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友達が居てもヒーローですか

『ひろがるスカイ! プリキュア』感想・第5話

◆第5話「手と手をつないで! 私たちの新しい技!」◆
(脚本:金月龍之介 演出:土田豊 作画監督稲上晃
 「そもそもプリキュアとはなんなのかしら」
 いきなり解説が来ました(笑)
 これまで得体の知れなかった「プリキュア」について、お祖母様が古い書物を調べて判明した情報を語り、かつてスカイランドを襲った闇の世界の魔物……みんな、モヒカン。
 スカイランドが「最悪だ、絶望だ、神も仏もないのか!」と闇に沈もうとしたその時、スカイランドの姫の祈りに応えて現れた勇敢な戦士――その名を、プリキュア
 それは、スカイランドでもとうの昔に忘れ去られた古い古い伝説であり、現代にプリキュアが甦ったのは、エルの血に受け継がれたプリンセスパワーによるものに違いない、とひとまず納得。
 伝説の戦士の響きにましろがだいぶテンションを上げる一方、このところプリズムがレーザに灼かれる悪夢にうなされるソラは、時空のトンネルを開く方法に焦りを見せ、ましろからあげは(新学期からソラシド福祉保育専門学校に入学予定)への手紙で、しばらく出てきていないと消息不明扱いになっていたカバトンは、屋台でおでんをつついていた。
 私が今まで食べたものでも、上位に位置する味。初めて食べたのに、不思議と故郷を思い出すような。
 そう、ソノイ先輩も言っていました。
 望郷の念、もとい暴力を越える圧倒的暴力の存在に涙するカバトンだが、突如として闇の空間が広がると、響き渡る謎の声。
 「いつまでもチャンスがあると思うでないぞ。プリンセスを私の元に。良いなカバトン」
 前回感想で気にした「プリキュアとは?」「カバトンの背後関係は?」に一気に触れられ、謎の声に平伏していたカバトンは大量のおでんを胃に詰め込む事で、一気食いで闇のエネルギーを確保。
 その頃、ソラはましろに、「プリキュアにはもう変身しないでほしい」と告げると、夢の内容を語っていた。
 「心配してくれてありがとう。でもね、エルちゃんを守らなくちゃ。それにはさ、一人よりも、二人の方がよくない?」
 「一人でやります! 私がもっと強くなればいいだけの話です!」
 若さはプラズマよりもオンリーワンの誕生日でいい、と かたくなに一人で戦おうとするソラだが、上司からせっつかれて後が無くなってきたカバトンが、血走った瞳でフルチャージしたエネルギーを注ぎ込み、急行ボーグを誕生させる。
 「遂に生み出したのねん……見よ! これが俺史上最高につえーランボーグだー!」
 限界までカロリーを消費したカバトンは、ひょいとつままれて急行ボーグの運転席に乗り込み、それは、死亡フラグ……!
 「脇役の皆様にお知らせいたしまーす。邪魔くせーので白線の外側までおさがりくださ~い」
 急行ボーグが出発進行し、ビルのガラスに映る空飛ぶ急行ボーグと、そこから流れるアナウンスを唖然として見上げる人々、の図はとても良かったポイントです。
 「さがれってんだおらー! 出てこいプリキュア! 誰が本当につえーのかハッキリさせてやる!」
 ドクロのような風貌と化したカバトンの宣戦布告に対し、エルをましろに預けたソラは、ひろがるチェンジ。
 「ひとりぼっちを恐れない! それがヒーロー!」
 ましろに背を向けたキュアスカイは急行ボーグとステゴロで激突するが、初手から必殺パンチの負けフラグを立ててしまい、E電パンチに敗北。
 地上では、お祖母ちゃんの仕込みによりエルが空中浮遊できるようになった事でましろも変身し、孫はもう少し、これを最初から仕込んでいたお祖母様に対して、感謝以外の感情を持った方がいい。
 「立てる?」
 「……私は大丈夫です」
 「来たな2匹目……そして、3匹目」
 エルの姿を目にしたカバトンは運転席で舌なめずりし……今回、エピソードとしては失敗だったと思うのですが、何が失敗って、スカイとプリズムのやり取りを全て塗りつぶす勢いで、鬼気迫るカバトンのインパクトが強すぎて(笑)
 ヒーローを輝かせる為には、立ち向かう壁となる悪が魅力的になってこそではありますが、痩せ細った事によるビジュアルのアレンジまで加えると、少しやり過ぎだったかなーと。
 急行ボーグの突撃をかわした3人は一時離脱し、スカイはプリズムに、戦ってほしくない理由を告げる。
 「友達だから……」
 「え?」
 「ましろさんは、私の初めての友達だから!」
 そんな気はしていましたが、ヒーローへの道を突き進むあまりに同年代の友達が居なかったソラは、初めての友達との距離感が測りきれない上に、その大事な存在を失う事に、過剰な恐怖を抱いていたのだった。
