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正義すぎるオレンジ

イナズマン』感想・第7話

◆第7話「奇怪! 空飛ぶ一ツ目!?」◆ (監督:塚田正煕 脚本:伊上勝
 見所は、砂浜に潜っていた帝国兵と、渡五郎の棒高跳びアクション。
 「ヒャクメバンバラよ。50年後、この地球は人類が増えすぎ、飢え死にする者で溢れる。そのため無能な人間を殺し、新人類は生き残るのだ」
 新人類帝国(建設)の目的、それは将来予測される食糧危機に備え、過激な選民思想に基づいて人類を選別・粛正する事にあり、有能な新人類の力で食糧危機を解決しようと動き出し……はしないのが悪の組織でありますが、直撃中のオイルショックに備えられたのかどうかは、大変気になるところです。
 学校の教師を殺害して成り代わった百目バンバラは、超能力を持った子供を見つけてさらうと、“悪い眼”を植え付ける事で悪のミュータントの一員とする計画を進めており……発想は大体、キャプテン・サラーと一緒ですね!
 今回はナレーション多めで進行し、五郎が日本各地で相次ぐ超能力ボーイ&ガール失踪事件を追う中、超能力者だと察知された少年同盟のメンバー・皆川が百目バンバラに狙われ、掌に目玉が浮かぶ映像が気持ち悪い。
 助けに入った丸目は気を失って、皆川少年は悪の芽を植え付けられてしまい、ここ数話、存在感の薄かった少年同盟が改めてフォーカス。
 日常の学校生活の中に新人類の魔手が忍び寄り、偽教師が超能力を見せて生徒の反応を窺う事で超能力者をあぶり出す一方、皆川少年が偽教師を怪しんで尾行する一幕があるのですが、全身オレンジ色の同盟コスチュームで街を歩いている時点で弁解不能な為、まともなスパイ活劇が成立しません(笑)
 五郎にかぎつけられた百目バンバラは、少年をさらって逃走。イナズマンに追いつかれると宙に浮かぶ巨大なマンモスアイを召喚し、目から極太レーザービィーーームを期待したらキャプチャー光線で、乗り物でした。
 イナズマンは雷神号でその後を追い、諸般の事情によりサナギマンは運転を許されないようで、雷神号でのチェイスシーンを控えていると、いきなりイナズマンで出てくる事になってしまうのは、残念なところ。
 イナズマンが発見したアジトの島は海中に沈み、少年たちの行方を求めて奥浜名湖ホテルを、あのコスチュームで訪れる同盟一行。
 さらわれた少年の一人が敵の手から逃げてきたと姿を見せると悪の芽を取り出し、“少年同盟を侵食していこうとする悪い目”と、“密かに社会に潜り込む新人類の恐怖”――それは人の持つ差別意識など、悪の心の寓意でもある――が掛けられているのでしょうが、今回はどうも全体的にテンポが悪く、キレ不足。
 帝国兵に囲まれた渡五郎は剛力招来すると、もっとだ! もっと蹴りを! とMゲージを高めていき、超力・招来!
 「ヒャクメバンバラ! おまえの全身の目を潰さない限り、子供たちの心は元には戻らない!!」
 百目バンバラの幻術に苦しめられるもアジトへと乗り込んだイナズマンは、一撃で全身を粉砕されるのがいいか? 百カ所を一つずつえぐり取られるのがいいか? の選択を迫るが、瞳バリアーの中で待ち受けていた百目バンバラは、アジトの島=マンモスアイを海面から浮上させる。
 「この目玉の中で、貴様は永遠に空を飛び続けるのだ。二度と大地は踏めん」
 「ふふふふふふ……ははははははははははは」
 「なにがおかしい」
 「私を閉じ込めたつもりだろうが、それは違う!」
 百目バンバラの正体を知る為に敢えて罠に飛び込んだのと宣言したイナズマンが、内部で真空を作り出すとマンモスアイは木っ葉微塵に吹っ飛び…………あれ……マンモスアイ=アジトの島=沢山の子供達が中に囚われていた、のでは、ないの……?
 逆転修復チェストーーー!!
 「おのれイナズマン! ヒャクメバンバラの守護獣、マンモスアイをよ(どかっ)くも!」
 「チェスト!」
 台詞の途中で容赦なく百目バンバラを殴り飛ばしたイナズマンが、地面に転がったところに急降下爆撃チェストすると、百目バンバラはどろどろに溶けて消滅。悪い目を植え付けられた子供たちが浜松にもちょくちょく出てきた割には後処理シーンは一切描かれないのですが、多分、みんな、助かりました!
 「ヒャクメバンバラは死んだ……だが俺が、スナバンバラがおまえを必ず殺してやる」
 次回――帝王バンバ、早くも直接出馬?! で、つづく。
 子供の首筋に貼り付いた悪い目や、空飛ぶマンモスアイなどの描写は力が入っていて印象的でしたが、裏を返すとそれ以外の面白さには欠け、ここまでの『イナズマン』では、最も話のテンポが悪く冴えない出来。
 渡五郎は、主人公パワーによる時空間のねじ曲げにより、一般市民から同盟コスチュームを受け入れられてもギリギリ突破できるのですが、少年同盟員における、コスチュームを着ていないと特別な存在(超能力者)である事をアピールできないが、コスチュームを着て歩くとあまりにも不自然、はやはりどうにも苦しく、公的組織なら名刺代わりの制服が、秘密組織では全く逆効果になっていて、むしろ新人類帝国に名刺を差し出してはいけない立場なのが、作劇としては難しくなっています。
 また、今回狙われた皆川少年の友人・大木は、その姉ともども、第1話冒頭から登場した姉弟のようであり、一応のレギュラーポジションではあるのですが、存在感としては丸目の足下にも及ばない為に、大木姉弟にスポットが当たってもいまいちピンと来ないところがあり、当てるなら当てるで、皆川少年抜きの方が良かったのでは……と。
 第5-6話は、今作の良いところが出たエピソードでしたが、今回は、今作の悪いところが出たエピソードとなってしまいました。