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悪魔が今日も笛を吹く

人造人間キカイダー』感想・第36話

◆第36話「狂ったジローが光明寺をおそう」◆ (監督:畠山豊彦 脚本:長坂秀佳
 「ダーク破壊部隊にこのクワガタブルーが居る限り、ダークが金に困る事はない」
 主力商品(戦闘用アンドロイド)の販売不振による業績悪化に苦しむダークは、資金調達の為に銀行強盗を繰り返し、久々に見る輪転機演出。
 「悪魔回路を備えた、悪の改造人間を作るのだ! 悪の戦士、ダークの精鋭サイボーグを」
 プロフェッサー・ギル光明寺の身柄と莫大な現金を求め、資金は強奪するけど、材料費の支払いは、いつもニコニコ現金払い。
 クワガタ部隊が銀行の壁を突き破って出てくるところを撮影した女記者が命を狙われると、ギターの音色が響き渡って、ジロー参上。
 撮影にこだわる記者を殴って気絶させたジローはチェンジするが、クワガタブルーの目から放たれるストップ光線を浴びて身動きできなくなる大ピンチに陥り、ジェット飛行で一時撤収しようとするも、空中でストップ光線を受けて2話連続の墜落の憂き目に遭うと、潤滑油を制御する回路に大きなダメージを負ってしまう。
 一方、銀行の壁に開いた大穴を目にした半平は、千円札の2枚や3枚ぐらいちょろまかせないかと銀行内部に侵入した決定的瞬間を、目を覚ました女記者に通報され、遂に、自業自得の逮捕の危機。
 前回積み立てた死亡フラグが、「官憲による射殺」の形で発動し、合法的に社会から抹殺される寸前、マンホールの蓋を持ち上げてえいやっと飛び込んだ半平は力尽きて気を失い……目を覚ますと、見知らぬ部屋でミツ子&マサルと再会する。
 「落ち着いてよ半平! あなたマンホールの中で気絶してたのよ!」
 もはや驚くべき部分では無いのかもしれませんが、 いや、あの、あなた方はどうして、マンホールの中に……?
 「運良く僕たちが見つけたからいいものを、お巡りさんにでも見つかったら刑務所行きだって。マリさんそう言ってたよ」
 「マリさん? 誰?」
 半平を救ったのは、ミツ子達から事情を聞いて半平への誤解(誤解……?)の解けた女記者であり、一同は農協で守衛として働いていると情報の入った光明寺探しに向かうのだが、その農協の金庫がクワガタブルーに襲われ、居合わせた光明寺の正体に気付いてしまう……だいぶ、時間をかけて。
 これまでも、光明寺に気付いたり気付かなかったりが不安定だったダークロボットですが、人間の顔は、インプットされた顔写真のデータに基づいて認識している事がわかり、必要なのは、Google検索とWi-Fiでした。
 マリが襲撃現場の写真を撮影し、半平たちはアンドロイドマンを挑発し、光明寺は今日も凄いスピードで逃走し、少々コミカルな一幕を挟んだ後、渋い男声コーラスの挿入歌をバックに、ヒトデムラサキに光明寺捕獲を命じるプロフェッサー・ギル
 「ははは……あの裏切り者の光明寺を、ダークの手先、悪魔の戦士にしてやるぞ!」
 可愛さ余って憎さ100倍にしか見えなくなってきたギルの光明寺への執着、拉致監禁して働かせていた筈が「裏切り者」呼ばわりなのは、悪の身勝手さ以上に、一方的に友情を感じていた気がしてなりません。
 ジローはマリに拾われてミツ子の修理を受け、光明寺はとうとう警察のご厄介になり、光明寺捕獲作戦に疑義を呈して不興を買い、プロフェッサー・ギルに馬鹿にされた、という動機でマリの家を襲うクワガタ(笑)
 日に日にオイルの質が下がってでもいるのか、とうとうダークロボットの忠誠度も下がってきました!
 復活したジローが、クワガタに追われるミツ子たちの救出に向かうと主題歌バトルとなり、回転アタックから新技のウルトラキックで目を潰すと、大車輪投げ、そしてデンジエンドで、さっくり撃破。
 凄く、クワガタ感の薄いクワガタ怪人としては、印象に残りました(笑)
 一方、現金強奪事件の現場で取り調べを受ける光明寺の背後に星型の影が浮かび上がるのは格好良く、そろそろギルのインスピレーションが枯渇してきたのか、物凄くそのままなデザインのヒトデムラサキが光明寺を襲撃。
 潤滑湯を新品に変えたのが良かったのか、突然、目からSOSを感知したジローは光明寺の救出へ向かい、レッド&ブルー・レッド&ブルー。
 ヒトデフライング頭突きを受けたジローはチェンジしようとするが悪魔の笛に阻まれ、
 ナレーション「ギルの笛に勝てるかジロー! ギルの笛に負けるなジロー!」
 と、メタ声援を送るナレーションさんのヒートアップや、体内の良心回路の描写などが新機軸。
 ヒトデに壁に叩きつけられた際に、頭を打ったショックで記憶を取り戻した光明寺だが、悪魔の笛に屈したジローがその前に立ちはだかると、挿入歌をバックに光明寺の顔面に右ストレートを叩き込む!
 身に染みついた忍者の技術でダメージをやわらげる光明寺であったがジローに首を締め上げられ、光明寺を目にすると明らかに攻撃性を増すジロー・これまでの経緯を全く覚えてない為に、ジローへの言行が若干身勝手に見えてしまう光明寺・状況に全く噛み合っていない挿入歌と、盛り上がっていると称するにはどうにも混沌とした状況の中、相反する命令の衝突に耐えかね遂に体内の良心回路がオーバーヒートを起こしたジローは、配線のショートにより全機能を停止してしまう。
 「よくやったぞキカイダー! これでおまえも立派なダークの戦士だ!」
 そこにヒトデが現れ、光明寺の首を締め上げたまま、まばたき一つせずに硬直したジロー、という衝撃の映像で、つづく。
 ナレーション「動け! 動けジロー! ヒトデムラサキをやっつけろ!」
 前回は予告や冒頭の盛り上げ方からテンションを上げて見ていたら(面白い事は面白かったのですが)酷い予告詐欺だったのに対して、今回は如何にも繋ぎ回といった内容で、次回いよいよ――逮捕。