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バイオでクロックでドレッドな洋館

仮面ライダーギーツ』感想・第11話

◆第11話「謀略2:ジャマトの迷宮」◆ (監督:杉原輝明 脚本:高橋悠也
 「あの男は――勝ちすぎた」
 もうお父さんはご飯を作るのに飽きました! とDGP運営によるギーツ潰しの謀略が加速…………するのですが、今のところやっている事は、息のかかった刺客カボチャを一人送り込むぐらいで涙が出るほどせせこましく、もう少し盛り上がる仕掛けが欲しいところなのですが、ギロリさんが自由に動かせる今季の予算はエース様の胃袋にドンドン消えていきます。
 なんだか突然、ネオンに向けてぺらぺら喋るようになったエース(姉派だったのでは……?!)は、かつて書いた「母に会いたい」の願いがデザイアカードに拒絶された事を明かし、かなえられない願いは書いた時点で書き直しを求められる、こんなところだけ親切設計なデザイアグランプリ、裏を返せば「DGPスタッフになりたい」は達成可能な願いという事なので、第3章からはエース様がデザイアグランプリの運営体制を抜本的に見直しながら、第二第三第四のゲームマスター四天王を撃破していく成り上がりグランプリそして世界へ編が開幕する筈。
 一方、すっかりすさんでしまい、人生に労働は必要なのか……と哲学的瞑想にふけっていた桜井が乗ったバスがジャマーフィールドに飲み込まれ、ジャマトの作り出した異空間において、桜井・幼い姉弟・運転手、が要救助者となった、迷宮脱出ゲームがスタートすると、
 見所は、ネオンに粉をかけにいった運転手の首根っこを掴まえて後で絶対文句を言うのにペアを組む道長ーーーーー!
 道長には今後もじんわりと、悪い奴ではないポイントを稼いでいっていただきたい。
 後、もうちょっと知力を上げてやってほしい。
 5人の仮面ライダーは、ペアとなった救助対象(ツムリ含む)を守りながらジャマト軍団と戦う事になるが、メイドジャマトと執事ジャマトが「変身」してジャマトライダーとなると、カボチャボクサーを一撃で吹き飛ばすパワーを発揮。
 ドレミファギーツが広範囲サンダーで消し飛ばすがジャマトライダーだけは復活し、撃破不能系クリーチャーの追跡を受けながら、逃げ込んだ洋館からの脱出を目指す、という趣向。
 「なぜ指示していない事が起きている……?」
 ところがこの事態がマスタリングの予定外だったギロリ(GM四天王でたぶん最弱)は、急遽、追加アイテムを送り込むと、ちょっと! 台本と違うんですけど! と電話を入れるが、先方から完全なる無視を受ける。
 電話のベルが虚しく響く温室では、謎の老人がジャマトを育てている姿が不気味な雰囲気たっぷりに描かれ、他にドライバーとIDコアも映っているのですが、今回の限りでは、ドライバーとコアも収穫しているのか、それともコアを肥料としてジャマトを育てているのかは、ハッキリせず。
 なんとなく、コアが溢れ出しているのが肥料袋っぽく見えはするのですが……そもそも第1部から、ジャマトのウェーブ処理が胡散臭すぎた運営の、大きな謎が一つ飛び出すのは興味を引く要素に。
 ジャマト洋館では、DGPを脱落すると、デザイアカードに書いた願いにまつわる想いが消えてしまう事が明かされ、桜井たぬきちは「世界平和」の願いを失って一攫せんきーーーんに目覚めてしまったと理由がついて、これまでバランスの悪かった「脱落」のリスクがようやく判明するのですが、引っ張って面白い要素というよりも、変に隠してもやもやした末に毎度ながらのエース様の後出し解説みたいになってしまうのは、組み立てとして上手く感じないところ。
 《仮面ライダー》というブランドタイトルだから出来る作り、といえば作りではあるのですが……とにかく今作、1話1話の面白さよりも、もう少し先まで待って、というのを優先した作りに見える上で、些末な伏せカードが開くまでのスパンが長く、そのくせカードを開いて靄が晴れたら凄くスッキリ、というほど面白いわけでもない部分を後ろに隠すのですが、以前いただいたコメントにあったように、〔DGPルール〕の遊びにこだわりすぎて本編の面白さを削ぐ本末転倒に陥っているような気もします。
 「この世には……順番てものがあるんだな……――へんんしん!」
 救助対象の若者たちを守るべく、老フクロウがジャマトに立ち向かっていく姿は格好良い事は格好良かったものの、あからさまな脱落候補者が脱落ムーヴを行った後に、遅刻してきたヒーローによる逆転劇が訪れる今作お得意の構成は全く面白く感じられず(制作サイドは、そのギャップこそバネのたわみになると狙っているのでしょうが、個人的には、地中にめり込んだまま動かなくなる気持ち)画面上はクライマックスのアクションが派手に展開しているものの、2話連続、感情の針は氷点下。
 ……さすがにお爺さんの一発脱落は避けましたが……次回ドクターストップで失格判定か、特例で桜井と選手交代か。
 GMが投下したスロットバックルにより金色のマフラーを巻いたギーツがフィーバーしてジャマトライダーを撃破し、ブースト事故によるショック療法が桜井の記憶を揺り起こし、カボチャとツムリの暗躍に気付いた道長は多分今回も、勝利に徹しきれずに、おまえのやり方が気にいらねぇに一票入れそうな気がしますが、道長はこの辺りの“揺れ”を面白く描けるキャラなので上手く描いていってほしいところで、つづく。