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人の心はどこで見つかるのか

人造人間キカイダー』感想・第26話

◆第26話「ミドリマンモス地球冷凍作戦!!」◆ (監督:畠山豊彦 脚本:春日憲政)
 見所は、行き倒れを拾ってくれた恩人を見捨てて、鍛え上げた脚力で一目散に逃げていく光明寺
 前回、復讐の為に作りあげた殺人兵器により自衛隊員を殺傷、7万人の暴徒を生み出し世間を大混乱に陥れた狂気の天才・光明寺は、キカイダーを後一歩まで追い詰めるも最後の詰めを誤ってまたも記憶を失い、流れ流れて東京園芸センターで働いていた(笑)
 どこからどう見ても不審すぎる中年男性なのに、妙に若い女性にウケのいい光明寺だが、園芸センターの近所にある洞窟で覚醒したミドリマンモスに襲われると、恩人・マチコを半平に押しつけて、脇目も振らずに逃走。
 光明寺は記憶よりも先に、人の心を探した方が良いのではないか!
 前回ちらっと先行登場していたミドリマンモスが、改めて洞窟の中に氷漬けで発見された事には恐らく「マンモスだから」以上の意味はなく、東京園芸センターのセンター長らしきマチコが半平の初恋の女性で旧知の間柄な点も、導入の訪問理由以外では全く広げられず、とにかく、人間関係にしろサスペンスにしろ、盛り込まれた要素が全て場当たり的で、前にも後ろにも全く繋がらないし広がらない困ったエピソード。
 マチコと半平を助ける為に飛び出したキカイダーだが、マチコを人質に取られ、良心と自己の保全を天秤にかけて自衛の為なら人質を見殺しにしてもやむを得ない回路がスイッチオンする前に(間を置かず、飛び道具で攻撃する正しい対処法!)冷凍ガスを浴び特殊ガス弾を打ち込まれて完敗。
 キカイダーを破ったミドリマンモスは養鶏場・水族館(と称していますが、映像は金魚屋……)・新幹線を次々と狙う冷凍作戦を開始し、能力試験なのでしょうが、これといって映像的なインパクトもなく、特に、鶏が凍り付くような場面さえ描かれない養鶏場はなんのために襲ったのか。
 一方、体内が錆び付いていく苦しみにのたうち回るキカイダーはマチコに拾われると、合流したミツ子らの手によってサビ止め液を満たした風呂に放り込まれ、浴槽の中でくったりしていた。
 その入浴シーンを……ダークが見ていた(笑)
 特撮ヒーロー名物・謎カメラでありますが、窮地に陥ったヒーローが湯船に浸かっている姿をじっと見つめる悪の首領の姿には、他にもっとやるべき仕事があるのではないか、という気持ちが湧いて仕方ありません。
 一方で、予告でも強調されていた、機能低下によりジローの姿になれなくなったキカイダー! は、ゲストヒロインに恐れ気もなく拾われるのでこれといって広がりはせず、ジローがこんなになったのはあんたのせいだ! とマサル少年がいつにないリアクションをゲストヒロインにぶつけるもその後は全く拾われず、とにかく具材を鍋に投入して煮込む事なく、思いついた端から皿の上に乗せていくばかりなので何も出汁が取れず、ひたすら続く生の味わい。
 浸け置き漂泊からの手もみ洗いで完全復活するジローだが、直後にギルの笛の音が響き、夜の闇の中に失踪。
 ミドリマンモスは新幹線冷凍の予定を変更して園芸センターを襲撃し、社員二人が惨殺された上に温室全滅で会社の大ピンチ! そして冷凍ガスを浴びた半平がバラバラ死体のピンチ!(忍法・笑劇時空により、回避)
 マンモスがミツ子たちをさらうと何事も無かったかのようジローが戻ってきて戦いが始まり、再び響く笛の音だが、冷凍ガスを浴びた事で聴覚センサーが途切れてチェンジ成功し、崖の上から岩石落とし、そして大車輪投げでひっくり返ったところにデンジエンドが炸裂するのであった。
 冷凍ガスにより枯れかけていた温室の花は、これも何事も無かったかのように園芸センターに戻ってきたジローの生みの親が、なんか良い感じに救ってくれました! と、一応の恩返しが描かれるのですが、恩人を見捨てた逃走劇の失点は消えようがありません……
 (私の行くところに、必ず考えれないような異常な事態が起こるのは何故か。私は人を不幸にしてしまう男なのだ)
 一応、光明寺は、異常な怪物の襲撃を自分が原因ではと考えている=だから自分が離れればマチコらは無事だと考えていた? とフォローは入るのですが、基本フォーマットとなっているキャラの扱いがシナリオ上で一番厄介という問題点は2クール目が終了するも、未だ解決せず(デメリットばかりではないのがまた厄介なのですが……)。
 モチーフの特徴として、頭部のフォルムと牙そして鼻を分解して表現しつつ、全体としては蛸型宇宙人めいた得体の知れないさにまとまっているミドリマンモスは絶妙なデザインだっただけに、地球冷凍作戦どころか商売敵の嫌がらせレベルで終了したのは残念でした。
 次回――海産物三羽烏、現る。