東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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抵抗と無抵抗の隙間

イナズマン』感想・第22話

◆第22話「歩く土人形 恐怖の大地割れ!!」◆ (監督:山田稔 脚本:島田真之)
 新聞配達の少年が奇妙な音につられて山の中へ自転車を走らせると、そこで見つけたのは土に半分ほど埋まった埴輪。
 途中まで掘り出そうとしたところで社会科の先生に知らせる事を思い立ち、その場を離れた少年は突如として全身の痺れに襲われたところを通りすがりの渡五郎に助けられて、病院へ。
 少年の口にした「埴輪」の確認に向かった五郎は、土中の埴輪に擬態していた土バンバラの奇襲を受け、五郎を直接狙うと話が単調になるので間接的に狙ってみると、不自然なほど遠回りになるままあるパターン。
 ……一応最初は学生寮の丸目を狙ったのですが、失敗すると、全くの赤の他人に標的が飛びますし……まあ明らかに雷神号、どこかの時点(偽五郎事件?)で発信器とか付けられており、五郎の一日の行動は、新人類帝国に赤裸々に筒抜けとは思われるのですが(笑)
 おのれ渡五郎……行動が品行方正すぎて、社会的に抹殺する隙が無いわい!
 「断じて俺は貴様を許せん!」
 帝国兵も現れて生身バトルに突入すると、無辜の少年を巻き込む新人類のやり口に怒り心頭の五郎は絶好調。
 見た目まるっきり遮光器土偶の土バンバラを相手にすると剛力招来し、土吹雪を浴びたところで、自由の戦士、イナズマン
 「イナズマン、地獄に落ちろ。地割れくずしぃぃぃ!」
 土バンバラ必殺の超能力により巨大な地割れが生じると、裂け目に覗くマグマ溜まりめがけて蹴り落とされたイナズマンだが、普通に飛べるよね……? と思ったら、マフラーを伸ばして土バンバラの首に巻き付け、危うく、体重×加速度で首の骨が折れた土バンバラが即死するところでしたが、地上に復帰して殴ると、土バンバラの首が飛んだ!
 そして、繋がった。
 首スポーンからの即座に再接続、に無反応を通すイナズマンの攻撃を受けて水辺に足を踏み入れた土バンバラは、足下から溶け出す露骨な弱点を披露すると一目散に逃走バンバラ~。
 「おかしい。なぜ奴は急に逃げたんだ」
 敵の行動をいぶかしみながらも病院に戻ると、少年は土バンバラから感染した病原菌により危険な状態にあり、その病原菌を研究していた博士は土バンバラに囚われの身、と接続。
 数ヶ月前から失踪中という博士が土バンバラのメンテを強要されているところを見るに、恐らくコブバンバラ同様に細菌テロ要員だったのかとは思われるのですが、新人類帝国では、大規模なバイオテロを実行するだけの予算と人員をクラウドファンディングで募集中です!
 「ふふふふ、思い通りになってきたぞ。今だ! 次の作戦を予定通り遂行せよ」
 特撮名物・謎カメラが、ミニ土偶ロボから送られてきた映像として処理される小技を挟み、博士の助手を名乗る男(帝国兵の変装)が五郎に接触
 少年を救おうと気を逸らせる五郎に博士の隠れ家へ案内すると持ちかけ、研究の為に世間から身を隠し、秘密の隠れ家に引きこもるのは『イナズマン』世界ではよくある出来事なので、全く不審ではありません!
 どこからどこまでが思い通りなのかはともかく、大目標(世界征服)達成の為に最大の障害(イナズマン)を先に排除しようとする作戦は理にかなってはいるのですが、一方で悪の組織の作戦行動が「組織の理念」よりも「ヒーローへの執着」優先になると、どうしてもエピソードごとの作戦規模がせせこましくなり毎回の“作戦の面白さ”が出にくく、ヒーローアクションエンタメとしての破壊力が弱まってしまうのは、残念かつ敵組織が迷走に陥りがちなパターン。
 2クール目の新人類帝国は大体そんな具合なので、もはや大がかりな作戦を実行/描写できない事に、劇中における組織の弱体化とメタ的な制作上の事情を重ねて整合性を見る事が出来なくもないですが……やはり一つの醍醐味として、“作戦の面白さ”は維持してほしい部分です。
 この辺り、同時代では“ミニマムになっていく悪の組織の作戦”の究極として、キカイダーvsハカイダーの対決にドラマ性を移し替えたのが『人造人間キカイダー』最終盤の工夫だったのだな、と改めて。
 偽助手の罠によりミニ土偶ロボから放たれたガスを浴びた五郎だが、罠にはまったフリをして土バンバラのアジトに侵入すると、剛力招来。
 だが、土地獄バンバラ~(なんか今回、「チェスト」に対応するフレーズみたいな勢い)を受けると、特殊な土砂によってエネルギーを吸われ、変転不能の大ピンチ。
 (このままでは危ない。危険だが、マグマの熱を利用して変転しよう)
 もっと加熱をーーー!
 と自らマグマの中に飛び込んだサナギマンはMゲージの充填から変転に成功し、前半後半のバトルが共に〔イナズマン(サナギマン)をマグマの中に落とそうとする土バンバラと、それに耐えるイナズマン(サナギマン)〕という構図だったのに、たぶん大丈夫じゃないかな、とマグマの中に飛び込んでみたらやっぱり大丈夫だった、という台無しすぎるチェストで、何もかも茶番劇に変転。
 恐らく、ロケットにくくりつけて太陽に突っ込ませても、超力招来! 瞬間移動! で地球に戻ってきます。
 マグマ無効を見せつけ、土バンバラと決着をつけようとするイナズマンだったが大事な博士を人質にされ、「博士」に厳しい事で知られる『イナズマン』世界、12話ぶり3回目の、「博士」、磔(なおどういう因果か、3回とも、島田脚本)。
 「さあ、どうするイナズマン! どうする?!」
 「私なんかはどうなってもいい! イナズマン! 戦ってくれー!」
 70年代らしく覚悟の決まりまくった博士の声援を受けたイナズマンは、間合いが持たなかったのか帝国兵に軽く殴る蹴るを加えて新人類帝国からチャレンジを申告されるが…………セーフ、セーフです。審判団はセーフと判定しました。
 「いやー、これはどうなんでしょう? 解説のM木さん」
 「オフサイド! 今のはオフサイドですよ!」
 ならこれならどうだ、と土バンバラが直接攻撃を仕掛けるとさすがに手を出さないイナズマンだが、高々と放り投げられて間合いが広がると、即座に雷神号を召喚。
 土バンバラらが凄まじい爆撃にさらされている内に博士を救出すると、マフラーから水流を迸らせて土バンバラの弱点属性を突き、弱ったところに稲妻落としでチェストーーー!
 かくしてイナズマンは新人類帝国の挑戦を今日もはね除け、救出された博士による手術が成功して巻き込まれた配達少年は無事に回復。「子供の夢を守るイナズマン」をアピールする為か、危篤状態の少年の「パイロットの夢」が繰り返し挿入されるのですが、他の要素との連動がまるで無いので感傷の素材にしかならなかったのは、勿体ないところでした。
 そして、母親のようなポジションで病床の少年を見守る女性は、ただの配達先の顔見知りの凄くいい人、なのですが、どうしてそうなったのか(笑) お医者さんに珍しくデリカシーがあったところは、良かったです(笑)
 次回――炸裂するチューブ爆弾、追撃するチューブミサイル! 予告の映像はとても面白かったですが、この勢いを本編でも繰り出せるか?!