『人造人間キカイダー』感想・第18話
◆第18話「クロカメレオン幻の大強奪作戦」◆ (監督:永野靖忠 脚本:渡辺亮徳/島田真之)
新開発の核物質を奪取しようとするも機動隊に阻止され、お仕置きとしてスクラップにされるアンドロイドマンたちの姿を尺を採って描く、ちょっと変わった導入でサブタイトル。
「愚か者たちの死刑は終わった。だが、我々は原子ウラトニウムを諦めたわけではない」
ギルはダーク新破壊部隊クロカメレオンに新たな命令を下すが、
「任せてちょーだいっ!」
……なんかちょっと、不安なノリだった。
ホテル支配人の娘が連続出演して前回に続いて伊香保で光明寺を探すミツ子達だが、その地は原子ウラトニウム強奪をもくろむダークの魔の手がひしめいており、輸送トラックを襲う派手な銃撃!
銃火器所持のアンドロイドマンが待ち伏せを仕掛けると更にヘリによる空中からの砲撃まで投入され、熱戦を繰り広げる、群馬県警vsダーク!!
死屍累々の戦場に、ギターを響かせジローが参上すると輸送部隊の隊長を助けてトラックを先行させるが、クロカメレオン(何故か長い嘴があり、鳥類寄りの顔)の忍法イリュージョンと忍法爪ミサイルに苦戦し、戦いの場は走行中のトラックの上に。
……割と普通に走っているトラックの上で(スピードは相当落としているのでしょうが)割と普通に戦っており、制作会社の安全基準感覚(当時)にいまいち信用が持てないと、迫力、というよりは、ちょっとヒヤヒヤして困ります。
どうにかカメレオンを投げ捨てるキカイダーだが、トラックのガソリンが心もとなくなり、凄く普通に群馬県警と状況を相談するキカイダーが、今作これまで無かった状況で妙に面白い(笑)
既にガソリンスタンドに罠を仕掛けていたカメレオンは、榛名湖のほとりで一休みしていたミツ子とマサルにも魔手を伸ばし、光明寺と名乗る男性が工事現場で大けがをした、と虚言を用いて誘い出す。
慌てて走り出すも、光明寺と出会えなかったミツ子とマサルは、懐かしい伊香保の地で思い出の歌を口ずさみ、「この景色……それにあの歌……覚えがあるような気がするんだが……」と、それが光明寺の耳に届くのはいいシーンなのですが、なのですが、湖畔の炭焼き小屋(?)で、勝手に火を焚いているのが、ザ・光明寺。
また、半平たちと切り離したい&ダークの介入を描きたい意図からかクロカメレオンの罠を挟んだ事によって、父親が大怪我をしたらしいと大慌てで探しに行く → シーン切り替わるとさっくり「会えなかったね」で済ませている奇妙奇天烈な流れが発生してしまっており、つまり、お父様は事故と怪我を偽装して追っ手の目を眩ませたに違いない! と捉えるのが、光明寺家では常識に違いありません。
制作上、観光タイアップの関係により榛名湖で一休みのシーンを入れないといけないとかはあったのかもですが、ダークもダークで、おびき寄せた筈の工事現場では襲撃しないという謎の行動を取り、歌についてミツ子とマサルに訪ねようと接触する寸前、アンドロイドマンの姿を目にしてさっと姿を隠す光明寺が酷い(笑)
さまよえる光明寺縛りは、ストーリーに縦軸を作るメリットの一方で、ニアミスを描こうとして微妙な状況が出来上がるデメリットが付きまとっていますが、前回は、ぼんやりと座っている割と近くを娘らが誘拐されていき、今回は、女子供がアンドロイドマンに狙われているのを命欲しさに見過ごし、前者はそもそも気付いておらず、後者は無力な一般人の対応として自然ではあるものの、光明寺(ヒーロー側の人物)の好感度には響きます。
光明寺が積極的にする事といえば、移動と、逃走と、若い女の子を手伝ってのゴミ拾いであり、ミツ子さんは無事再会の暁には、出会い頭に水平空手チョップからのココナッツクラッシュそしてプランチャ・スイシーダの必殺コンボを叩き込んでも、マザーは許してくれるに違いありません。
ミツ子とマサルがダークの手に落ちる一方、ガソリンスタンドで待ち構えていたクロカメレオンは輸送トラックを奪い取り、ジローを襲う火炎放射。ギルの笛に苦しむジローだが、忍法・爪ミサイルによって起きた落石の下敷きになった事で音が遮られ、チェンジ成功。
キカイダーの反撃にコミカルな芝居でもだえていたカメレオンはロケット十字架に人質にしていたミツ子とマサルを見せつけるが、キカイダーいきなりの回転アタックから大車輪投げ、そしてデンジエンドのコンボであえなく爆死。
ダークによる原子ウラトニウム強奪作戦を阻止したジローは走り去り、凄く雑に出てきた人質が凄く雑に解決されるのですが、初参加の脚本家が大体、「え? 光明寺一家は毎回出さないといけないんですか?!」みたいになっているのは、今作の厄介そうなポイントで、幸せを探す戦いはつづく。