東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
旧ダイアリー保管用→ 〔ものかきの倉庫〕
特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)
HP→〔ものかきの荒野〕   Twitter→〔Twitter/gms02〕

姉の世界

仮面ライダーギーツ』感想・第10話

◆第10話「謀略1:新世界のビート」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:高橋悠也
 エース様は、姉派。
 つまり目指すのは弟オブ弟オブ弟であり、サボテンジャマトをぶっ飛ばし、浮世英寿が生み出した新たな理想の世界は、父はギロリ、姉はツムリ、のDGP運営家族の世界。
 「ギロリさんもなんとか言って下さい!」
 「父さん、と呼びなさい」
 ツムリさん以外の二人は、とても楽しそうだった。
 「いつまで続くの……? この世界……」
 「俺がデザ神であり続ける限り。つまり一生だ」
 「嫌! ギーツに勝てる仮面ライダーを呼ばないと」
 私情剥き出しの事を言い出す運営サイドにぐいぐい質問をぶつけていくエース様が最初にかなえた願いは「俺が死ぬまでデザイアグランプリに参加できる世界」と明らかになり、その次が「俺が働かなくても暮らせる世界」なのが策士らしさを上乗せして、順を追った用意周到ぶりに、少し好感度が上がりました(笑)
 ツムリさんはエースがこれまでにかなえたお願いカードを重ねていき、先のやり取りからも、デザ神の座を防衛している限り、かなえられた願いは累積して継続していく模様。
 裏を返せば、今後の英寿に一時転落がありそうなのも含めて別のデザ神が誕生するとリセットされる可能性もありそうですが……願いによっては矛盾が起きたりかなえた甲斐が無くなってしまう場合もありそうなので(例えば「誰かの命」とか)、まだ不明瞭な部分。
 前回グランプリで敗者となったバッファロー道長はDGPに関する記憶を失っている事が描かれて、“新世界”の様相と関連設定が必要充分に示され、表向きは明るいがマネキン系だったツムリさんに、家族ごっこの舞台で感情を出させて愛嬌を加えたのは良かったところ。
 エース様のサインを貰いかけた道長が、ツムリに差しだされたIDコアに触れた途端にDGP関連の記憶を思い出し、うわこいつ、宇宙最低のゲジゲジ野郎じゃねぇか……! となるのも飲み込みやすい流れとなりましたが、早い、早いな次の開催……!
 なんだか運営側の私怨を感じます。
 まあ幕間に時間をかけすぎる意味も無いのですが(劇中では1年ぐらい経過しているのかもしれない)、今回はスルーされたネオンと、仮面ライダー失格処分となった桜井の日常風景が挟み込まれ、就活に連戦連敗中で少々すさんでいた桜井は、タヌキの暗黒面に目覚めつつあった。
 そんなわけで、新世界開幕から5分少々で新たなデザイアグランプリが開催の運びとなると、ゲームマスターのギロリは、シマシマシャツのギタリストを運営権限で密かに送り込んでおり……エース様は、姉派。
 相変わらず説明皆無のままバトル必至のゲームに送り込まれて急ピッチで参加者が削り落とされ、最低限ドライバーとバックルの使い方ぐらい教えてから開始しないと、それはエース様が有利に決まっているよね! とSNSが大炎上しそうな運営ぶりですが、敗者は記憶を失うので大丈夫です。
 開幕戦はなるべく生身のままざっくり脱落させていきたい、のは話の都合としてはわかりますが、不条理系デスゲームものと転生無双ものの悪いところだけ引っこ抜いて足したみたいな事になっており、冗談半分でも願いを書いたらそれが地獄への片道切符なんじゃぁ、と戦う覚悟を押しつけられたヒツジ2号が袋だたきにされて脱落・消滅するのは、凄く感じの悪い事に。
 うーん……割とここまで、必要な情報を整理しながらテンポ良く進行して、新章スタートとしては悪くない手応えだったのですが、今作におけるシビアな要素の描き方は、大抵げんなり。なんというか、悪趣味(今回のゲームの性質を考えると、画面に映っていないところで、変身もできないままジャマトによって消滅したプレイヤーもそれなりに居るでしょうし)。
 リスクを示す事によるリターンの説得力や、戦闘シーンの緊張感を担保するといった意味は確かにあるのですが、悲劇を煽るのも、不条理な事故死を見せつけられるのも特に楽しくはなく、この後、物凄く胡散臭い感じで出てきた父親の関与(?)を経て、新たなバックルを手に追加参戦したドレミファネコの活躍シーンも、一人消滅した直後だしなー……と視線が零下になって盛り上がれず。
 どうも今作、第1話が都市の大破壊から始まったように、ジャマトは本来、「抗いようのない天災(死)」と位置づけられていて、その「不条理が支配する世界」に立ち向かう力を持っているのが、「願い」を先払いした仮面ライダー、みたいな節はありますが。
 味方へのバフ効果と敵への混乱効果を発揮する吟遊詩人ポジだったドレミファネコは、そのまま氷のビートをジャマト兵に叩き込み、ギターは日本古来の伝統的な打撃武器です。
 一方、ギタリストの変身したカボチャボクサーの姑息な手段で一対多の戦いを強いられるギーツだったが、ブーストであっさりジャマト兵を薙ぎ払って勝ち残り、残る参加ライダーは、あっという間に5人。
 「早くも残り5人か。……波乱の幕開けだな」
 おい運営。
 「ゲームマスタ~~、簡単には退場しそうにないぜ、ギースの奴」
 「……それを果たすのが――君の役目だ」
 私は、限りなく早く、父を、やめたい!!
 ゲームマスター・ギロリは、カボチャ頭のギタリスト・晴家ウィンに命じ、エースはネオンに「母を探している」とその目的を語って、つづく。

 余談:劇中で緑のたぬきが居なくなってしまったうどんのCM、ツムリさんはあの服装で赤いきつねをすするの、ブレイブを感じます。