 「わがままです! わかってます! でも怖いんです! ましろさんが傷つくなんて、そんなの絶対に嫌だ!」
 「スカイ……」
 「だったら一人の方がいい。私、一人で戦います」
 自分が傷つく事は受け入れられるが、大切な存在が傷つく事に耐えられない弱さを見せたスカイは、私がLAST HEROになる! と孤独の荒野を突っ走ろうとするが、急行ボーグに発見されて、ひとまず揃って逃走。
 「私が囮になります!」
 「二言目にはそれ言うよね! もう一人じゃないんだよ!」
 「……一人じゃないから怖いんです!」
 自分だけの戦いでは無くなった状況に脆さを見せるスカイに対し、一歩も引く気を見せないプリズムが芯の強さを見せ、「二言目にはそれ言うよね!」が恐らくましろの意識以上に適切かつ強烈にソラの痛いところを突いているのですが、背後ではゲージの溜まった急行ボーグが特急招来。
 逃走を続けながら、プリズムは妙案をひらめキング。
 「たった今から私たちは、友達じゃなくて、パートナー、てことでどうかな?」
 「は?! そんなの言葉遊びです!」
 プリズムが頓知でスカイを丸め込もうとする場面で、しばらく絵がスピード感皆無の横スクロールアクションとなり、台詞に合わせてぴょんぴょん跳ねるのですが追撃の切迫感はどこかに消し飛んでしまい、スピード感を優先した方が良かったような。
 「じゃあ、相棒! コンビ! ペア! 他になにかある?!」
 「お供だ」
 次回――「新番組『あばれたりないプリキュラザーズ』第1話「わははと誕生! 桃から飛び出たキュアタロウ!」にえんができたな!」
 危うくドン・モモタロウ先輩が神輿に乗って襲来寸前、泣き出したエルをあやして足が止まったスカイとプリズムは特急ボーグにまとめて轢かれ、エルに迫る危機。エルを助けようと飛び込んでいくプリズムの姿に悪夢がフラッシュバックするスカイだが、プリズムは特急ボーグの攻撃を空中でかわすと、プリズム光弾を目潰しに用いる機転を利かせて、エルの救出に成功。
 「……駄目だ。友達以外の言い方、見つからないや。……パートナーとか相棒とか、そうじゃなくて。あなたは私の友達。あなたが心配だよ、助けたいよ。気持ちは同じ。それって、一緒に戦う理由にならないかな?」
 ソラがましろを傷つけたくないように、ましろもソラに傷ついてほしくはない……だから、友達として一緒に戦おう、とプリズムはスカイへと手を伸ばし――カメラ切り替わって目潰しから回復したカバトンが超特急招来し、「ホントのつえーを見せてやんぜ!」と、超特急豚王電影弾で迫り来ると、既に隣り合って立っている二人なのは、個人的には大変物足りず。
 ここまで、横断歩道・ビルとビルの間、とソラが敢えて作ろうとする距離を印象づける演出をして来たにも拘わらず、友の想いもまた尊重する事を学び、その隔たりを飛び越えて伸ばされた手を掴むシーンがスキップされたのは、納得の行かない演出でした。
 「やろう、スカイ!」
 「はい、プリズム!」
 「……やっとその名前で呼んでくれたね」
 演出への不満はともかく、スカイがプリズムを並び立ち共に戦うヒーローとして認める(事で、変身時のヒーローネーム呼びも消化する)と、プリンセスパワーが発動。新たに生じたメダルをセットし、二人はマイクを天に掲げ――
 UFO出てきた。
 吸い込んだ。
 消し飛ばした。
 「「プリキュア・アップドラフトシャイニング!!」」
 まさかの宇宙的チェストが問答無用で炸裂し、死相の先取りで殉職の懸念されていたカバトンさんは、アブダクション寸前に無事に脱出してキャトルミューティレーションの回避に成功しました。
 ……必殺技の映像は、だいぶ、よくわかりませんでしたが(音楽はやたら格好良かったです)。
 合体技を発動し、勝利を掴んだスカイとプリズムは夕陽を見つめながら手を繋ぎ――
 からっぽの手をにぎりあうのさ いっしょに明日へ行くために
 と、「一人よりも、二人の方がよくない?」が回収されて、私の中ではだいたい、「強さは愛だ」と「若さはプラズマ」の中に“ヒーローとは何か”が存在しているのですが、映像上は手袋のハートマークが物凄く強調されているのはさておいて、これはもう「若さはプラズマ」回という事でいいのでは。
 立ち上がりのひとまとめエピソードでしたが、上述したようにプリキュア側の演出への不満もあり、プリズム閃光弾を食らう直前の表情などが凄すぎたカバトンの印象の方が強いエピソードになってしまいました(笑) サブタイトルから煽った割に合体技がいまいち格好良くなかったのもマイナスでしたが、あくまで浄化技だと、こういう感じになってしまうところはあるのかもですが。
 ラストは、ソラが新ヒーロー手帳に記した、ふたりはプリキュアの文字とイラストでシリーズ初代にオマージュを捧げ、つづく。
 次回――私はプリキュアである。戸籍はまだ無い。