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あるこーあるこー私はニンジャ

忍者戦隊カクレンジャー』感想・第2話

◆第2話「危ないオバサン」◆ (監督:小林義明 脚本:杉村升
 タコっぽい頭が迎えにくるとカッパは姿を消し、難を逃れるカクレンジャー
 「あのな~! 俺たちはおまえの家来じゃねぇんだぞ!」
 「でもね、しょうがないでしょ。封印の扉が開いた時は、鶴姫を守って、妖怪を退治するのが、昔っからの決まりなんだから」
 というやり取りは、今見ると特別目立ちはしませんが、当時としてはかなり思い切った関係性の出だしであったでしょうか。
 90年代前半の《スーパー戦隊》には、“80年代(曽田)戦隊でやっていない事を探す”みたいなところがあったかとは思うのですが――これが90年代後半になると、高寺P作品を中心に、前半の試行錯誤を踏まえての80年代戦隊のリブート的展開が見えてくる事に――、それが00年代に入ると、“未完成の若者達の戦い”を土台に、“90年代の試行錯誤の中で組み込まれたピース一つ一つに焦点を合わせて掘り下げてみる”といった繋がりが窺え、一連の杉村作品にはそれらに先鞭を付けた部分があったのかな、と。
 とにもかくにも、てめぇのヘマにはてめぇでケジメをつけるのが渡世の仁義じゃ、と構成員に組み込んだサスケとサイゾウに、4人目のニンジャ・セイカイを連れてくるように命じた鶴姫は、鶴姫に仕える存在であった三太夫からネコバ……じゃなかった、ネコ丸を受け取り、解放された「妖怪エネルギー」とは、人間の怒りや憎しみを吸い取り、最後には巨大化して暴れる存在、と説明される。
 一方、その遺伝子ロックオン、されているなどとは知らずに弟とゲームセンターで遊んでいたセイカイだが、妖怪ろくろ首の魔手が弟へと迫り、カッパの妻であるろくろ首は「3年前、人の毒に当たって死んだ」息子が帰ってきたと思い込んでは人間の子供を次々とさらっている心を病んだ存在と描かれ、剽軽な絵面と、設定の重さのギャップが激しくて喉につかえます。
 ……からの、ミニスカートの女性の太ももに頬をすり寄せるカッパ男という無駄に攻めた映像で、妖怪はこれまで人間界で小さくなって生きてきたが、封印の扉が開いた事で力を取り戻した以上、「もう、ゲーセンで働かないで済むんだ!」と活気を取り戻し、社会に潜んで生き延びてきた妖怪たちによる人間どもへの復讐の時は今、の割と重要な背景を、何故、机の上で妖怪夫婦を絡めながら語らせるのですか、小林監督。
 「今夜のディナーの、メインディッシュにしてやる」
 奇天烈な妖怪忍者が、人間に対する捕食者となりうる敵対的な性質が盛り込まれ、ゲーセンの奥に連れ込まれていたセイカイ兄弟が妖怪に襲われているところにバイクで突っ込んできたサスケとサイゾウは、下忍を轢く事でヒーローの東映イニシエーションを達成。
 「カッパ! 今度こそ落とし前、つけてやるぜ!」
 割と、チンピラ路線でした。
 カッパとろくろ首は共に妖怪変化し、今作のかなり奇抜な妖怪デザインは、「時代の変化であんなんなった」と講釈師より説明。
 赤と青がスーパー変化して刀を抜いたところにネコ丸&鶴姫(ネコ丸は生命体なので、たぶん免許はいらない)が駆けつけると、セイカイ兄弟の身柄を確保してニンジャソウル伝承の儀式に急ぎ、「おまえの先祖は、忍者だったのだ!」と問答無用に拉致して契約を迫るのはどこか、バイオロボの所業を思い出します(笑)
 早くもニンジャソウルに目覚めつつある(多分、引き抜いた刀からDNA情報を基に何か注入された)赤がカッパを一時撤収させると、三太夫によってサスケは風雲マボロシ城に送り込まれ、奥義の巻物を入手。
