東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
旧ダイアリー保管用→ 〔ものかきの倉庫〕
特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)
HP→〔ものかきの荒野〕   Twitter→〔Twitter/gms02〕

KAWAIIだけがDARKじゃない

人造人間キカイダー』感想・第5-6話

◆第5話「イエロージャガーの魔の手が迫る」◆ (監督:畠山豊彦 脚本:長坂秀佳
 見所その1。
 「ミツ子たちもダークなんかに狙われて大変ね」
 ……まあ、秘密組織ダークの全貌は未だ世に知られていないという事なのでしょうが、軽い調子で衝撃の一言(笑)
 見所その2。
 怪我の治療の為に体液を提供するジロー。
 ダーク破壊部隊に追わされた傷には普通の薬は効かない、との事ですが、特にそれ以上の説明はなく、ダークの里の忍びの毒は、ダークの里で生まれ育った忍びの血でしか治せない、みたいな感じでしょうか。ダークの里に生まれ育ったものは、谷に出る特殊なガスへの耐性がついているのだ的な。
 次作『01』ではメインライターを務める長坂秀佳が参戦し、いきなり大がかりな爆発シーンから始まって、何事……? と困惑していると、巨岩を砕いて現れたのは、ダークの火炎放射忍者・イエロージャガー(可愛い)。
 前回のブルーバッファローに続き、これまた絶妙に“可愛い”のですが、つぶらな瞳と顔の大きさのバランスでしょうか……あと、髭。
 東京緑化計画を進める都市デザイナー、サクマ・ミキ(ミツ子の友人)の命を狙うイエロージャガーだが、手始めに現場作業員を何人か焼き殺してきました! と報告したところ、標的の警戒度を無駄に引き上げてどうするのこのスカポンタン! とギルにお仕置きサンダーを食らい、現場指揮を任せて良い人材なのかどうか、非常に不安が募ります。
 「今すぐにでも、このサクマ・ミキを殺してくるのだ! ……殺せ……殺せ殺せ、殺せ! 殺せ殺せー、殺すのだーーー!!」
 雑兵の首なぞ幾らあっても飯の種にならん、狙うは大将首ただ一つじゃー、とギルは改めてジャガーに命じ、ここまでほぼ顔のアップだけだったプロフェッサー・ギルに焦点が当たるや、怒濤の「殺せ」コールで少々、精神の不安定さを感じさせる危ない描写。
 かくして標的であるサクマ・ミキとその弟、そして二人の元を訪れていたミツ子とマサルの前に現れる、イエロージャガー(可愛い)。だが、ミキの焼死体が生まれる寸前にギターの音色が響き渡り、今日はさくっとスイッチオン! 1・2・3!
 「ダーク破壊部隊だな!」
 「ははははははは、その名もイエロージャガー!」
 「……とうっ!」
 「む?!」
 「この勝負、預けておく!」
 …………救助の目的は果たしているのですが、変身から逃走まで約28秒の早業で、チェンジは囮。
 キカイダーの介入を知ったギルは、小型爆弾を内臓した死神ベルトをジャガーに預け、ジローに迫る卑劣な人間爆弾の罠。
 「しめた! あと5秒であのベルトが爆発する!」
 だが、そもそも半平が怪しい、というジローの名推理により、作戦は失敗。
 「くそぉ……しくじったか」
 今回、プロフェッサー・ギルの出番増量キャンペーンなのですが、やはり首領たるもの、小さな事に一喜一憂すると格が下がるな、と(笑)
 (ジロー……おまえはこの笛に従わねばならん。ダークに生まれたものはダークに帰れ。サクマ・ミキを襲うのだ)
 だがギルは二段構えの作戦として悪魔の笛を吹き鳴らし、この辺りやはり、抜け忍物というか、「悪の組織」と「ロボット」にカスタマイズされていますが、足抜けは許さぬ! 一族の掟に従え! 的な構造を感じます(そう考えるとプロフェッサー・ギル、忍者軍団の頭領めいた見た目ではあり)。
 特に今作の場合、今のところ「悪の組織の作戦」を中心にエピソードが展開していないので、ダーク側の「ジローへの意識の強さ」の方が目立つ作り。
 とはいえ、笛の音と良心回路のせめぎ合いを定番のピンチ演出だけではなく、ダークの作戦目標と繋げた一石二鳥の狙いとして組み込んだのは一工夫となり、サクマ・ミキの首を絞めてしまうジローだが、水中ダイブからのチェンジ・スイッチオンでなんとか窮地を脱すると、イエロージャガーと激突。
 やけに長い尻尾でも可愛いをアピールしてくるとは許さん! と躍りかかるキカイダーだが、それこそ、可愛いと見せかけて実は火炎放射器! の巧妙にして悪辣な罠であり、尻尾の先から飛び出す炎にあぶられるキカイダーは、なんとかそれを切断。
 最後は自ら死神ベルトを身につけて相打ちを狙うジャガーを空中デンジエンドで撃破し、光明寺博士を探す旅はつづくのであった。
 次回――可愛くない、というか、なんかヤバい。

