『仮面ライダーギーツ』感想・第３話
◆第３話「邂逅２：ゾンビ狩り」◆ （監督：杉原輝昭 脚本：高橋悠也）
うーん……とりあえず現時点で最大の問題は、ロビーでの会話シーンが死ぬほどつまらないに尽きるでしょうか。
ゲームシステムとして間に休憩シーンを挟む事で、アクションシーンのみで一本調子になる事を避け、物語における緩急の緩を作り、キャラクター同士の会話や関係性構築をスムーズに行う、という意図と機能はわかりすぎるほどにわかるのですが、肝心要のやり取りが気を失うほど退屈なので、キャラクターの魅力に繋がらないどころか、苦行のクールタイムみたいな事に。
脱落を前提としたキャラクターに対する使い捨て意識も出てしまっているのかもですが、もう少しどうにかならなかったものなのか。
また、距離感の微妙な多人数の空間・生死のかかった状況・割と長めの台詞、で会話を続けるのは立ち上がりとしては芝居の要求ハードルが高く、結果としてぎこちない間合いが散見されていて、これは今作の役者陣がどうという事では無しに、脚本・演出側の若い主要キャストに対する配慮不足を感じるところであり、理屈としては上手い設定だった筈のロビーが、却って足を引っ張っている部分を感じます。
根のところでは、生き残り６人中２人が無愛想キャラな時点でもう駄目だ感はあるのですが、こういう時に必要なのは全方位に愛想が良い食わせ物の２．５枚目とかであるし（ヒツジのおじさんは、愛想が凡人太郎にさえ受け入れられていない時点で失格）、人数多すぎると場面が作りにくくなるのはわかりますが、やはり第一回戦で雑に大量脱落させすぎて、脱落前提のミッションを組んでしまうと、“次に誰が脱落するのか？”の妙味も失われているのが辛いな、と。
そんな暗雲漂うデザイアグランプリの２回戦は、ゾンビサバイバルゲーム。
ジャマーエリアに送り込まれると各自それぞれポーズを取って変身し……う、うーん……タヌキの前回のていたらくは、あくまで自発的なものではなく外部からの強制的な「変身」だったから、と言い抜けできなくもなかったのですが、流れで普通に自分から変身してしまい、これならやはり、前回時点でタヌキのヒーローとしての第一歩を劇的に描くべきではなかったかと、非常に残念。
……なんか、ペンギンの形見みたいにしれっとアロー装備していますし。
ウェーブ１を撃退すると、ウシの人との賭けに勝ったギーツはゾンビバックルを使って変身し、「見よこの爪、この牙、チェーンソー！」
ちなみにゾンビとチェーンソーというとザベル（格闘ゲーム《ヴァンパイア》シリーズのキャラクター）を思い出す世代なのですが、ここでも組み合わされているのを見るに、何かゾンビをチェーンソーでぶった切る有名ゾンビ映画があったりするのでしょうか（ホラー苦手）。
ゾンビジャマトの噛みつきを受けてゾンビ感染していたパンダ仮面の奸計などあったもののゾンビギーツが大暴れを見せ、ギーツのアクションそのものは嫌いではないのですが、ギーツの確保している序盤の優位性の要因の一つが最低限２周目プレイヤーだから……というのはどうも面白さを感じられず…………て、これあれか、今ようやく気付きましたが、昨今流行りの「異世界転生」ギミック？！
好きな方には申し訳ないのですが、私、「転生」要素の面白みがどうもよくわからない（むしろ、別にこれ無くても成立するのでは？ と思ってしまう）人なので、いまいち英寿に好感が持てない理由の一つがわかった気が（笑）
また、同様の優位性を持っている筈のウシの人がひたすら器が小さく、英寿の引き立て役にされるばかりなのが個人的にものすっごいストレスなのですが、もう少し、なかなかやるな感ぐらいは出してほしいところではあり、今のところキツネもタヌキも苦手方面の描写が多め。
ゾンビ化の進行していたパンダ仮面がギーツに蹴り倒されて世界への怨嗟をぶちまけ、「不治の病」の次は「交通事故でスポーツが出来なくなる」と来ましたが、脚本会議はいったいどうなっているのでしょうか……いや、定番そのものを否定するわけではないのですが、それにしても使い方があまりにも安易にすぎるのでは。
「より良い世界にする為のデザイアグランプリだろ？」
え、そ、そうなの……？
「いや。どんな世界を願おうが自由だ。かつてこの国も、争いの末に天下統一が果たされた」
からの、ダイナミック論点ずらしが発動し、秀吉だから？！ 役者さんの名前が秀吉だからなの？！
……そして今思い出したのですが、私『鎧武』の感想で、「戒斗の言行は異世界転生者だと思うとちょっと納得しやすい」みたいな事を書いたのですが、まさか１０年越しにこんな形で回収されるとは（笑）
「このゲームで正しいのは――生きて勝ち抜く事。それだけだ」
「……時代が違いますよ」
某バナナの人を受け継ぐ異世界転生者スイッチの入った英寿に対しぼそっとツッコむ桜井だが気合いが足りずに浄化できず、パンダの人のみならずネコ娘もゾンビ感染していた事が発覚して、つづく。
