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デズナラク様の出番です

『王様戦隊キングオージャー』感想・第4話

◆第4話「殿のオモテなし」◆ (監督:上堀内佳寿也 脚本:高野水登
 見所3本立ては、
 今回も侍従と二人で最前線まで外交交渉に出張ってくるデズナラク様。
 黒子にあっさりと懐まで入り込まれトマトを握らされてしまうデズナラク様。
 いつの間にか居なかった事にされて本当に居なくなってしまうデズナラク様。
 …………君たちはもっと! デズナラク様に! 脅威を感じてあげて下さい!!
 「ん~~、少々、やりすぎましたかねぇ」
 ゴッドカブトの砲撃を食らったキングオージャーがバラバラに吹き飛んでギラたち3人は豊穣の国トウフへと辿り着き、カブトを操縦していた黒の王・カグラギは、そんな事をおくびにも出さずにギラと接触
 ゴッドカブトは、レジェンドキングオージャーの一部である世界三大守護神の一柱であり、人類との共存の道を選んだシュゴッド――キングオージャーに対し、人間社会と距離を持ったゴッド昆虫たちが今後の追加ギミック要員となる模様。
 「人間を拒絶するなら――従順に変えてしまえばいい」
 ラクレスはそんなカブトを強制的にコントロール下において支配しており、ヤンマはラクレスのこういった面を見ていたのでその行動に懐疑的だった事が補強されていく一方、ラクレスさんの何も隠せてないなこの人感も募ります(ヤンマに対してはそもそも、国ごと見下していて隠す必要性も無い扱いだったとかなのでしょうが)。
 トウフでは、デジタル書き割りを背負っての大仰な芝居が繰り返され、カグラギが化粧といい装束といい後半のアクションといい歌舞伎モチーフで、そのイメージをクライマックスのバトルシーンに繋げる意図もあってなのか(第3話と同様の狙いかなと)、今回は完全に開き直った見せ方。
 好き嫌いは別として、1年間これを貫くつもりなら、それはそれで『キングオージャー』の作風とはなりますが、立ち上がりが一段落した後で、どうなりますか。
 ……ただ、「本心を覆い隠すために、大げさな身振り手振りと感情表現を用いて大仰な言い回しで何かと大きな声を出すカグラギ」は、「世界と相対する為に折に触れ声を張り上げ“邪悪の王”を演じるギラ」と芝居の方向性がまるっきり被ってしまい、このキャラ設定の重なり方は疑問。
 いずれその内、二人が相通じるものを見て距離感が縮まったりするのかもしれませんが、今のところ一つの画面で二人が芝居を始めると率直にくどく、“大げさな虚飾”の過剰投与で、終始入りにくいエピソードになってしまいました。
 (※ところで、ドン・モモタロウ/桃井タロウの大袈裟さは、「全て嘘がない」から面白さに転換されていたのだなーと改めて)
 その辺りも含めて、派手な刺激を次々と投入する遊園地のアトラクション的な作りを意識している節は見られるのですが、立ち上がり、“様々な風土の各国を1話で印象づける”縛りの為に、映像による印象付けが色彩の派手さとモブ市民の物量に偏ってパターン化してしまっており、いまひとつ設計と構成が噛み合っていない印象です(仲間集めのペースと合わなくなりますが、各国2話ずつぐらい使えるとまた違ったかなと)。
 本日もフットワークが天使の羽のデズナラク様がゴッドカブトを所望すると乗り込んでくると、カグラギは一日の猶予を引き出し、巨大タニシ怪人で示威行為こそすれ素直に帰って行くデズナラク様、配下の山賊ぶりを見るに、知略30ぐらいでしょうか……。
 カグラギは、「テッペン」「我が儘」「子供たち」とギラたち3人の泣き所を付いて戦力に組み込む事に成功するのですが、この3人、たぶん黙っていてもあれこれ理由を付けて喧嘩に加わっていたので(統制を取れるかはともかく)、他者の心理を読んで舌先三寸で上手く転がしているようには、あまり見えず。
 なおヤンマ総長が、このチームの参謀ポジションは俺だ! と自己アピールしてきました。
 そして翌日、とにかくフットワークがモスキート級なデズナラク様をトマトで嘲弄したカグラギは王鎧武装してハチオージャーとなり、歌舞伎の荒事を意識したと思われるアクションは、個性が出て面白みがありました。
 更に地中に潜んでいたクワガタ・カマキリ・トンボが現れて戦闘員を奇襲するとタニシ怪人から砲撃が飛び、そこに出現したカブトが怪人の砲撃から畑を守ったのを見て操縦者がカグラギだと看破するギラだが、視聴者に対する誤誘導を仕掛けていたわけでもなければ、そもそも「誰がカブトムシを操っているのか?」に話の焦点がさして当たっていなかったので、空振りしたバットがすっぽ抜けてバックネットに突き刺さっている感じに。
 飛び出してきたカブトは何故かタニシそっちのけでクワガタに襲いかかってゴッドクワガタvsゴッドカブトの相撲が始まり……あの……デズナラク様は……?
