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伊香保温泉は群馬県

人造人間キカイダー』感想・第17話

◆第17話「アカクマバチ恐怖の人質計画」◆ (監督:永野靖忠 脚本:島津昇弌)
 ダークロボット・アカクマバチ率いる、小型アカクマバチ部隊(アンドロイドマンが変身)が環境破壊の為にガスをばらまくと世間では公害によるものと認識され、対策委員の記者会見が描かれる社会派路線……なのですが、この後ジローはもとより、ミツ子やマサルの口からも公害の「こ」の字さえ出ないまま終了。
 自らの部隊を「ダーク特攻隊」と称して部下を鼓舞し、「行きの分はあっても帰りの分は無いと思え」と配下のアンドロイドマンにエネルギーを注入するかなりストレートななぞらえも、それ以降は特に活用されないまま終了し、社会問題も戦争風刺も、見事に宙ぶらりん。
 また、〔ぽっちゃりボディ・大口開けたところにウニを詰めたような顔・頭のタケコプター〕と、どちらかといえば笑いを誘うデザインのアカクマバチを更にミニチュア化すると、もはやそこには“KAWAII”しかなく、映像がどうにも深刻になってくれません(その「可愛い」が「不気味な恐怖」に転化されるホラー系のシナリオだったらまた違ったかもですが……)。
 ダークの魔の手が、公害対策を進めようとする政治家の娘に向けて迫る一方、光明寺は生まれ故郷である伊香保の地に辿り着いていた。
 ミツ子とマサルもまた、父の手がかりを求めて伊香保を訪れており、光明寺の親友が支配人を務める伊香保グランドホテルへと向かう道すがら、光明寺の乗る路線バスと、ミツ子らを乗せた半平の車が張り合って、公道で蛇行を繰り返しながら抜き津抜かれつのデットヒートを繰り広げる無駄カーチェイスが展開され、こんな路線バスは凄く嫌なのですが、伊香保観光協会としては、これで良かったのでしょうか!!
 ミツ子・ホテル支配人娘・政治家娘はそれぞれ知己で、この後、ホテル支配人娘がやたら活躍するのも謎なら、半平とペアルックのような衣装を着ているのも謎で、細かい謎が乱れ飛ぶ中、タイアップ先の玄関屋根の上で戦っている内に、むざむざ女性陣をさらわれてしまうキカイダー
 アカクマバチは娘を人質に政治家を脅迫し、キチガイ毒針を打ち込まれたマサルは虚ろな表情で笑い続け、ジロー&支配人娘と共にアジトに乗り込んでいった半平は3体のアンドロイドマンを退ける活躍を見せ、全体的に、ジロー以外のキャラが活躍、というかジローの出番が少なめなのですが、スケジュールの関係で何かあったのか、この辺りでゲスト含めてサブキャラを少し活躍させたい、みたいな意図だったのか。
 ジローが赤クマバチと戦っている間にモーターボートを奪って逃げだそうとするミツ子達だが、船体にロープを引っかけると、背中に気嚢を広げて追いかけてくるアンドロイドマン!
 突然のパラセーリング追撃が始まるのですが、水面を走るモーターボートの起こす風圧によって宙に浮いているアンドロイドマンは、当然、前方のモーターボートには追いつけず、走るボート・浮かぶアンドロイドマン・きゃーきゃー騒ぐ女性陣(女性3人がボート上で悲鳴をあげて騒いでいると、もはや遊んでいるようにしか見えず)、となんだこのシーン(笑)
 ヒーローが湖岸でじたばたしている間に、レギュラー一般人がモーターボートアクションを担当するのも珍しい気はしますが、どうするんだこれ……と思っていたら、アンドロイドマンが上から撃ってきた!
 湖面に水柱が立ち、ようやく緊迫感が出たところで半平がロープを切り離すと哀れアンドロイドマンは水上に落下していき、アクションとしてはかなり力が入っているように思われるのですが、劇的な効果のほどは正直ちょっと微妙。
 追っ手を振り切ったミツ子は、笛の音に苦しみもがくジローの姿に気付くと、スイッチ・オン!
 「ボートを岸に向けて! ジローめがけて突っ込むの!」
 ミツ子さぁぁぁぁぁん?!
 「OK!」
 ホテルの娘ぇぇぇぇぇ?!
 躊躇なく湖岸にボートを突っ込ませるミツ子さん、躊躇なくその指示を実行に移すホテルの娘、そして伊香保光明寺博士の生まれ故郷……この3つの点を繋げると、浮かび上がる真実は一つしかありません。
 そう、伊香保は忍者の里だったのです。
 「半平! あなたの腕のみせどころよ!」
 ミツ子の指示を受けた半平は爆走するボートの上からジローめがけてロープを投げつけ、それに引きずられて水中に飛び込んだジローは笛の音から逃れると、怪人から「卑怯者」呼ばわりを受けながらも、チェンジ成功。
 今日はあまり活躍していない分のパワーを込める……! と主題歌をバックの打撃戦に突入するや、必殺コンボでさっくり木っ葉微塵にするのであった。
 怪人を倒したからという事なのか、マサルくんは適当に治り、観光タイアップ回にしても最初から最後まであまりにも取り留めが無いのですが、当初はもっと社会問題に踏み込むプロットで進めていたが、急遽、伊香保回が入る事になって中盤以降の展開を魔改造された、とかだったのではと考えた方が納得のいくレベル。
 次回――「互いに秘術を尽くす恐怖の戦い」と予告が発言して、基本はやはり、忍法帖