電子レンジと後半戦開幕
第１３話「別」。
小沢真司声で「お父さん」と言われると余計な動揺を招く回。
梨穂子の実の母親に関しては、ここまでの伏線がだいぶ露骨という判断だったのか、劇的にその正体を示すのではなく外堀を埋めていく形で表現される中、実父候補の一番手である鷹山がこの問題に関して割と蚊帳の外なのが、酷いというか面白いというか。
母子手帳の母親名がそもそも偽名だった、と福祉局の人がさらっと口にするのですが、これによって雅音からは、「娘」だけではなく「名前」までもが奪われており、主人公の行動原理に大きな楔を穿つと同時に、そのアイデンティティを根こそぎ破壊しに来るのが、えげつない作劇。
鷹山サイドも、梨穂子の母親＝玲奈、と認識する一方、ナソエフの手が梨穂子に伸びるが玲奈がそれを撃退し、ファーザー秘書、さくっと退場。
今作正直、作画や演出の関係で戦闘シーンが面白いとは言いがたく、特に戦闘力の上下関係がわかりにくいのですが、ウィッチ雅音を倒し、生身まりあを一蹴する実力者として描かれていただけに、随分と呆気ない退場劇となりました。
ＥＤの曲・映像が変更となって、主要キャラ勢揃いイラストとなり……電子レンジエクスコンは、内部でも人気なの？！
ちーん。
第１４話「家」。
「梨穂子を自宅へと収容。本日より、親子関係についての記録を開始する」
観察記録を付け出す玲奈……あれ、この人もしかして、意外と天然ボケ？
いやまあ、この人はこの人で異質な自分自身を自覚しており、異星人が地球人を観察するような真剣さなのではありましょうが……ただ今作、雅音と梨穂子の関係性に亀裂が出来ると、途端に感じ悪いか胡散臭い人物ばかりになって（雑居ビルの面々はだいぶ餌付けが行き届いて参りましたが）物語がどんよりしてくるので、玲奈がこういう味付けになるのは、良かったところ。
その玲奈にはクローンブレイドによる崩壊の兆しが迫り、雅音は鷹山に案内されて「記憶を失う前の自分」のルーツを知り、「名前と梨穂子を失った状態」から手早く「本当の自分」を確認するプロセスを取った上で、「それはもう私ではない」としたのも、良かったところ。
第１５話「絆」。
クローンブレイド二刀流となった、まりあの遺伝子上の母親は玲奈と判明し、玲奈の家にまりあが突撃してくる一騒動。
辛うじてまりあを退けた玲奈は肉体が限界に達し、最後にちゃんと鷹山と会話があってホッとしました（笑）
鷹山、多分トラウマ案件ではあるのでしょうが、本音は未練たらたらだけど、女の尻を追っかけるとか格好悪い！ とか思ってそうなので……煮え切らないまま会話も無しのままだとあんまりだなーと思っていたので。
玲奈は、梨穂子強奪で嫌な感じになるのかと思いきや、既にブレイド崩壊が進んで時間が無く、最終的には梨穂子を守り抜く、と嫌悪感が集まらないような作劇の末に散りざまも美しく描かれ、なんとなく感じるスタッフの愛。
今作割と、“倒すべき敵（悪）の本丸”が不明瞭な構成（例えば、今すぐファーザーをぶん殴っても、ウィッチブレイドに関する問題が解決するわけではない）なので、さてここからどう転がしてくるのか、という事になりますが、想定される展開として梨穂子がハイブリッドなネオジーンでウィッチブレイドの完全適性者、みたいな事になった場合、梨穂子に害を為す存在＝人類悪の梨穂子システムが発動するので、さて、最後に悪の王冠を掴むのは、ファーザーか、和銅か、西田か瀬川か大穴で和銅秘書か？！
第１６話「憩」。
斗沢がチョーさんの為にセッティングした合コンが、何故か雑居ビルご一行様慰安旅行に化け、斗沢と旧知の編集者が連れてきた女性陣が、ネオジーンの“娘達”にしか見えないのは気のせい……？
……結局、今回は終盤への布石を打ちながら和やかなインターミッションに終始して特に拾われなかったのですが、編集長が変に言葉を濁したり、実際の部下は男ばかりという描写が入ったり、そもそも一話限りのゲストキャラを３人（編集長母子はドラマ的に意味があるのでさておき）投下してまで合コン（という名の海水浴）実施する必要が感じられなかったりで、やたら胡散臭げなのですが、このままなんの裏も無かったら、気分は、「どうしてこの回に新たな着ぐるみ３体も投入したの！？」です。
真面目な布石としては、ウィッチブレイドの適合者本命が梨穂子だとさっくり明確にされ、雅音の行動目標が「梨穂子をウィッチブレイド所持者にしない為」にアップデート。
いわば最大の敵は「“戦う力”そのもの」となり、これはもう、「運命と戦う物語」と認識して良いでしょうか！
