東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
旧ダイアリー保管用→ 〔ものかきの倉庫〕
特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)
HP→〔ものかきの荒野〕   Twitter→〔Twitter/gms02〕

忘れたままでは生き残れない

20年ぶりの『龍騎』メモ・第11-12話

(※サブタイトルは本編中に存在しない為、筆者が勝手につけています。あしからずご了承下さい)
◆第11話「手繰」◆ (監督:長石多可男 脚本:小林靖子

  • 牛ライダーの砲撃を受けるも、なんとか現実世界へ帰還する真司たちだが……頭を打ったショックにより、蓮、まさかの部分的記憶喪失。
  • 脚本は小林靖子に戻ったのですが、北岡のターンが終了して前回のおさらいパートにしか登場しない為に「ゾルダ」の名はまたも棚上げに。
  • その北岡が、ウフフフフ……と嗤う令子さんのブラックリストに放り込まれ、「うちの若い衆にナめた真似しくさってくれた礼は必ずしちゃるけんのう」とケジメを予告されると同時に、「ちょっとほっこりする話を記事にしましょう」と言って持ち出すのが、「手術費用の謎の寄付」なのが、巧い。
  • あと一応、真司がOREジャーナルの若い衆に数えてもらえている事に、ほっこりするべきか。
  • この1年ほどの記憶を失っている蓮は、(俺はどこかへ行く筈だった……)と記憶を取り戻す為にバイクで走り出し、「あいつ、勝手にしろ! …………てなわけにいかないか」は真司のいいところが凝縮。
  • 電車一両分の乗客がまるごと消滅する事件が発生し、購読者からのタレコミで渋々調査に出た令子は、「私のせいじゃないんだ……逃げないと……逃げないと」と虚ろな表情で繰り返す薄汚れた男を目撃。
  • クウガ』以後しばらく、演出サイドにおける「日常をどう切り取るのか」への意識の強さが見えますが、雑踏や電車の撮り方、バイク走行シーンなどで、色々なカメラを使っているところに、試行錯誤が窺えます。
  • 同じ「日常の切り取り」でも、クウガ』『龍騎』は「都市風景」寄り、『アギト』『ファイズ』は「生活空間」寄り、の印象。
  • この時期だと「名もなき一般市民の生活」と「怪異の脅威」を繋げて描く事が出来るので双方の要件を満たせるのは、今見ると、一挙両得だったのだな、と。
  • 近年は、撮影の利便性や描写の制限などが積み重なって、「日常」=「非戦闘時のキャラクターのやり取り」重視になっている印象ですが、それが結果的に、話が進むほど(仲間が増えるほど)に、世界が身内で閉じてしまうパターンに繋がっている、のかも。
  • その観点で見ると、現行『ドンブラザーズ』は、《平成ライダー》初期風味のテイストを2022年に持ち込むに当たって、「仲間同士の集まり」と「個々の日常生活」を、戦隊のスタイル、という以上の設計段階で、かなり意識的に切り離しているのでは、と思われます。
  • 道を歩けばもめ事にぶつかる男、秋山蓮。
  • 真司と蓮が線路下のトンネルに逃げ込んだところで、電車を餌場とするミラーモンスターの気配に気付くのは、面白い流れ。「……最高に変なの来ちゃったな」。
  • 蓮を置いて真司はミラーワールドへと向かい、ブーメラン攻撃により、召喚して剣をキャッチするのに、失敗(笑)
  • ……から、ストライクベントを囮に剣を拾う頭脳プレイで反撃開始すると、必殺昇竜キックでモンスターを撃破し、なんか最近、銃に撃たれて吹き飛んでばかりの印象だった龍騎会心の勝ち名乗り。
  • 令子が消失事件の現場で見かけた謎の男は封印カードを握りながら街を彷徨い、神崎士郎の関係者……?
  • そして蓮は、デッキを差しだす士郎の姿と、砂浜で戯れる女性の姿を思い出し……つづく。
  • 真司/蓮パート・令子パート・優衣パートが入り混じって展開し、カードデッキ/神崎士郎/ライダーギミックとは何か、という縦軸の謎を中心として、モンスター退治はエピソードに起伏を付ける為のギミック、とかなり割り切った作り。
  • 個人的には、怪人の扱いがもっと大きい方が好みではありますが、ただの障害物にならないような配慮として、ミラーモンスターとは何か、もまた物語の大きな謎になっている仕掛け。

◆第12話「過去」◆ (監督:長石多可男 脚本:小林靖子

  • 「恵里……」蓮は女の名前を呟き、いちゃいちゃ回想の舞台が海辺なのは、完全に長石監督の趣味でありましょーか。
  • バイクで走っていたら車に激しく煽られる男、秋山蓮。
  • ちょくちょくカースタント路線。
  • 別行動を取っていた真司&蓮と優衣が、一つところに集まって真実の一端を見出すのは、定番ながら綺麗な流れ。
  • 蓮の恋人・恵里は、清明院大学の江島研究室に所属していたが、ある日、研究室まで早めに迎えに来てほしい、と頼まれた蓮がそこで目にしたのは、巨大な翼を広げる怪物と、床に倒れる恵里。
  • 恵里は神崎士郎の“実験”の犠牲者となって昏睡状態に陥り、蓮は士郎から突きつけられたカードデッキを手にライダーバトルに身を投じる事になる……と、蓮の行動目的と、士郎の過去の所業が接続。
  • 封印のカードを失った江島はモンスターに襲われて絶命するが、その寸前、「……神崎優衣。……あんたさえ、いなければ……」と恨み言を残し、蓮の過去が明らかになる一方で、士郎はなぜ「優衣のため」と称したのか、そしてどこに姿を消したのか、新たな謎が浮上して、2クール目へとつづく。