは、丁寧な作りでした。
 「味は違っても、今日みんなで作った料理は、ぼくらの、ヤーキターイです」
 綺麗にまとめて歓迎パーティとなり、心づくしの鯛焼きづくしは、お祖母様には、だいぶきつそうな夕食でありました(笑)
 (――パパ、ママ……今日は、私の中の輝きを、一つ、信じられる日になりました。)
 それはいいから、その「ツバサくん」とやらは何者なのか、納得のいく説明をしてくれないと次回――ましろ父、緊急帰国?!