東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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人質無用のミュータント

イナズマン』感想・第9-10話

◆第9話「光るカビは夜歩く!!」◆ (監督:田口勝彦 脚本:伊上勝
 見所は、帝国兵に棒きれで果敢に立ち向かう一般人男性。
 ……まあ、70年らしくあっさり殺害されてしまうのですが、男性の体に巻き付いた怪人の攻撃、名前からはカビ……なのでしょうが、どう見ても、ワカメ(水バンバラのギミックの流用……?)。
 猿の化け物のような赤ら顔に、体の各所に顔のモチーフが貼り付いているのが気持ち悪いカビバンバラの目的は、超能力少年少女を拉致して新人類帝国の戦力に組み込む事であり、帝王バンバは少年同盟に対抗する、ファントム少年隊の結成を宣言し……だいたいキャプテン・サラーと同じ発想ですね!
 「新人類帝国に忠誠を」
 「「「新人類帝国ニ忠誠ヲ」」」
 悪のカビ胞子を植えつけられた子供たちは虚ろな表情で新人類帝国の尖兵となり、超能力少年少女を洗脳して戦力増強を図るのは百目バンバラ回と全く同じコンセプトになってしまいました。
 「帝王バンバ、で、カビバンバラの次の行動は」
 「渡五郎を、地上から抹殺」
 実績はともかく重々しい命令そのものは格好良く、イメトレでは負け知らずなので、胸がワクワクするわい!
 50年先を見据えている割には、内政に力を入れて地道に国力増強していく事に我慢が効かない帝王バンバの命を受けたカビバンバラは、洗脳した少女を囮に使って五郎をおびき寄せると、必殺ワカメ地獄で攻撃。
 剛力招来するも帝国兵のロープ攻撃で首を絞められ、カビバンバラの連続パンチを浴びたサナギマンは急速にMゲージを充填していき、超力・招来!
 帝国兵のアクロバットアクションが強化され、飛んだり回ったりをなぎ倒すと少女を人質にされるイナズマンだが、いつもようにあっさり奪回し、バロム・1とかJPさんとは別の意味で、人質が通用しません。
 イナズマンの打撃を受けたカビバンバラは、体を細かいカビの粒子に変えて逃走するが、助けた少女は未だ悪のカビに寄生を受けており、それこそがカビバンバラの狙いだったのだ!
 カビバンバラの指示に従い、運び込まれた同盟アジトに爆弾をセットする少女だが五郎によって食い止められ……せっかく同盟アジトへの潜入に成功したのだから、勢力の把握とか資料の入手とか、短絡的な爆破工作の前にもっとやる事はあった気がしてなりません(笑)
 五郎は瞬間移動して消えた少女の落としたハンカチを拾い……イナズマンノーーーズ!!
 渡五郎は精神を集中する事で、常人の3600倍の嗅覚を発揮し、どんな僅かな匂いからも対象を追跡することができるのだ!
 ……とはなりませんでしたが、ここで『動物戦隊ジュウオウジャー』第4話の「タスク、臭いを嗅ぐんだ!!」(さらわれた仲間の居場所を探り出す為、男女の靴下、どちらを嗅ぐのかの選択を迫られる話)を思い出したのは、私だけではないと思いたい。
 嗅覚ではなく念動力(基本的にこの世界においては、狭義のテレキネシスの意味ではなく、超能力に用いるエネルギー全般を指す模様)を発揮した五郎は、ハンカチを触媒に少女とテレパシーで通信すると、助けを求める少女によってカビバンバラのアジトが表向きはフルーツパーラーである事が判明する。
 手分けして店を探すシーンで少年同盟の活躍場所を作り、アジトを発見した同盟員が無謀な先行で無駄なピンチを招くなどありつつ、イナズマンは地下室の壁をチェストして子供達の救出に成功。
 だがその背後にはカビバンバラの秘術・カビ津波が迫り、ビルを吹き飛ばした巨大なワカメ、もといカビの波が街を覆い尽くしていこうとするのは、なかなかのスペクタクル。
 これに立ち向かうイナズマンは、ベルトのバックルを回転させると放たれる大車輪稲妻放射チェストから、マフラー稲妻カッターと新ギミックを連発して巨大なカビ津波を撃退し、何故か吹き飛んだビルの壁まで修復される驚きの稲妻クリーナーが、今なら3,800円、3,800円の特別ご奉仕価格で、少年同盟ワッペンもお付けして、なんと3,800円!
 しつこい壁は根こそぎ退治だ、と逃げ惑うカビバンバラに背後から三角飛びキックを浴びせたイナズマンは、トドメの超力稲妻落としで、新人類チェストでごわす。
 「おのれイナズマンめ……次は必ずおまえを倒す。バーラバラバラバラバンバ~」
 帝王バンバの遠吠えタイムから、一家団欒の食事風景を覗き見してうんうん頷く帝国兵の姿で、つづく。
 カビバンバラの不気味さはインパクトがありましたが、狙われる超能力を持った少年少女たち、戦え僕らのイナズマン! と、プロットが2話前の百目バンバラ回の丸っきり焼き直しだったのは、残念だったところ。
 今のところ今作、伊上回よりも高久回などの方が特色が出て面白みがある、思わぬ状況になっていますが、同期の『V3』がそろそろ佳境の頃の筈、という影響もあったりはしそうでしょうか。

