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脳内整理集計企画(1)

集計再び(監督編)

 2018年、はてなダイアリーはてなブログ移行時に、折角だからと、劇場版などを除いて「確実に最初から最後まで見た特撮TV作品」(※当時、集計対象53作品)の監督・脚本をカウントしてみた事があったのですが……

 ■〔閉店阿呆企画1(※脚本家編)〕
 ■〔閉店阿呆企画2(※監督編)〕

 ふと思い立って、その後の約5年間で見た作品を、同様のルールで集計してみました。
 基本的な集計ルールは「劇場版は除く」「確実に最初から最後まで見た作品のみ」「連名の場合は全て1カウント」とし、2018年後半には視聴途中だった作品から2023年始めに最終回を迎えた作品まで、およそ約5年間で新たに見た作品が、以下25作(+『ウルトラマングレート』)。(※『アギト』『龍騎』は、前回の企画で集計済み)

 『電撃戦隊チェンジマン』『光戦隊マスクマン』『超獣戦隊ライブマン』『高速戦隊ターボレンジャー
 『地球戦隊ファイブマン』『恐竜戦隊ジュウレンジャー
 『忍風戦隊ハリケンジャー』『海賊戦隊ゴーカイジャー
 『快盗戦隊ルパンレンジャーvs警察戦隊パトレンジャー』『魔進戦隊キラメイジャー』『機界戦隊ゼンカイジャー』『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』
 『仮面ライダー鎧武』『仮面ライダードライブ』『仮面ライダーエグゼイド』『仮面ライダーゼロワン』
 『ウルトラマン80』『電光超人グリッドマン』『ウルトラマンガイア』『ウルトラマンコスモス』『ウルトラマンネクサス』『ウルトラマンルーブ』
 『人造人間キカイダー』『キカイダー01』『牙狼

 内訳としては、80年代戦隊4作、90年代戦隊2作、00年代以降の戦隊2作、10年代平成ライダー3作、新旧取り混ぜ円谷系5作、放映当時新作6作(『ルパパト』『キラメイ』『ゼンカイ』『ドンブラ』『ゼロワン』『ルーブ』)、その他3作となり、ついでですが、この期間に何話か見て脱落したのが、『リュウソウ』『ジオウ』『セイバー』『リバイス』『タイガ』『トリガー』。
 そんなわけで、53+25=78作品分を集計してみた結果、こんな感じになりました。

