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イナズマ春のパン祭

イナズマン』感想・第4話

◆第4話「日本列島大爆発!!」◆ (監督:山田稔 脚本:島田真之)
 完全な骨だけではなく内臓めいた赤黒い部分が残っているのがグロテスクなホネバンバラの呪術を受けた中年男性が怪死を遂げる、おどろおどろしいアバンタイトルでスタート。
 前回はコブバンバラが溶解液に倒れた被害者の頭蓋を執拗に踏み砕く場面がありましたが、時代を感じさせるスリラー/ホラー描写といえそうでしょうか。
 サブタイトルの表示直後に、高層ビルが火を噴いて崩れ落ち、逃げ惑う人々の姿が描かれ、『ビーファイター』ばりのカタストロフ体質で『イナズマン』世界はだいぶ危険、かと思いきや……
 「バーラバラバラバンバ~、ホネバンバラよ、我々の、日本爆破作戦は、夢ではないのだ」
 ……え、全部……PV?
 最後、
 「見ろ! 富士山が爆発したぞ!」
 「もう、駄目だ……日本が大爆発だ」
 と、絶望する群衆の描写が入ったり、物凄い手の込みようです(笑)
 首領から作戦をプレゼンされた骨バンバラは、列島の地下を流れる火山帯を誘爆させる為に、高名な地質学者・富島博士の誘拐を命じられ、追われる博士の危機に通りすがる我らが渡五郎。
 「新人類帝国の化け物だな!」
 「ホネバンバラとは俺の事だ。ぼーん!」
 割と渋い声と演技(CV:和田周)なのに、とってつけたようなその語尾は必要だったのでしょうか(笑)
 生身の活劇を少し見せた五郎は剛力招来し、その間に逃げた博士は、極秘資料の収められたマイクロフィルムを食パンの中に隠す、大・迷・惑。
 一方、骨バンバラはサナギマンめがけて必殺・魔の十字架を投げつけ、寺院の墓地を飛び交う白い十字架がちょっとシュール……と暢気に眺めていたら、白壁にぶつかった瞬間、目が点になる勢いで大爆発。
 立ち上がり、ミニチュアの爆破にやたら力の入った今作ですが、あの威力は私の筋肉でも防ぎきれなかったかもしれない……! と昂奮したサナギマンはAパートから超力招来。
 「自由の戦士、イナズマン!」
 「おのれイナズマン!」
 やたら格好良い声で妙に強敵感を出す骨バンバラ(ただし若干、中年太り体型)を格闘戦で退けたイナズマンは博士を追いかけるが、ものの見事に不審者扱いを受け、シーンの意図としては博士の用心深さを表現しようとしたのでしょうが、何か別の要因があるように見えて消化にちょっと困ります(服装とか服装とか服装とか)。
 その博士は五郎の追跡を撒くとパン屋に取って返し、マイクロフィルムを回収しようと食パンの袋を破っては千切り続ける犯罪行為を繰り返すと(ボロボロにした食パンはスタッフがおいしくいただ……いたの?)、パン屋の留守番を頼まれていた丸目にとっ捕まる事に。
 「待ってくれ! 私は怪しいもんじゃない! 富島だ。地質学の富島だ」
 「そげな莫迦な! そんじゃなんして、富島博士ともあろう人が、こげな真似ばすっと!」
 人類の自由の為に戦う五郎を不審者扱いした博士が、日本を守ろうとして丸目に不審者扱いを受ける因果応報は、狙ったギャグなのかどうか(笑)
 見ようによっては、通常ヒーロー力で突破するところに法や常識の視線を浴びせるメタ的なセルフパロディめいているとも取れますが……
 「……いや、それは……私は、日本の運命を左右するほどの、重大なマイクロフィルムを、食パンの中に隠したからなんだ」
 自称富島博士は火に油を注ぐ不審者丸出しの供述を行い、社会的抹殺まであと一歩となったその時、骨バンバラが出てきてフィルムを強奪。幸い、奪われたフィルムはダミーの偽物であり、新人類帝国は、ちょっと間違ったポイントを盛大に爆破する事に。
 本物のフィルムはつまみ食いした食パンと一緒に丸目の胃の中に収まっている事が明らかになり、これは新人類帝国にさらわれて開腹手術寸前に渡五郎が駆けつけて丸目のヒロイン力がまた上がってしまうのかと期待されましたが、骨バンバラは富島博士を改めて拉致。
 急を知ったサナギマンは、囚われの富島博士が顔中血まみれの拷問を受けている姿をサナギマンアイで捉え、モブやゲストに厳しいのは70年代特撮の常ですが、五郎と面会の約束をしたばかりにあっさり殺害されてしまった植田博士や、帝国兵に袋叩きにあった植田博士に続き、「博士」の肩書きを持っていると碌な目に遭いません。
 だが、一般人の殺害に躊躇がないのが70年代なら、一般人の覚悟が定まり気味なのもまた70年代。
 拷問に屈しない博士に業を煮やした骨バンバラは、意味不明だったアバンタイトルを伏線にして、博士の無防備な魂から情報を聞き出そうと呪術を発揮するが、そこに飛び込んでくるサナギマン。
 「ここだ! ホネバンバラ!」
 主題歌インストバトルとなり、十字架攻撃を受けてMゲージを溜めたサナギマンは、超力招来!
 山田監督の趣向か、第2話に続いて謎空間でのバトルとなると、稲妻拳法・回転蹴りが炸裂して骨バンバラは敢えなく木っ葉微塵。博士の魂は無事に本体に戻り、今回特に何もしなかった少年同盟が自転車で走ってきて、つづく。
 怪人の常とはいえ骨バンバラがあまりに神出鬼没かつ、往復を繰り返す場所がよりによってパン屋なのがいまいち緊張感を削ぐなどはありましたが、とにかく今回は、冒頭のカタストロフ映像が、首領による(構成員を大量に動員した)自作PVだったが面白すぎたので、満足度の高いエピソードでした(笑) 今まで見た島田脚本回では、一番面白かったかも。
 ……そしてつまり、前回冒頭のコブバンバラ暴風カタストロフの図も、友情出演:渡五郎役まで用意した、PVが真相だったの……?!
 なお今回から次回予告が、帝王バンバの来週の新人類コーナーから、ナレーションによるオーソドックスなものに変更となり、ちょっと残念。