◆第10話「人喰いガスの恐怖!!」◆ (監督:田口勝彦 脚本:島田真之)
 東南大学の教授、ガスの権威・勝木博士が火山性ガスの調査に向かうが、そこに待ち受けていたのは、バスの窓ガラスを割って強制的に人体を腐食させる毒ガスを送り込んでくる、恐るべき悪のミュータントであった!
 「シンゴ! ……シンゴーーー!」
 息子の名前を叫びながら絶命……? する教授が外側からのバスの映像で示されるのがなかなかえげつなく、蛸と噴煙を合わせたようなデザインのガスバンバラが、大量の白骨を踏みしめながら登場。
 連絡が取れなくなった父親を探すシンゴ少年が東南大学で渡五郎と出会う一幕を挟み、死んだとばかり思われた博士が、事前に飲んでいた解毒剤の効果により猛毒ガスに耐えていたちょっとした一ひねりから、プライドをいたく傷つけられ、その秘密を明かすように博士を拷問するガスバンバラ。
 同じく生き残った助手を人質に取られた博士は、やむなく解毒剤の存在と化学方程式の隠し場所を自白するが助手は無残に殴り殺され、博士への拷問に助手への殴打と、ややくどいぐらいの暴力描写が続くのですが、後半の展開も含め、尺が余り気味だった雰囲気はあり。
 解毒剤の化学方程式は、博士の息子シンゴの持つペンダントの中に隠されており、勝木家で待ち構えていた偽博士をさっくり見破る渡五郎。
 「新人類め……博士の幻を超能力で送っていたのか、恐るべき奴らだ」
 帝国兵に続いてガスバンバラが姿を現すと、斜面を派手に転がり落ちた五郎は、剛力招来。
 最近ちょっと帝国兵になめられている節のあるサナギマンは、殴りたければ好きなだけ殴れ! それが貴様ら新人類帝国の破滅へのカウントダウンだ! とノーガードで顔面にパンチを受けながらも前進を続けると、超筋力でチェスト!
 「バンバラ~。さすがサナギマン。だがここが貴様の死に場所だァ!」
 敵サイドから珍しくサナギマンへの褒め言葉が入り、お腹のパネルを開くと次々と火山弾を放つガスバンバラ、爆発が、近い。
 続けて引き起こした山津波にサナギマンを飲み込んだガスバンバラは勝木家へ向かうと、門番を務めていた丸目は帝国兵のロープ攻撃に敢えなく敗北。少年同盟が護衛を務めるリビングに毒ガスがばらまかれてペンダントに危機が迫ったその時、生き埋めプレイにより高めたゲージで超力招来したイナズマンが駆けつけ、「イナズマンは不死身だ!」。
 ガス攻撃を受けたイナズマン
 「別の世界に引きずり込んでやる!」
 と凄い事を言い出し、2-3話のバトルシーンは、イナズマンのチェスト力を高めるイナズマン空間であった模様。
 ガスバンバラが撤収すると、イナズマンはペンダントに隠された秘密に気づくが、教授とペンダントの交換要求がリビングの壁に浮かび上がり、悲壮感を漂わせる少年同盟に見送られながら雷神号でオニスミダケへ。
 交換の現場でガスにまかれたイナズマンは、まんまとペンダントと共に博士の身柄も見失ってしまい、子供との約束を守ろうとする姿でイナズマンのヒーロー性を強化する狙いかとは思われるのですが、名前を叫びながら博士を探して歩き回るイナズマンの姿が長々と描かれるのはどうにも間延び……というか、およそ1分30秒に渡って延々と彷徨い続けるのは、尺が余っていたとしか思えません。
 川のほとりでへたれこむ姿さえ見せた頃、
 「ガスバンバラ、まんまとイナズマンにしてやられたな。その方程式は偽物だ」
 ……成る程、必死に探すわけだ。
 「しめた、ペンダントの中の発信器が鳴り出した」
 博士の命は最初から二の次だったイナズマンは、発信器の電波を感知すると急に元気になって立ち上がり、人質が通用しないのはバロム・1と同じような意味でした(これがJPさんだったら、息子を現場に連れてきて自力での脱出を促す)。
 急斜面での派手な立ち回りや吊り橋を使ったロープアクションは迫力があり、帝国兵を蹴散らしたイナズマンが目にしたのは、機関車の先頭車両に磔にされた博士の姿!
 「バンバラ~、本物のペンダントを渡せぇ~」
 「ガスバンバラ、おまえの仕業か」
 3割ぐらい、あなたのせいですね……。
 イナズマンはペンダントを放り投げると機関車を筋肉で押し返し……一度押し戻すところを見ると鉄橋の先が無くて落下寸前、とかやりたかったのかもですが、くくりつけられて大騒ぎする博士と走り出した機関車の描写しか無い為に(博士の立場ではそれは怖いでしょうが)、人質を利用した脅迫としてはだいぶ意味不明な事に。
 尺稼ぎめいたシーンの後に全てを木っ葉微塵にするイナズマンなど、全体的にどうも今回、脚本と演出が噛み合っていない節もあり。
 博士を救出したイナズマンは、マフラー稲妻走りでチェーンを作り出すと、鉄橋を超筋力で持ち上げて迫り来るファントム列車を谷底に落下させ、その爆発に巻き込まれるガスバンバラ(笑)
 ここまでの成り行きは首をひねる事ばかりでしたが、この、(結果的に)攻撃がとても面白かったので、大体どうでも良くなりました!
 「ガスバンバラ! 私にはそんなもの通用しない!」
 急斜面での格闘戦の後、火山弾攻撃を受けるもその爆炎を突っ切ってみせたイナズマンの、触角がちょっと曲がっているのはご愛敬。
 打つ手の無くなったガスバンバラは超力稲妻落としでチェストされて大爆発し、恐らくついでにアジトが吹き飛んだという事だったのでしょうが、なんの落ち度もないオニスミダケが、形が変わりそうな勢いで吹き飛びました(笑)
 勝木父子は無事に再会を果たし、偽取引の件については口をつぐんだまま雷神号で飛び去るイナズマンに向けて、父子が手を振り見送って、つづく。