●監督編●
第1位:長石多可男 270本(18作品) 166(13)+104(5) →

第2位:渡辺勝也 230本(24作品) 163(17)+67(7) →

第3位:諸田敏 213本(22作品) 154(15)+59(7) 4↑

第4位:中澤祥次郎 192本(23作品) 125(15)+67(8) 7↑

第5位:東條昭平 186本(?+6作品) 87(未集計)+99(6) 11↑

第6位:石田秀範 178本(19作品) 156(16)+22(3) 3↓

第7位:竹本昇 152本(17作品) 128(14)+24(3) 6↓

第8位:三ツ村鐵治 141本(10作品) 5↓
第8位:田崎竜太 141本(18作品) 109(12)+32(6) →

第10位:坂本太郎 114本(13作品) 96(11)+18(2) 9↓
第10位:加藤弘之:114本(?+5作品) 68(未集計)+46(5) 13↑

 個々の監督については前回の企画で色々と書いたので、今回は集計結果を見て思った事をつらつらと書き連ねるに留めますが、上位2人は変わらず。それどころか80年代後半戦隊を履修した結果、1作平均20.8本(!)の驚異的な物量により、長石監督が他を大きく引き離す事となりました。
 元々、特撮ヒーロージャンルでは一番好きな監督ですが、この5年に視聴した作品ではやはり、作品そのものの出来の良さも含めて『チェンジマン』『ライブマン』の印象が光ります。特にライブマン』第37話「16歳ケンプ恐獣変身!」(脚本:曽田博久)は、監督史上でも最高傑作の一つではないかな、と。あの「3:50」の衝撃は、痺れました。
 また、『マスクマン』から4年連続で務めたパイロット版では色々な創意工夫を凝らしていたのですが、その中ではファイブマン』第1話「五兄弟戦士」(脚本:曽田博久)が、SF大河ドラマの導入として、時空間の大きなスケールを表現してみせて、印象的。
 90年代初頭のデビューから30年選手となった渡辺監督は、近作でも堅実な活躍。この5年で最も印象的な一本を挙げると、メイン監督を務めた『ハリケンジャー』で、黄金コンビが煩悩の限りを尽くした巻之三十「アイドルと友情」(脚本:荒川稔久)。
 「信じた人に裏切られ……それでも信じる人の道。涙は人に、見せるまい。怒りの力にすればいい。笑顔溢れる明日の日を! ひとえに願い、変わります。――成敗」
 3位には諸田監督が浮上して、ここまでが200本越え。
 諸田さんに関しては正直この10年はネガティブな印象が強いのですが、よりにもよって最新の印象が、この10年の諸田さんの悪いところが全部出た、みたいな『ドンブラ』第47-48話(脚本:井上敏樹)なので、それが払拭される出会いがあればいいな、と思っております。『ボウケン』劇場版とか、傑作だったのですけれど……!
 中澤監督が順当に第4位に浮上し、融合した二つの世界の姿をスマートに示した『ゼンカイ』パイロット版が作品全体のガイドラインとして非常に鮮やかでしたが、この5年で最も印象的な一本というと、登場人物の心理的な距離感を巧みに映像に落とし込みながら、いっけんギャグめいた怪人の能力が魁利のみならず圭一郎の暗黒面まであぶり出す濃厚な脚本を見事にまとめてみせた『ルパパト』#37「君が帰る場所」(脚本:香村純子)。実に、中澤監督の巧さが出た一本だったと思います。
 近年の参加作品がいずれも個人的なピントが合わずですが、また相性の良い作品で会いたいところ。
 第5位には、80年代後半戦隊ブーストにより、東條監督が大幅ランクアップ。そして前回、ベスト10外だったので、作品数を集計していなかった不覚……!
 この5年ではやはり『ライブマン』の切れ味が光りますが、15年ぐらい遡ると、『ウルトラマン80』第42話「さすが! 観音さまは強かった!」(脚本:石堂淑朗)を撮っていたりするのが、ベテランの貫禄であります。
 近作にはあまり参加していない石田監督と竹本監督は、微増止まり。
 石田監督は硬軟取り混ぜて手札の多い監督で、ローテに一人居る分にはいいのですが、本人含めて石田ラインといった雰囲気の演出家がローテに3人ぐらいになると作品全体がくどくなりすぎてしまい、それが悪ノリが悪ノリを呼ぶような形となって演出面において非常に悪い形に出てしまったのが『ドライブ』だったかなーと。
 竹本監督は再見の範囲になりますが、『ゴーカイ』最終回がお見事でした。
 新規の作品視聴は無いもののベスト10をキープした《メタルヒーロー》畑の三ツ村鐵治と、『キラメイ』以降、3作連続で《スーパー戦隊》に参加した田崎監督が第8位で並び、田崎監督は『ギンガマン』以来となる《戦隊》復帰作だった『キラメイ』エピソード36「RAP【ラップ】」(脚本:下亜友美)が素晴らしかった一方、『ドンブラ』第36話(脚本:井上敏樹)では(どこ主導かわかりませんが)致命的な悪ふざけを通してしまい、なんとも落差の激しい3年間でありました。
 微増の坂本太郎監督と、2010年代から堅実な仕事を見せる加藤監督が10位で並び、加藤監督は3桁到達。
 加藤監督は、実写映像の中に二次元のマンガ原稿と化したキャラクターの会話やリアクションを挟み込むのが実に綺麗に決まった『ゼンカイ』第28カイ!「週刊少年マンガワルド大図解!」(脚本:香村純子)が、お見事でした。
 11位~20位までは、以下。

第11位:小西通雄 95本
第12位:蓑輪雅夫 88本
第13位:山田稔 79本
第14位:小笠原猛 77本
第15位:山口恭平 71本
第16位:柴崎貴行 65本
第17位:金田治 44本
第18位:奥中惇夫、辻野正人、村石宏實 37本

 目立つところでは、『チェンジマン』で獅子奮迅の大車輪にして好演出を連発した山田監督と、『ドライブ』『エグゼイド』で最多演出だった山口監督が、大幅増。
 『ドライブ』『エグゼイド』のくどい顔芸路線は正直好きではなかった山口監督ですが、『キラメイ』以降の《スーパー戦隊》3作では目立って酷い事はなく、一点突破傾向のある《ライダー》よりも、コミカルさを分散させやすい《戦隊》の方が向いているのかもな、と。また、荒川脚本との相性の良さには輝くものがあり、また見たい組み合わせです。
 『ドンブラ』ドン31話「かおバレわんわん」(脚本:井上敏樹)も良かったですが、今のところ個人的なベストは、作品の方向性を強烈に示すと共にゲストヒロインの描写が素晴らしかった『キラメイ』エピソード9「わが青春のかるた道」(脚本:荒川稔久)。
 柴崎監督が意外と少ないのは、割と劇場版に回ったりしているからでしょうか……他、近年の主力演出家だと、上堀内監督と杉原監督は、参加作品を途中リタイアしがちな為に、本数が伸びず。
 21位以下は割愛しましたが、この5年で特に印象深かった監督を挙げると、『ガイア』『コスモス』の原田昌樹監督、『牙狼』の雨宮慶太監督といったところ。
 思ったより長くなったので、脚本家編は、次回。