 一方、セイカイは事の成り行きに困惑しつつも、先祖から無事にドロンチェンジャーを受け取っていた。
 「インスタントばっかり食うなよ。米食え」
 「ハイ!」
 「くノ一には用心。性格直せよ」
 生前の実体験にともなうとおぼしきアドバイスを残して先祖の霊は姿を消し、前回に続き、子孫への評価が辛めで妙に俗っぽいご先祖様たち、一言でまとめれば「とぼけたやり取り」なのですが、若干のメタ要素が混ざっている事もあり、これが直球なのか変化球なのか、ど真ん中のか外角低めなのか、どのぐらいのトーンで受け止めれば良いものなのか、今作におけるストライクゾーンの設定に戸惑う場面の一つ(これは私が、《不思議コメディ》シリーズを通っていない為もありそうですが)。
 カッパとろくろ首が乗り込んでくると白と青がスーパー変化。
 変身テーマBGMの入りが完全に《必殺!》なのが気になって仕方ないのですが、そこからアップテンポで割と格好いい戦闘テーマに乗せて妖怪下忍を切り払うと、ろくろ首に齧りつかれたセイカイはニンジャイエローにスーパー変化してジャイアントスイングで頭部を投げ飛ばし、力こぶをアピールするポーズといい、アクション的にはパワータイプの位置づけの様子。
 戦力増強に成功し攻勢に転じるカクレンジャーであったが、妖怪パワーを受けてカッパとろくろヘッドが巨大化し、ろくろヘッドがカッパの首筋に巻き付いているのは、ダンサーなりラッパーなりがラジカセを肩に担いでいるイメージでありましょうか(笑)
 「奴ら、でっかくなっちゃった!」
 「踏み潰しちゃうよ~」
 「そうはさせるかぁ!」
 そこへ巻物を手に雲に乗った赤が飛来し、特になんの試練もなく、巻物を拾って帰ってくるだけで修得できる忍者の奥義を見たのは、私史上初かも(笑) ……凄くわざとらしい甲冑は置いてあったので、想定はしていたけどカットされたのかもですが。
 「カクレ流・巨大獣将の術! レッドサルダー!」
 OPで強調されていた忍術により赤は人型巨大ロボの姿に転じ、玩具としては前作の龍星王の継承なのでしょうが、主役ロボのモチーフが「猿」は珍しいような……と思ったものの、「猿飛佐助」の子孫であり、企画初期のモチーフだったという『西遊記』の「孫悟空」要素をストレートに残しているのかと思うと納得(赤が唐突に雲に乗って飛んできたり、頭部にキンコジュの名残?ぽい金色のラインが入っていたり)。
 地上でろくろボディがニンジャホワイトに切り裂かれると、ろくろヘッドは絶命し、ハニーの仇と突撃してきたカッパは、サルダーのボウリング手裏剣の術で真っ二つにされ、妖怪サイドにとっては大殊勲だったカッパが割とえげつない最期を迎えると、夫婦揃ってその妖気は雲散霧消するのでありました。
 セイカイはそのまま妖怪退治の旅に拉致され、特にケジメを付けるようなヘマもしていないので完全に巻き込まれ案件なのですが、弟を助けた恩を売られてしまったのでしょうか。
 この点は第3話以降でツッコまれるかもしれませんが(或いはサスケとサイゾウは口をつぐむのか)……前途多難の旅路が始まり、5人目のニンジャがチラリと姿を見せて、つづく。
 いただいたコメントで触れられていましたが、アクセサリーをじゃらじゃら付けているなどメンバー各自のファッションは、《スーパー戦隊》としてはかなり独自のお洒落路線で目を引くところ。メンバー4人中3人が頭に何か巻いて(被って)いるのはシリーズ最多だと思われますが、さすがに重なりすぎの感はあるので、果たして誰か外すのか。
 ところが次回――更なる帽子の登場で、むしろサイゾウが何が被るのか!