 「ギラ殿、あなたをラクレス殿に引き渡します」
 いやだから、デズナラク様は……?
 「奴に屈したか」
 「国を守る為には手段を選ばない! 私は、殿として、正しい事をしたまでです」
 「下らん詰まらん気に食わん! すがれば利用され、操られる! 操り人形には何も守れんわ!」
 赤が一喝すると、(これも猿芝居の一貫かとは思われるのですが)黒は感に打たれたかのような反応を見せ、この間、誰一人としてデズナラク様が眼中にないまま話が進む(そしていつの間にか、帰った事になっている)ので、目が点。
 デズナラク様が早退する理由も場面も描かれていなければ(思わず念入りに確認してしまいましたが、地中からクワガタ達が出てくる直前まで、凄く普通に立っている)、青黄が居るにしても少なくともタニシからの砲撃が存在している状況で、カブトがクワガタに喧嘩を仕掛け、説得ごっこを始める成り行きが完全に理解の範疇外だったのですが、デズナラク様だって、頑張って2000年ぶりに地上に出てきたんですよ?!
 「カブタン! おまえも仲間になれ!」
 熱烈なハグをかわすクワガタのヒロインムーヴによりゴッドカブトが正気に戻るとキングオージャー合体し、カブトがロングキャノンに変形すると、キングオージャーが足パーツの構造を活かした砲撃仕様になるのは、面白い見せ方でした。
 ……赤の国で厨房の記録を調査していた筈の裁判長こと紫王の乗り物が、強制召喚そして合体パーツにされているのは、引き続きギャグに見えますが。
 タニシの遠距離砲撃をハチバリアで防いだキングオージャーは、ゴッドカブトキャノンでタニシを消し飛ばし、殻の中からライフルが伸び、殻を迷彩フードに見立てたスナイパータニシのデザインは面白かっただけに、巨大戦で倒される係でしかなかったのが、今回も残念でした。前半にあった“見えない狙撃”の要素が後半には無かった事にされたり、素材はあれこれ盛り込んでいるけど軒並み生煮え感。
 バグナラクの襲撃を退けたカグラギはギラと篤い握手をかわし、それを目にした総長が、カブトムシを繰り出すタイミングを計って国土防衛の為に全てを利用しやがった、と策士カグラギを持ち上げるのですが、敵との交戦の真っ最中に味方を後ろから撃ち、話の焦点の全く存在しないところで強引に主人公の見せ場をねじ込んだ結果、居た筈の大敵が何故か消滅する正気を疑う展開だったので、何を言っているのかさっぱりわからない事に。
 今回限りではカグラギは、山師というかインチキ香具師というか胡散臭い興行師というか、その辺りの川で汲んできた水を万病に効く神秘の霊水として売ったり、儲け話を持ちかけて金を集めて夜逃げする人、みたいな印象なのですが、狙いと合っているのやらズレているのやら。
 身も蓋もない言い方をすれば、チーム集めと並行した世界観紹介の真っ最中に大型追加ウェポン入手エピソードを同時進行しようとしたらやはり無茶でした、という内容でしたが……バグナラク退治の後にギラを突き出す気満々だったカグラギにより、トウフ侵略の罪を着せられ取り押さえられたギラの前に、蝶に乗って紫の王が現れ、国際裁判の執行を宣言されたところで、つづく。
 今回は第4話にして、底に手が届いた感じがあるので、ある意味で次回は気楽に見られそうですが、底が抜けたり二番底があったりしない事を祈りたい。