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ばくはつにとびこめ

『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』感想・第28話

◆ドン28話「ひみつのヒミツ」◆ (監督:田崎竜太 脚本:井上敏樹
 (俺は今、正体も知らない仲間達と戦おうとしている。何故こうなったかというと……)
 総集編を除くと3回連続(雉・ソノイ・今回)なので、このタイプの導入を意図して続けているようですが、単なるなんとなくなのか、とんでもない爆弾がこの先に待ち受けていたりするのか……。
 とにもかくにも刑事に追われていた犬塚は、伊集院瑞穂なる令嬢から、この顔ロックオンされてしまい、「どうか私を、弟子にしていただけないでしょうか」と斜め上の依頼を受ける事に。
 瑞穂から名うての泥棒と誤解されていた犬塚は、指名手配を材料に強請られて話を聞かざるを得なくなり……世知辛くも堂々とした逃亡者生活が続く犬塚ですが、直前の刑事のやり取りで、狭山ネコ刑事は、警察を退職した、と判明。ツアーから帰還後の状態で警察に勤めているのにだいぶ無理があったので、この点は改めて仕切り直し、といったところでしょうか。
 亡き恋人が自分をモデルに描いた絵を手に入れようとするあまり、怪盗にさえなろうとしていた瑞穂はその執着から鬼と成るが、人を襲う欲求を抑えつけ、自力で人間に戻る姿を見た犬塚は協力を約束。
 だるまさんがころんだ鬼や電話ボックス鬼の例があるので、対象の執着を晴らす事で戦わずとも鬼を祓えると考えるのは納得がいき、画家とモデルの交流を織り込みながらオークションでのドタバタ劇と相成るのですが……うーん、個人的には、どうもいまいちノれず。
 非常識だけどパワフルな女、て井上敏樹の好みっぽい感ありますが、それと気取った画家のロマンスはあまり面白く見られず、オークション会場でのギャグもあまり好みではなく……あと、展覧会に大行列を描写した“夭折の天才画家”の遺作にしては、300万スタートで数百万台で競っているのはえらく安いのでは、と気になってしまったり。
 また、その遺作「秘密」を盗んだ(瑞穂談)上に、オークションに平気で贋作を出品していた元弟子が、やたらいい家に住んでいて如何にも師匠の没後に悪い事をしてお金を手に入れました感を出しているにも拘わらず、せいぜいその「秘密」を奪われた(盗み返された)程度のしっぺ返しなのもスッキリせず。
 まあこの後、再登場して鬼に成ったりする可能性も、ゼロでは無いかな、とは思いますが。
 落札した絵画が贋作だと見破った瑞穂と犬塚は、支払いを偽札で処理すると実力行使に打って出るが、こういう時に限って知性とパワーを絶妙に発揮するサルの妨害に遭い、瑞穂鬼が暴走。
 肥大した脳のような頭部が強調されているので、超獣鬼……? かと思った瑞穂鬼は、体内のケミカル成分を合成して「爆発!!」した事で科学鬼と判明し、確かに原典の最終盤で肖像画がキーアイテムになりますが、恐らくそちらはほぼ関係なしの「芸術は爆発」繋がりによる奇跡のコラボが誕生し、そう、神輿に乗って高笑いする狂人、ドン・モモタロウである。
 (2022年は何故こんなにも、「タロウ(タロー)」の当たり年になったのか)
 絵はイヌがキャッチするも、銀トラ&赤のダブル必殺技により成敗された科学鬼は巨大化し、こうなれば鬼を退治するしかない、とオニタイジン&トラドラゴンジン、そして、呉越同舟・超絶合体!
 ……反抗的な銀トラはともかく、トラドラゴンジンは別に敵では無いのでは……? とは思うものの、とにかく同じ船に乗っての更なる大合体が発動し、見所は、真っ先に逃げだそうとするも強制的に右腕にされるトラ。
 主に上半身が組み替えられて、下半身には下駄ならぬ草履を履き、ようやくOPのフレーム馬(どこから出てきたのか……)が回収されて、完成・トラドラオニタイジン!
 「祭だ祭だぁ!!」
 金銀を加えて正攻法の7体合体となったトラドラオニタイジン、凄く見覚えのある顔なのですが、サングラスを追求するとグレートゴーバスターになる宿命なのでしょうか。
 もんでゅぅぅぅぅー!!
 床几に座ってオニタイジンに続き、馬にまたがるトラドラオニタイジンは面白く、巨大科学鬼の生み出す色とりどりの爆発を騎乗スタイルで回避すると、スピアやアローを駆使した末に接近戦に持ち込み、天下分け目の大喧嘩……という割には対する鬼が、鬼に飲み込まれるのを押さえ込んでいた訳ありキャラなので、正直、何故この敵で初お披露目……?
 その辺りは雑な作風にしても盛り上がりのブーストには欠け、香ばしいオーバーキルの香りが漂う中、天下統一・ドンブラファンタジアによる連続突撃で鬼退治・完了。
 ヒトツ鬼、歴代戦隊モチーフの怪人、というコンセプトは面白さがある一方、ギア回収要素が不明瞭になり強化展開とも特に繋がらないと(繋げすぎると《ライダー》化してしまうのが難しいところですが……)、「デザイン上のモチーフ」「エピソード内容との若干の関連づけ」程度の扱いになる為、「オマージュ的な小ネタを入れる事で原典との関係性をアピールする」という、若干転倒した方向性になってきていますが、これはこれで“話の種”としての機能性に徹していると思えばいいのか……。
 最初からギア回収要素や思い出したようなアバターアルター)チェンジが無ければ、「デザイン上のモチーフ」を中心に完全にメタ的なお楽しみ要素として受け止められたのですが、微妙に劇中に「歴代戦隊をモチーフにしている“意味”」が侵食している為、個人の嗜好としてはその回収が望ましい一方、それを物語として消化しようとする事で終盤に建造物全焼みたいな事態に陥るぐらいなら、割り切ったメタサービスとして無視を決めて込んでくれた方が良いか、というのが現在の心境。
 メタ要素の取り込みと物語的集約が出来るに越した事は無いのですが、下手に手を出すよりは、『ドンブラ』としての面白さを優先して貫いてくれた方が嬉しいかな、と(前作は正直、その点において大失敗したと思っているので)。
 瑞穂は恋人との約束通りに最後の作品「秘密」を炎にくべて燃やし、本当の「秘密」は、キャンパスに閉じ込めきれない画家からモデルへの想いなのだった、と犬塚がハードボイルドに締めて、俺の前に俺は居ない。俺の後に、俺は居ない。
 そう桃井タロウも言っていた。
 次回――お、おでんーーー?!