東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
旧ダイアリー保管用→ 〔ものかきの倉庫〕
特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)
HP→〔ものかきの荒野〕   Twitter→〔Twitter/gms02〕

N細胞のひみつ

人造人間キカイダー』感想・第21話

◆第21話「残虐! ムラサキネズミの毒牙」◆ (監督:北村秀敏 脚本:長坂秀佳
 久々にスリラー調の演出で、夜の闇の中、街を彷徨う光明寺が目にしたのは、奇声をあげながらコンクリートブロックを削り続ける謎の影。
 外壁を破壊して伝染病研究所に侵入したダークロボット・ムラサキネズミは暗闇の中に赤い瞳を不気味に輝かせ、髭のイメージと思われる突起物が顔中にまち針を突き刺しているように見える狂気により、ダークロボットに特徴的な頭部の巨大さと目立つ瞳部分に基づくコミカルな造作を持ちながら、KAWAIIの向こう側に到達しているのが、非常に秀逸なデザイン。
 必殺技を繰り出して警備員を殺害したネズミは、暗がりの為なのかデータ入力のミスなのか、後を追いかけてきた光明寺をただの不幸な中年男性と認識したままダーク新型ペストの実験台としてガスを浴びせると姿を消し、翌日――探偵として現場に呼ばれたのは、何故かアイパッチをつけた服部半平。
 例の如く誰にも触れられない半平の扮装・物凄くぼんやりとした研究所の看護師により隠密裡に処理されようとする事件・巻き込まれた第三者扱いで治療を受けている謎の中年男性(光明寺)、と全てがざっくりと処理されていき、良くも悪くも大抵の異常事態が路傍の小石レベルで片付けられていく謎の疾走感が発生しています(笑)
 現場に残された足跡を見つけて巨大ねずみ取りを仕掛けようとする半平だが、ギルに怒られたムラサキネズミが早くも再来し、ミツ子とマサルの危機に病院の屋上に経つジロー!
 「ムラサキネズミ! 新型伝染病をばらまこうとしているおまえを、許すわけにはいかない!」
 「許せなければどうする?!」
 「チェンジ!」
 キカイダーとネズミ部隊の戦端が開かれる一方、一晩ベッドで寝ていたら回復している光明寺は、体に流れる忍者の血による超人的な回復力の賜物なのか、或いはその正体はやはり人造人間コゴローなのか。
 というか普通にペスト菌をばらまいた方が重大な事態を引き起こせるのでは?!
 狙われている気がするので逃げます! と種類の違う病院に搬送されそうな事を言い出した光明寺は今回も颯爽と逃げ出し、その姿に気付く半平、そしてプロフェッサー・ギル
 ギルはネズミに、光明寺捕獲を優先せよと命令を下し、首筋から生えてくるパラボラアンテナがお茶目。またそれがコミック的なネズミの耳を表現しているのも秀逸なデザイン。
 ネズミがキカイダーとの戦いを途中放棄した一方、逃げる光明寺を懸命に追うミツ子だが……
 「……罠だ。奴らの罠に違いない」
 光明寺は加速した上、光明寺を追うネズミの放ったダーク新型ペストガスを浴びて倒れてしまう。
 そのネズミを追いかけてきたジローは、さらわれる光明寺の姿を目にするも、苦しむミツ子を放っておく事もできず、ミツ子の為に体内の熱エネルギー電池を取り外して置いていくと、追跡を再開。
 半平とマサルによって運ばれた伝染病研究所(劇中では実質病院扱い)で目を覚ましたミツ子は、体内電池が無いとジローはパワーも出せず変身も出来ないと悲嘆に暮れ……人間の体から電池が出てきたとか、その熱エネルギーで助かったとか、電池が無いと死ぬとか、理解不能なやり取りをベッド脇で聞かされる看護師さん、朝から奇人変人の相手ばかりで大変なお仕事です。
 ジロー電池により悪寒が収まったからもう大丈夫、と起き上がったミツ子はジローの追跡を半平に懇願し、体に流れる忍者の血による超人的な回復力の賜物なのか、或いは一皮剥くとその下は黒いオイルと歯車で出てきているのか。
 というか普通にペスト菌をばらまいた方が重大な事態を引き起こせるのでは?!
 「ジロー、あたしの為に、あたしなんかの為に……死なないでジロー!」
 ミツ子さんのジローへの想いが強調され、まともにサイドカーの運転もできないほど弱ったジローの後を追う半平一行、ボロ車の震動を、喋りながら自分が激しく揺れる事で表現する半平、凄い(笑)
 一方、ジローはどうにかネズミに追いつき、先行していたネズミの足がやたらに遅いのは、肩にかつがれた光明寺が無意識に、光明寺忍法・重力制御の術を用いて、自らの体重を徐々に重くしている為かと思われます。
 「たとえ熱エネルギー電池がなくても、俺は戦うぞ……」
 奮闘虚しく、ネズミとの一騎打ちに臨んだジローは体当たりを受けて敢えなく崖から転落したところをミツ子に発見され、ツールボックスを片手に歩くヒロイン、ってなかなか珍しいような。
 ミツ子はエネルギーの大半を失い物言わぬ冷たい体となったジローを熱烈にかき抱き、今こそキカイダーにトドメを刺す時、と新たな命令を受けたネズミは、崖下に無残に転がるジローの姿を発見。
 チャンスとばかりアンドロイドマンをけしかけるが、それは勿論、光明寺忍法・ここ近道なんだけど右折禁止なんだよなーええい行っちゃえとハンドルを切ったら死角にパトカーが待ち伏せしていたの術であり、既に回路の修復を終えていたジローは不意打ちを仕掛けると、ムラサキネズミの飛び道具を故意に撃たせる捨て身の挑発で悪魔の笛をかき消し、逆襲のスイッチオン!
 電流火花が体を奔るキカイダーは、ネズミの繰り出す激しい鞭攻撃とパラボラフラッシュをかわし、回転アタックからの馬乗りパンチ。チョップで鞭を切断すると大車輪投げそして免許エンドにより、ムラサキネズミは木っ葉微塵に弾け飛ぶが、その間に光明寺博士は姿を消してしまうのだった……。
 ダーク破壊部隊ムラサキネズミはキカイダーに倒された。
 新型ペスト菌すら通用しないニンジャ細胞の秘密は何か。
 事件を闇に葬ろうとした看護師は何者なのか。
 ジローは征く、果てしない戦いの道を――!
 ……ある伝によれば、後にこのニンジャ細胞に関する研究成果が、あのジャンパーソンと一戦交える事になるとされるが、それはまた、別の物語である。