東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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竜と指輪の物語

ファイアーエムブレムエンゲージ』クリア

 プレイ時間は約130時間。以下、ストーリー内容には触れません。
 総評としては、割と面白いところとだいぶ駄目なところが混在した一作。
 ただ、シリーズそのものが当たり外れが結構激しいという前提でプレイした事と、発売前の紹介PVで「ここは……面白くなさそうだな……」と思った要素が実際に面白くなかったりだったので、駄目な部分のダメージが想定の範囲内に収まっており、一定以上の満足は得られました。
 とはいえ、あの如何にも面白くなさそうで本当に面白くなかった各種アクティビティの類に関しては、ゲームとして出していいものだったのか検討されるレベルだったと思うので、次作の肥やしにしていただきたいところです。
 最初の雑感で“やる事が多い”ゲームと書きましたが、「あれこれやる事の多さが自軍の強化に繋がる一方、面倒な事はすっばりやらなくても進めていけるバランス」が今時のゲームらしい作りなものの、「本当にやらなくてもいい事が多すぎる」のは、なにやら本末転倒になってしまった感。
 遠目には煌びやかなのに、中に入ってみるとアトラクションの半分ぐらいが動いていない遊園地、みたいになってしまいました。
 基本、“質より量”のゲームデザインではあるのですが、枯れ木も山の賑わいにも限度があって、思いついた要素を入れてみようはともかく、入れた要素の洗練、プレイヤーのモチベーションに繋がるプラスアルファの組み込み方には、一考以上の余地があったように思います。
 そこで、あまり意味が無い気はするけど一応触っておくか……というタイプのプレイヤーでないと、だいぶ噛み応えの無いゲームになってしまいそうな面はあったかなと(恐らく割と余計な時間をかけている私としても、もう一つ“奥”が欲しかったですし)。
 これもあまり期待していなかった要素ではあるのですが、指輪の紋章士との絆会話は、「お茶会繋がり」とか「騎士繋がり」とか一定の糸口があるならともかく、接点も関係性も見当たらないキャラによる本格的にどうでもよいやり取りが数多く見られ、一人頭96種類(3段階×12人)、書く側も気が狂いそうになっても仕方が無い、と思う出来。
 絆会話にしろ支援会話にしろ、総じて「意外な繋がり」とか「意外な関係の発展」という要素が薄かったのは物足りなかったところ(ゼロとはいいませんし、全部見ているわけでもないですが)。会話の主題は概ね「インパクトのある性癖」なのですが、それも相手によっては全く出てこないのでふんわりとした会話に終わる事もあり、あれこれ中途半端になったかなと。
 ……短所ばかり書き連ねてしまいましたが、長所を挙げると、今回の核であった〔エンゲージ〕のシステムはなかなか面白かったです。
 どのキャラとどの指輪を組み合わせてどんな特色を出すのか、を考える作業は楽しかったですし、エンゲージによる見た目の変化や、一部エンブレムによる大技は見栄えがし、一気呵成に攻め立てるにせよ、じっくりと機を窺うにしろ、どのタイミングでエンゲージするのかも、戦略上の面白みとしては、良いアクセントでした。
 前作『風花雪月』の〔紋章〕は、ストーリー上の扱いは非常に大きいがゲーム上はほとんど目立たなかったので、今回、コア要素のストーリーとシステム上の融合については、良く出来ていたなと。
 また、各マップそれぞれに趣向を持たせる事で、戦力的には力押しで行けそうだけど、何か待ち構えているかもしれないので少し慎重に進めよう、と警戒させるマップデザインも良かったところです。
 全体のストーリーは、内容云々以上に、イベント会話シーンの出来の悪さが足を引っ張っており、以前の感想で「再構成された神竜伝説が舞台劇にされたものを見ている、ぐらいに思っていた方が精神衛生には良さそう」と書きましたが、結局ずっとそんな感じで、いきなり至近距離で会話を始める敵味方・何故か最小限しか動きを付けないので敵も味方もだいたい棒立ちか仁王立ち、と、シーンの緊張感を削ぐ方に削ぐ方にと作られており、まだ演技つける前の、立ち位置と台詞の確認段階のフィルムが何故か完成品として世に出てしまった、みたいな中身。
 ストーリー重視でキャラクターの3Dモデルに力を入れたまでは良かったけれど、それに適切な芝居を付けられる人が居なかったというか、付ける前に力尽きたというか……な点は、大変残念だったところ。
 後、今回は〔エンゲージ〕を中心に据えたシステムの為、〔クラスチェンジ〕の重要性が薄れており、「様々なクラスを経験してスキルを集める」がそのまま「様々な紋章士と絆を結んでスキルを集める」にスライドしているのですが、もう少し両立を図る(職種スキルを2枠にして継承可能にするとか)、ないしは、紋章士からの継承スキル枠が最低でも3つは欲しかったところ。
 あまり継承スキルの自由度を高めると、どの紋章士とどのキャラを組み合わせるか、の悩ましさが減じてしまうと考えたのかもですが、変則的なクラスチェンジをする意味がほぼ存在しませんし、“育成の幅”という点では、物足りなさになってしまったな、と。
 私の場合、基本全員に《再移動》をつけていたので、継承スキルは《再移動》と残り1枠、になっていまいましたし……。
 なんだかまた、駄目出しの流れになってしまいましたが、そういった問題点があれこれありつつ、割とシリーズ長年の課題だった、“戦闘に派手さをどう持ち込むのか”に対しては一つの解を出して成功したと思うので(例えばこの点においては、前作の〔紋章〕と〔戦技〕は完全に失敗していたので)、あちら立てればこちら立たずの面も出ましたが、前作とは違った形で、“シリーズの可能性を広げた”作品としては評価したいな、と。
 なお、最終的な我が軍のキャラと指輪の組み合わせは、こんな感じでした。
 リュール(専用職)・ロイ:戦場を燃やしつつ力重視。
 ラピス(ブレイブファイター)・マルス:しかし結局、剣より手槍メインのキルマシーン。
 ルイ(ジェネラル)・シグルド:突破力を兼ね備えた槍の壁。
 ジェーデ(グレートナイト)・アイク:魔法にも強い斧の壁。
 ゴルドマリー(グレートナイト)・リン:万能型の壁。終盤、残像が固いと酷い事になるのに気づきました。
 アイビー(専用職)・カムイ:魔力を補強しつつ万能防壁でとにかく専用職が強い。
 クロエ(ファルコンナイト)・エイリーク:炎の槍を主力武器にしたほぼ魔法仕様。
 フラン(ハイプリースト)・リーフ:最終的に対魔法の壁でしたが、格闘×急所ずらしはもっと積極的に活用できたかも。
 セリーヌ(専用職)・ペレト:踊り要員。結局最後まで、魔力よりも力が高かったお姫様。
 エーティエ(ウォリアー)・ルキナ:回避力を補いつつ、物理大砲。……斧は結局、振った記憶がない。
 シトリニカ(セイジ)・セリカ:最終的に速さ不足により、魔法大砲。
 ユナカ(ウルフナイト)・ミカヤ:割と後方でなんでも出来る要員。
 とにかく今回は物理壁優遇のゲームデザインで、ちょっと極端にやりすぎだったのでは……? みたいなところはありましたが、従来シリーズだと個人的にあまり使わないタイプのユニットを重視する事になったのは、ちょっと面白かったところです。
 シリーズ次回作が出たら、また期待したいな、と。