◆第6話「ブラックホースが死刑場でまつ」◆ (監督:畠山豊彦 脚本:伊上勝
 「只今より、コースを変更いたしまして、ダークの実験場にご案内いたします」
 ダーク印の観光バスが大量の乗客をまとめてさらい、角を生やし真っ赤な目を輝かせたダークロボット・ブラックホース(ヤバい)が体当たりや蹄鉄クローで集められた人々を次々と襲う虐殺シーンでスタート。
 この映像はプレゼン資料として殺人アンドロイドを求める世界各国に送られ、着ぐるみの特性を活かし、馬の頭を人間の頭部より高い位置に据える事で、長い首と、狂奔する暴れ馬の姿を表現するブラックホースの造形が、なかなかのインパクト。
 一方、ダークを脱出した光明寺博士が記憶喪失になっている急展開で、自分の名前さえ忘れながらもダークの追跡部隊から逃げる博士は、非常階段を利用してビルを外側からよじ登る身体能力(物事の基本は、体力……!)を見せると、いかなる運命の悪戯か、服部探偵事務所に迷い込む。
 博士の身につけていた結婚指輪を依頼料として逃走を手助けする事になった半平は、競馬場のダートコースを疾走し、車から飛び出すと何故か勝負服を身につけている謎のサービス(笑)
 追っ手を引きつけるもブラックホースに捕まってしまう半平だが、スタンドの高いところでジローがギターをかき鳴らし、客席前方をサイドカーで走り回る映像が、とても72年です。
 競馬場というと、私の見た範囲では『ジライヤ』『カーレンジャー』でも撮影に使われていましたが、今回は馬の怪人繋がりという事なのか、再びコース上での追いかけっこの末に、電子破壊蹄鉄が繰り出され、あ、け、競馬場が……!!
 なんて事をしてくれるんだダーク。
 Aパートのラストに瓦礫の下敷きにされるキカイダーだったが、Bパートの冒頭からさっらと登場してなんのピンチも無かった事になり、服部探偵事務所で合流した一同は、半平の依頼人が記憶を失った光明寺博士だと確認。
 「返す、返さなければ、男じゃないよ」
 ミツ子とマサルは、自分が何者かを追い求める光明寺博士とはニアミスしてしまい、博士から依頼料として受け取っていた結婚指輪が、姉弟の母の形見と聞くと、さすがに返却する半平。
 前回、車のハンドルをなめ回す変態行為を繰り返した挙げ句、詳しい事情はわからないにしても、5万円欲しさに胡散臭い依頼者から受け取った胡散臭い道具をよく確認せずに子供に渡し、危うくジローと4人の女子供を爆殺するところだっただけに、半平の人間性に多少のフォローが入ってホッとしました。
 また、〔報酬となって半平の行動原理を曲げない → 行き違いになったが、本物の光明寺博士が居た証拠となる → 返却により半平の株を上げる〕と、小道具としての指輪の使い方が鮮やか。
 プロフェッサー・ギル光明寺博士を見つけ出す為にミツ子とマサルを利用しようとし、ダーク観光バスを追跡するも悪魔の笛の妨害を受けるジローだが、ギルが鼻の頭のかゆみに耐えられなくなった一瞬の隙をついてスイッチオン(笛が止まった理由が全く説明されないので、各自で捏造して下さい!)。
 キカイダーに変身するとダークのジープに貼り付いてアジト侵入に成功するが、そこで待ち受けていたのはブラックホース。
 ミツ子とマサルを人質にされ無抵抗で攻撃を受けるキカイダーだが、半平が二人の救出に向かい、これまでの負債をまとめて返す大健闘。
 それを確認して反撃のターンになるや否や、キカイダーが走るのに合わせてカメラがかなりのスピードで右に動く演出が状況の切り替えとして大変格好良く、キカイダーはアンドロイドマンを次々となぎ倒していく。
 「忍法縄抜けの術。とう! 俺の役目はこれで終わり」
 ミツ子とマサルの元に辿り着いた半平は本当に手も触れずに縄を解き、ここでスケベ心とか出されると、見ていていたたまれない気持ちになる事請け合いだったので回避されて良かったですが、「忍法」の名の下に微妙に何でもありになっていきます(笑)
 「処刑されるのはおまえだ、ブラックホース!」
 噛みつき攻撃を受けるキカイダーは、パンチの連打から大車輪投げ、そしてデンジエンドと蹄鉄の合わせ技によりブラックホースを消し飛ばし、またもダーク破壊部隊を退けるのであった。
 光明寺博士を探しながらダークの追っ手を退けていた筈が、何故か光明寺家に戻っていたら光明寺博士から電話がかかってくる、という飛躍の激しい新展開(?)となりましたが、博士は博士でダークからは逃げ出すも記憶を失っており……娘よ、本当のヒロインになりたいのなら、この父を超えてゆけ!!
 次回――またまた出てきてしまう、可愛い悪の手先にご期待下さい。
 ……ところで、プロフェッサー・ギルの部屋に並んでいる、これ↓
 ○ ○
  △
  □
 気になって仕方が無いのですが、72年としてはむしろこれがアイコン的にわかりやすかったのか……?